建設業許可の建築一式工事を検討中の方!ほんとにその業種でいいですか?

建設業許可は業種ごとに行われ、一式工事2種類と専門工事27種類の計29業種に細かく分類されていて、それぞれの業種ごとに許可を取得する必要があります。

苦労して許可を受けたものの、「工事請負に必要なのは別の業種だった」なんてことにならないように、しっかり内容を把握しておきましょう。

このページでは、一式工事2種類のうち、建築一式工事(建築工事業)について紹介していきます。

建築一式工事の内容

まず、建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事のことをいいます。すこしわかりずらいかもしれませんが、簡単に言うと元請業者の立場で、複数の下請業者を管理して施工する大規模で複雑な工事というイメージです。例えば、マンション建設工事や複合商業施設の建設工事を指します。

ここで確認しなければいけない点が、建築一式工事は「元請業者の立場」ですので、基本的に自身が下請の立場で工事を請け負っている場合は、建築一式工事には該当しないです!

建築一式工事(建築工事業)のよくある誤解に注意

建築工事業(建築一式工事)の建設業許可を受けていれば、リフォーム工事や大工工事などのどんな専門工事も金額の制限なく請負えるという誤解は非常に多いですが、あくまでも建築工事業(建築一式工事)の建設業許可をもって金額の制限なく請負えるのは「建築一式工事」のみで、何でもできるわけではありません。

もし建築一式工事に該当する複合商業施設の建設工事を元請として請け負ったときに、その工事のなかに内装工事も内訳として含まれているものについては、建築一式工事の附帯工事として内装工事の施工が可能です。

ところが新築等ではなく、内装仕上工事を単独で請負う場合で金額が500万円以上を超えるケースでは内装仕上工事業の建設業許可を受ける必要があるので注意しなくてはなりません。

建築一式工事の一般建設業許可要件とは?

建設業許可(建築一式)を受けるためには、以下の6つの要件をクリアしなければなりません。

①経営業務の管理責任者がいること

1つ目の要件は、営業所(本店)に常勤する経営業務の管理責任者がいることです。
経営業務の管理責任者とは、現在、(1)もしくは(2)の立場にある人で、

建設業を営む会社の役員(取締役)、個人事業主または令3条の使用人(建設業許可業者の支店長)として『5年以上』の経験があることが求めらます。

(1)法人で許可を受ける場合

許可を受ける法人の常勤の役員(代表取締役・取締役)

(2)個人で許可を受ける場合

事業主本人または支配人登記した支配人

(例)
・建設会社の取締役として5年以上の経験がある。
・個人事業主として5年以上の経験がある。
・建設業許可を取得している建設業者の令3条の使用人(支店長)として5年以上の経験がある。

②専任技術者が営業所ごとにいること

2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  3. 10年以上の実務経験がある

4つについてそれぞれ紹介していきます!

1.定められた国家資格を持っている

  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(種別:建築)
  • 一級建築士
  • 二級建築士

3.指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある

大学にて建築学・都市工学に関する学科を卒業し、建築一式工事に関する3年以上の実務経験がある。

もしくは

高校にて建築学、都市工学に関する学科を卒業し、建築一式工事に関する5年以上の実務経験がある。

4.10年以上の実務経験がある

建築一式工事に関する10年以上の実務経験がある。

③請負契約に関して誠実性があること

3つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人、役員、個人事業主、令3条の使用人などが請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。

過去に不正な行為や不誠実な行為がなかったかどうかについてチェックされます。

不正な行為とは・・・請負契約の締結または履行に際して、詐欺、脅迫、横領などの法律に違反する行為

不誠実な行為とは・・・工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為

④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

4つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人または個人事業主が請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していることです。いわゆる財産要件です。
財産要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

<一般建設業許可の財産要件>

次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 自己資本の額が500万円以上あること
    →貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額
  2. 500万円以上の資金を調達する能力があること
    →500万円の資金調達能力は、会社に500万円以上の預金残高がある状態でその金融機関から発行された「預金残高証明書」もしくは金融機関から発行された「融資証明書」で証明することになります。

<特定建設業許可の財産要件>

次のすべての要件を満たす必要があります。

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上あること
  3. 資本金が2,000万円以上あること
  4. 自己資本が4,000万円以上あること

⑤欠格要件に該当しないこと

5つ目の要件は、建設業許可を受けようとする者(法人の役員、事業主本人等)が、以下の欠格要件に該当しないことです。

  1. 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
  2. 不正な手段で許可を受けたことなどにより、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
  3. 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
  4. 請負契約に関して不誠実な行為をしたことなどにより、営業の停止を命じられ、その期間が経過していない者
  5. 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることが無くなった日から5年を経過しない者
  6. 建設業法、建築基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、 又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑥社会保険に加入している

令和2年10月の法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。

すべての建設業を営む者が建設業許可の申請をする際、適切な社会保険に加入しているかを確認されます。

この建設業で求められる社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。

法律上加入義務があるこれらの保険に加入していないと、すでに許可を取得している許可業者さまも更新ができなくなってしまいます。

建築一式工事のまとめ

建設業の業種については、このページでは建築一式工事について紹介いたしました。建築一式工事(建築工事業)の許可を取得すれば、すべての建築関係の工事を請け負えると思っている方は非常に多いので、まずは自社が元請の立場なのか下請の立場なのかをよく確認し、本来必要な業種の許可を取得するようにしましょう!

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。