屋外での広告物の表示、看板の設置を業務として営むためには、法人個人問わず、また元請け、下請けに関わらず設置工事を行う自治体にて屋外広告業登録を受ける必要があります。
本ページでは、屋外広告業の登録に必要な要件や流れについて紹介します。
そもそも屋外広告業者ってなんだろう?
屋外には、数え切れないほどの、様々な企業やお店の看板があります。そしてその看板はちゃんと設置されていない場合は落下してしまったり、強風で看板が吹き飛び被害を与えてしまったり、または景観を乱すような広告を設置したりと自由に設置すると様々な被害が起こってしまいます。
このような被害を減らし、よりよく市民が生活できるように、屋外広告物法が定められました。
屋外広告業者登録とは?
広告主から広告物等の表示や設置に関する工事等を請け負い、屋外で公衆に表示することを業として行う場合に必要です。
元請けや下請けは問いませんので、例えば建設業者が施主から、屋外広告物の設置を含んだ全体の建設工事を請け負っている場合は、元請けである建設業者も、屋外広告物の設置・施工を行う下請け業者も、共に屋外広告業の登録が必要です。
新規の表示・設置だけでなく、デザインの変更や修繕等も含まれます。
<登録が必要な例(屋外広告業に該当する例)>
- イベント等で1日だけ看板を設置する場合
- バスやタクシー等の広告物を表示する場合
- 掲示板自体の設置する場合
<登録が不要な例(屋外広告業に該当しない例)>
- 工事を請け負わない広告代理業
- 屋外広告物の印刷、製作等を行うだけの場合
- 屋外広告物の下地や基礎のみを請け負う場合
- 掲示板のポスター等の掲示物の貼り替えの場合
もしも無登録でこれらの業務を行ってしまった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
登録の管轄自治体
広告物の表示や設置に関する工事等を行おうとする現場のある都道府県、政令市、中核市ごとに登録が必要となります。したがって、広告物の表示や設置に関する工事等を行おうとする現場のある都道府県および政令市に営業所が無い場合でも登録が必要となります。施工場所が全国にわたる場合には、最大で129か所への申請が必要となります(令和3年4月時点)。
また、登録には有効期限があり、登録を行った日から5年間有効です。
引き続き営業を行う場合は、登録期間満了日の30日前までに更新の手続きを行いましょう。
登録に必要な書類
屋外広告業登録制度は、自治体ごとに条例で定められているため、各所へ提出する書式はそれぞれ異なり、提出書類や提出方法にも若干違いがあります。一般的に必要な書類については下記の通りです。
1.登録申請書(1〜2面)
2.誓約書
3.住民票(コピー不可3ヶ月以内に発行されたもの)
4.略歴書(法人の場合は役員全員分)
5.登記事項証明書(法人のみ)
6.住民票の写し(個人のみ※個人番号の記載がされていないものに限る)
7.業務主任者の資格を証する書面の写し(証明書等のコピー可)
8.業務主任者の従事証明
申請内容はシンプルですが、管理と事務が大変な許認可といえます。
登録申請書の提出先
必要書類が全て揃ったら、各都道府県の担当窓口まで持参しましょう。
予約の必要性や郵送申請しか受け付けない等、各自治体によって申請方法が異なりますので、事前に各都道府県や市のHPや窓口でチェックしておきましょう。
登録手数料
各都道府県によって若干違いはありますが、大体10,000円となっています。
各県によって受付できるのが、現金のみ、収入印紙のみの場合もありますので事前に確認しておきましょう。
営業所ごとに業務主任者の選任か必要です
ここで屋外業者登録を行う際に大切になってくるのが、「業務主任者」を設置することです。
下記のいずれかに当てはまる者が対象となります。
➀屋外広告士に合格している者
➁屋外広告物講習会の修了者(都道府県や政令市・中核市が行う講習会)
➂技能検定合格者・職業訓練修了者・広告美術仕上げに係る者
屋外広告士とは?試験概要について
屋外広告士は屋外広告物法に則り、デザインや施工方法などの設計や施工をおこなう資格です。
屋外広告士試験に合格すると、屋外広告物の製作・施工などについて専門的かつ総合的な知識及び技術の水準を有していることが認定され、屋外広告業の業務主任者になることができます。
屋外広告士試験の受験資格は、「受験年の10月1日現在で、屋外広告業等に従事した満18歳以上の実務経験が、3年以上ある者」となっていますので、受験自体のハードルは高くないでしょう。
屋外広告士試験の科目・出題範囲は、「学科試験A 関係法規」「学科試験C 設計・施工」「学科試験B 広告デザイン」「実技試験 屋外広告物の設計またはデザイン」で、屋外広告士試験の出題形式は、「学科試験A」「学科試験C」「学科試験B」が択一式、そして「実技試験」は、屋外広告物の設計またはデザインのいずれかを1問選択、となっています。
屋外広告士試験の試験時間は、「学科試験A」「学科試験C」が60分、「学科試験B」が80分、「実技試験」が120分となっています。
登録までの流れ
新規登録申請の手続きの流れは下記のようになっております。
申請書類の作成
↓
申請および登録手数料納入確認
↓
受理および本審査
↓
登録通知書交付
屋外広告業登録を受けても建設業許可が必要?
屋外広告業登録を受けていたとしても、税込み500万以上の広告物の表示、看板の設置工事を請け負う場合は、建設業許可が必要になります。
建設業許可を取得する最大のメリットは、受注できる工事の金額に上限がなくなることです。
建設業許可がない状態では、広告物の表示、看板の設置工事は最大でも500万円までの工事しか受注できないため、受注したくても行うことができない仕事があります。しかし、建設業許可を取得すれば上限額を気にすることなく、工事を受注できるようになります。
その結果、売上高を大幅に伸ばすチャンスとなり、大きく利益を増やすことができる可能性も出てきます。
なお、広告物の表示、看板の設置は、建設業29業種の鋼構造物業に分類されるため、建設業許可が取れるのか。もし今は取れないのあればどうすれば建設業許可が取れるか事前に確認しておきましょう。
行政書士に依頼するメリット
屋外広告業登録において、登録申請書の作成や添付書類の収集などはとても手間と時間がかかるものです。特に添付書類は法務局から取得しなくてはならなかったり、税務署から取得する必要があったりなど、慣れていないと時間と労力を要します。また、申請書類に不備があると、審査がストップしてしまいます。
今まで一度も申請をしたことがないと登録をするために、どれだけの時間と労力がかかるかも未知数だと思います。そのため、行政書士に依頼することで、スムーズに申請することができ、結果的にご自身で行うより早く事業をスタートすることができます。
屋外広告業登録のまとめ
建設業許可と関わりのある屋外広告業の登録手続きについて紹介しました。
建設業許可ほどハードルの高い要件はありませんが、営業所ごとに業務主任者の選任が必要ですので屋外広告業を新たに始める場合は、従業員に業務主任者になることができる者がいるか事前に確認しておきましょう。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。