専任の宅建士を交代・追加手続きを行政書士が詳しく解説!

これまで勤務していた専任の宅地建物取引士が退職するなどの理由によって、専任の宅地建物取引士を交代または追加する場合には、行政庁へ宅建業免許変更届を提出しなければなりません。また不動産協会に加入している場合にも変更の手続きをしなければいけない場合があります。

専任の宅地建物取引士の就退任は事務所の移転や商号の変更等と比べて生じる頻度が高く、宅建業免許にまつわる手続きで最も行うことが多くなる手続きと言えるでしょう。

しかしながらこの手続きは仕組みが少々複雑で、きちんと理解していないと間違いが非常に起こりやすいです。
間違いが生じると手続きが止まってしまいますので、そうこうしているうちに手続きを行うべき期限を過ぎてしまっていたなんてことにもなりかねません。

専任の宅地建物取引士を就任・交代させる場合にはどのような点に気を付けるべきなのかを解説していきますので、ご活用いただければと思います。

不足補充の期限と変更届の提出期限

専任の宅地建物取引士は、宅建業に従事する者5名に1名の割合で設置しなければなりません。専任の宅地建物取引士が退職するなどして、この人数を割ってしまうときは、2週間以内に補充等の必要な措置をとらなければならないことになっています。

また、これまでの専任の宅地建物取引士の退任や、新たな専任の宅地建物取引士の就任については、それぞれ、退任・就任の日から30日以内に宅建業免許の変更届を提出することが求められます。

※ここでは交代のケースを前提に説明しますが、新たな専任の宅地建物取引士が追加で就任した場合(増員)も同様の手続きが必要です。

それでは、変更する際に確認しておくべきポイントを紹介します。

ポイント①:宅地建物取引士なのか?

「宅建持ってるよ!」という方が見つかったとしても、その人は厳密に言えば「宅地建物取引士」ではないかもしれません。

宅地建物取引士として仕事に従事するためには宅地建物取引士の試験に合格するだけでは足りず、大きく分けて次の3つの段階を経る必要があります。

①試験合格→②資格登録→③宅地建物取引士証交付

3つ目の段階である「③宅地建物取引士証交付」を受けてはじめて宅地建物取引士として仕事をすることができます。

そのため、宅地建物取引士証を持っていない人は専任の宅地建物取引士を務めることができません。

宅地建物取引士証の交付を受けるまでには時間がかかる場合があります。宅地建物取引士証の交付を受けていない場合、今どんな手続きが必要なのかしっかりと確認し、余裕をもって動けるようにしておきましょう。

ポイント②:常勤・専任できる人なのか?

不動産取引の際、重要事項の説明などは専任ではない一般の宅地建物取引士でも行うことができますが、宅建業を営む上では、必ず専任の宅地建物取引士を指定して、各事務所に設置しなければなりません。

専任の宅地建物取引士に求められる専任性

一般的な宅地建物取引士と、専任として指定された専任の宅地建物取引士の違いは、その名称に現れる「専任性」です。

専任性は、常勤性と専従性という、2つの要件を満たさなければなりません。具体的には、次のような人は通常、常勤性や専従性が認められず、専任の宅地建物取引士に指定することはできません。

常勤性や専従性が認められない場合

  • 他の法人の代表取締役や常勤役員
  • 他の職業の会社員
  • 公務員
  • 営業時間中に常時勤務できない者
  • パートやアルバイト(勤務時間が限られる)
  • 自宅が通勤に適さないような場所にある者(概ね片道2時間以上)
  • 兼業業務に従事する者
  • 複数の事務所を行き来し、両事務所で業務を行う者

また、宅建業免許を受ける会社の監査役は、業務を行うのではなく、会社を監査する独立した存在ですから、専任の宅地建物取引士になることはできません。

ポイント③:別会社で専任の宅地建物取引士を務めていた場合の注意点

ここが、最も間違いの生じやすいポイントです。専任の宅地建物取引士を務めていた場合、ただ会社を辞めるだけではその人が宅地建物取引士として「フリー」になったとは言えません。

過去に別会社で専任の宅地建物取引士を務めていたことがある場合、次の手続きが両方とも完了している必要があります。

①前職の会社(宅建業者)が行う、専任の宅地建物取引士を交代する手続き

その人が過去に勤めていた会社が、宅建業者として専任の宅地建物取引士を変更する手続きをとる必要があります。「その人を辞めさせて新しい宅地建物取引士を雇うことにする」という手続きです。
この手続きは、前職の会社が宅建業免許を受けている都道府県の窓口にて行います。

②宅地建物取引士個人が行う、自身の勤務先を変更する手続き

宅地建物取引士は、宅建業者に勤めることになった場合にはその勤務先情報を登録します。勤めている宅建業者を退職した場合は、逆に勤務先情報の登録を抹消する手続きをとる必要があります。

