【建設業許可】浄化槽設置工事は許可必要です!

浄化槽設置工事を主に請け負っているけど、「元請業者から建設業許可を取得するよう言われている」「元請業者から無許可業者には工事を発注しないと言われた」という状況が発生することがあると思います。

浄化槽設置工事に500万円を超えることなんて”ほぼない”と思いますが、許可がないと仕事をもらえなくなるなら建設業許可を取るしかないです。最近はコンプライアンスが重要視されたり、許可業者に仕事をお願いしないと補助金や融資が下りないということも多いので建設業許可を取りたいけど、どうやったら許可が取れるのか・どんな要件を満たせばいいのかわからない事業者さんは多いのではないでしょうか。

このページでは浄化槽設置工事を専門に行っている建設業者が、建設業許可を取る方法についてご説明していきたいと思います。

浄化槽設置工事とは

建設業法では建設工事を「2種類の一式工事」と「27種類の専門工事」に区分しています。しかし、浄化槽設置工事という区分はありません。

では浄化槽設置工事は建設業法上、どの区分の工事に該当するかというと、原則「管工事業」になります。※建設業法とは別に浄化槽工事業法というのはありますので、紛らわしいですが、今回は建設業法上の浄化槽設置工事について紹介しています。

浄化槽とは、下水道が整備されていない家庭に設置される汚水処理設備のことで、微生物の働きを利用して、トイレやキッチン、お風呂場などから出る生活排水を浄化し、川や海などに放流します。この浄化槽を設置する工事は建設業法上の管工事業に区分されるのです。

また、浄化槽の設置工事については、建設業法の建設業許可に加え、浄化槽工事業法のの登録を受ける必要がありますので、合わせて確認しておきましょう。

建設業許可は人的要件が特に重要です!

建設業許可を取得するためにはさまざま要件をクリアする必要があり、特にハードルが高いのが人的要件である「経営業務の管理責任者」「専任技術者」です。

なかなかイメージするには難しい言葉だと思います。簡単に言うと「経営の責任者」「技術の責任者」と考えていただければと思います。

経営の責任者になれる方は?

まずは「経営の責任者:経営業務の管理責任者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。

  1. 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者
  2. 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(建設部長等)にあり、経営業務のある者
  3. 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
  4. 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
  5. 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。

技術の責任者になれる方は?

続いて「技術の責任者:専任技術者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。

専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

ここで注意点!

許可を取得する業種によって、技術の責任者の要件が変わります!

このページでは浄化槽設置工事(管工事業)についてのみ紹介していきます。

▼1.定められた国家資格を持っている

  • 一級管工事施工管理技士
  • 二級管工事施工管理技士
  • 一級冷凍空気調和機器施工技能士
  • 一級配管技能士(建築配管作業)
  • 一級建築板金技能士(ダクト板金作業)
  • 登録配管基幹技能者
  • 登録ダクト基幹技能者
  • 登録冷凍空調基幹技能者
  • 登録計装基幹技能者

登録基幹技能者の場合は修了証に「主任技術者の要件を満たすものであると認められます」という記載が必須です。

▼2.定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある

<資格取得後、管工事に関する1年以上の実務経験があるもの>

  • 建築設備士
  • 一級計装士
  • 給水装置工事主任技術者

<資格取得後、管工事に関する3年以上の実務経験があるもの>

  • 二級冷凍空気調和機器施工技能士
  • 二級配管技能士(建築配管作業)
  • 二級建築板金技能士(ダクト板金作業)

▼3.指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある

大学にて土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学、機械工学、衛生工学に関する学科を卒業し、管工事に関する3年以上の実務経験がある。

もしくは

高校にて土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学、機械工学、衛生工学に関する学科を卒業し、管工事に関する5年以上の実務経験がある。

▼4.10年以上の実務経験がある

管工事に関する10年以上の実務経験がある。

実務経験を証明する方法

実務経験を証明するケースについてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。

  1. 管工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合
  2. 管工事業の建設業許可のない業者で実務経験を積んだ場合

①管工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合

許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。

しかし、管工事業の建設業許可を取得している他社で実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。

建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。

②管工事業の建設業許可のない業者で実務経験を積んだ場合

建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。

まず、管工事業に関する実務経験を証明するためには、その会社での管工事業に関する請負契約書注文書+請書請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。

前職の経験を証明したい場合は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。

諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。

それぞれの違い

「経営の責任者:経営業務の管理責任者」と「技術の責任者:専任技術者」の違いは、「経営業務の管理責任者」は上記に記載したある一定の経営経験があれば、建設業許可の全ての業種の「経営管理の管理責任者」になることができますが、

「専任技術者」は業種ごとに実務経験や資格、学歴が定められており、複数業種の専任技術者になるためにはそれぞれ業種ごとに定められた条件をクリアする必要があるのです。

各責任者の選任する場合の注意する点

「経営の責任者」も「技術の責任者」も選任する場合に、下記の項目に注意する必要があります。

必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか

これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。

建設業許可を取得するためのまとめ

建設業の業種については、かなり複雑に分けられています。浄化槽設置工事だからと言って管工事業と断定せず、一度行政庁や専門家へご相談いただくのがよいかと思います。

また、建設業許可を取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。基本的な許認可であれば、有資格者がいれば取得できることも多いなか、建設業許可はかなりハードルの高い許可といえます。

どうしようもできずに「裏ワザ」はないのか?という質問をよくされます。なんと、建設業許可には「裏ワザ」があります!

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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