「技能検定」とは厚生労働省が管轄している「国家検定制度」で、いろいろな職種の検定があります。建設関係だけでなく、自動販売機調整や内燃機関組立て、ニット製品製造などさまざまな業種についての技能検定もあります。
このページでは建設関係の技能検定や専任技術者になれる検定について紹介します！
技能検定とは
厚生労働省管轄の検定で、働くために必要な技能もしくは身につけると有利に働く資格のことで、現在100種類以上あります。
検定の実施は各都道府県で行われていて毎年前期と後期に分けて実施されています。最近人気のあるFP（ファイナンシャル・プランナー）やウェブデザイン、CC（キャリア・コンサルティング）などもこの技能検定が設定されています。
各職種の検定は1級・2級・3級の階級制と単一階級に分かれており、それぞれ合格すると技能士と名乗ることができます。
建設関係でどれだけの数があるのか
厚生労働省が区分しているリストによれば、「建設関係」には34種類の技能検定が設定されています。
技能士検定の中でも一番多くの種類を有する職種となっていて、建設業がいかに国民の生活インフラを支える重要な役割を担う業界で、適切な技術を持った人材が求められているかが分かります。
技能検定受検に必要な実務経験年数
各技能検定には受検資格として、その資格に関わる業務での実務経験年数が設定されています。
3級については、高校専攻科、専門高校卒から受検が可能です、実務経験がなく受験できます。2級についても3級合格後すぐに受検資格が得られますし、高校専攻科、専門高校卒の人も実務経験なしで受検資格を得られます。
1級については2級合格後2年程度、3級合格後4年程度の実務経験期間が必要になります。（職種と学歴等によって年数は異なります）
技能検定はどのような試験内容なのか
検定試験は実技と学科の2種類で構成されていて、両方合格する必要があります。
検定の構成は、実技で制作作業試験・計画立案などで職種によってことなります。筆記試験は全50問（3級は30問）で正誤択一式と複数肢選択式が半々の割合です（3級は正誤択一式のみ）。
学科試験は各都道府県の職業能力開発協会が実施しています。
2級と1級技能士は専任技術者になることができます！
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所（本店等）に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格＋資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
1級技能士は1.に該当するためこの資格があれば実務経験の証明は不要です！
2級技能士は2.に該当し、資格合格後、3年以上の実務経験を証明することで専任技術者になることができます。
10年以上の実務経験の証明は不要なので、建設業許可を取得しやすくなることはもちろんですし、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。
▼技能検定の職種と専任技術者になることができる建設業種
| 技能検定 | 専任技術者になることができる建設業種 | |
| 職種 | 選択科目 | |
| 型枠施工 | ― | 大工工事 |
| とび・土木・コンクリート工事 | ||
| ウェルポイント施工 | ― | とび・土木・コンクリート工事 |
| 路面標示施工 | ― | 塗装工事 |
| 建築板金 | ダクト板金作業 | 屋根工事 |
| 管工事 | ||
| 板金工事 | ||
| 建築大工 | ― | 大工工事 |
| 左官 | ― | 左官工事 |
| とび | ― | とび・土木・コンクリート工事 |
| コンクリート圧送施工 | ― | |
| 冷凍空気調和機器施工 | ― | 管工事 |
| 配管 | 建築配管作業 | 管工事 |
| タイル張り | ― | タイル・れんが・ブロック工事 |
| 築炉 | ― | タイル・れんが・ブロック工事 |
| ブロック建築 | ― | 石工事 |
| タイル・れんが・ブロック工事 | ||
| 石材施工 | ― | 石工事 |
| 鉄工 | 製缶作業 | 鋼構造物工事 |
| 構造物鉄工作業 | ||
| 鉄筋施工 | 鉄筋施工図作成作業 | 鉄筋工事 |
| 鉄筋組立て作業 | ||
| 工場板金 | ― | 板金工事 |
| 建築板金 | 内外装板金作業 | 屋根工事 |
| 板金工事 | ||
| かわらぶき | ― | 屋根工事 |
| ガラス施工 | ― | ガラス工事 |
| 塗装 | ― | 塗装工事 |
| 畳製作 | ― | 内装仕上工事 |
| 内装仕上げ施工 | ― | 内装仕上工事 |
| 表装 | ― | |
| 熱絶縁施工 | ― | 熱絶縁工事 |
| 建具製作 | ― | 建具工事 |
| カーテンウォール施工 | ― | |
| サッシ施工 | ― | |
| 造園 | ― | 造園工事 |
| 防水施工 | ― | 防水工事 |
| さく井 | ― | さく井工事 |
専任技術者の配置する場合の注意する点
専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと（雇用保険・健康保険・厚生年金全て）
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと（同一企業でないと兼任は認められません）
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
建設業にかかわる技能士・検定：まとめ
今回は、130種類以上ある技能士・技能検定の中でも建設業にする内容や専任技術者になれる技能士についてご紹介しました。
１級技能士の資格は、１０年間の実務経験を証明することなく専任技術者になることができますし、2級技能士の資格でも合格後3年以上の実務経験を証明することで専任技術者になることができます。建設業許可を取得・業種追加をしたい業者にはおすすめの資格です。
しかし、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要があり、申請するためにも作成する書類は膨大です。
なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。