この手続きは、宅地建物取引士の資格登録を受けている都道府県の窓口にて行います。

これら2つの手続きは、全くの別物です。どちらか一方の手続きを完了したとしても、もう一方の手続きには決して反映されません。

②の宅地建物取引士個人が行う方の手続きは、具体的な期限が設定されているわけではないため行わなずに放置してしまう方が多いです。そのため、業者として専任の宅地建物取引士を交代させる手続きを完了していても宅地建物取引士個人として勤務先登録の抹消を行っていなかったという方が非常に多いです。

両方の手続きが完了していない場合、その宅地建物取引士の方が登録上はまだ別会社に勤めていることになるため、新しい会社で専任の宅地建物取引士を務めることができません。

ポイント④:欠格事由に該当していないか

国から免許を受けて行う宅建業ですから、過去に不正を働いていた人間や、破産者や正常な判断能力がないような人間に経営の中枢を任せるわけにはいきません。専任の宅地建物取引士もまた、代表者や役員と同様に欠格事由に該当していないかどうかのチェックが入ります。

欠格事由としては破産者や成年被後見人である、過去に宅建業に関して不正を働いたことがあるといったものが挙げられます。他にも、反社会的勢力の一員であるか過去に所属していたといった事実も欠格事由です。

欠格事由に該当している場合はそもそも宅地建物取引士証の交付を受けられないか、交付を受けていても返納を求められる場合がほとんどなので、有効な宅地建物取引士証を所持している以上は該当している可能性は低いでしょうが、こちらについても確認しておくとより確実です。

ポイント⑤:成年者の有無

専任の宅地建物取引士は、未成年者が務めることができません。

ややこしいのが、未成年者でも宅地建物取引士証の交付を受けて宅地建物取引士にはなれるという点です。有効な宅地建物取引士証の交付を受けていたとしても、未成年であれば専任の宅地建物取引士に就任することはできないのでお気を付けください。

専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続き

ここまで見てきた①~⑤のポイントをクリアできる方が見つかったなら、ようやく専任の宅地建物取引士を就任(交代)させる手続きの準備をスタートしましょう。

まずは、①専任の宅地建物取引士になる方が、宅地建物取引士個人として勤務先を登録する手続きを行う必要があります。

その後、②宅建業者が業者として、専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続きを行います。

これらの手続きはそれぞれどのように行うのか、一つずつ見ていきましょう。

①宅建士個人が行う勤務先登録の手続き

正式には「宅地建物取引士資格登録簿の変更登録申請」といいます。宅建業者が専任の宅地建物取引士を就任させる手続きの前に行う必要があります。

この勤務先登録の手続きは宅建業者(会社)が行うのでなく、宅建士個人が行う手続きなので注意が必要です。

手続きを行う場所は宅地建物取引士の資格登録を受けている都道府県の窓口です。
※宅地建物取引士証の「登録番号」が記載されているところに書いてある都道府県が、登録を受けている都道府県です

勤務先登録の手続きに移る前に!変更事項はありませんか?

宅地建物取引士は、次の4つの事項につき変更が生じた場合に変更の届出をしないといけないことになっています。変更があったのにその届出がなされていないと、勤務先登録の変更を受けつけてもらえない場合があるので気を付けましょう。仮に受け付けてもらえたとしても、その後の手続きにも影響するので変更がある場合はしっかりと手続きを完了させておきましょう。

変更があった場合に届出が必要な事項

  • 氏名(婚姻による改姓を含む)
  • 住所
  • 本籍
  • 勤務先(商号の変更を含む)「IT業者から広告代理店に転職した」といった変更については届出をする必要はありません。

②専任の宅地建物取引士登録の手続き

①専任の宅地建物取引士になる方が、宅地建物取引士個人として勤務先を登録する手続きが完了したら、ようやく、専任の宅地建物取引士登録の手続きを行えます!

これまでの専任の宅地建物取引士の退任や、新たな専任の宅地建物取引士の就任については、それぞれ、退任・就任の日から30日以内に宅建業免許の変更届を提出することが求められますので、提出期限内に手続きが完了できるよう事前に準備を進めていきましょう。

不動産協会の変更届も忘れずに

宅地建物取引士としての(入社したことで勤務先が変更したことの)届出、および会社としての専任の宅地建物取引士が変更したことの届出、以上が済んだ後、もし不動産協会(はとマーク・うさぎマーク)に加入しているときは、不動産協会でも変更手続きが必要となることがほとんどです。

そのため、行政手続きが完了した後は、不動産協会へ変更届について確認を取っておきましょう。

まとめ

宅建業免許の変更手続きが必要な「専任の宅地建物取引士の交代または追加」について紹介しました。事前に宅建士個人が行う手続きもありますので、宅建士とも連携をとりながら進めていく必要があります。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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