浄化槽工事業登録の申請方法をまるっと解説!届出制度との違いも

浄化槽工事とは浄化槽の設置、又はその構造や規模の変更をする工事を行う事業のことで、これらの工事を請け負う浄化槽工事業を営もうとする者は、営業所の所在地とは関わりなく、実際に工事を行おうとする区域を管轄するすべての都道府県ごとに登録、又は届出が必要となります。

本ページでは、浄化槽工事業の登録に必要な要件や届出制度との違いについて紹介します。

そもそも浄化槽工事業者ってなんだろう?

浄化槽とは、下水道が整備されていない家庭に設置される汚水処理設備のことで、微生物の働きを利用して、トイレやキッチン、お風呂場などから出る生活排水を浄化し、川や海などに放流します。

浄化槽には、水洗便所の汚水だけを処理する単独処理浄化槽と、水洗便所汚水と台所汚水などの生活排水を併せて処理する合併処理浄化槽がありますが、現在は単独処理浄化槽の新設は禁止されています。

浄化槽の設置や維持管理が不十分だと、浄化槽が故障したり、汚泥や排水が処理されないまま流れ出て、周辺環境が悪化したりする可能性があります。

このような被害を減らし、よりよく市民が生活できるように、浄化槽工事業が定められました。

浄化槽工事業登録とは?

浄化槽工事とは浄化槽の設置またはその構造や規模の変更をする工事を行う事業を言います。元請けや下請けは問いません。

ただし、建設業法上の土木工事業 、建築工事業、管工事業のいづれかの許可を取得している業者は、浄化槽工事業登録を受けることなく浄化槽工事を請け負うことができます。

登録の管轄自治体

浄化槽の設置またはその構造や規模の変更をする工事等を行おうとする現場のある都道府県ごとに登録が必要となります。したがって、広浄化槽の設置またはその構造や規模の変更をする工事等を行おうとする現場のある都道府県に営業所が無い場合でも登録が必要となります。

また、登録には有効期限があり、登録を行った日から5年間有効です。

引き続き営業を行う場合は、登録期間満了日の30日前までに更新の手続きを行いましょう。

登録に必要な書類

屋外広告業登録制度は、自治体ごとに条例で定められているため、各所へ提出する書式はそれぞれ異なり、提出書類や提出方法にも若干違いがあります。一般的に必要な書類については下記の通りです。

  1. 浄化槽工事業登録申請書
  2. 誓約書
  3. 浄化槽工事業登録申請者の調書
  4. 住民票の写し(個人のみ)
  5. 履歴事項全部証明書(法人のみ)
  6. 浄化槽設備士の調書
  7. 浄化槽設備士の資格を証する書面の写し(証明書等のコピー可)
  8. 浄化槽設備士の住民票の写し

申請内容はシンプルですが、申請先が各都道府県になってくるため管理と事務が大変な許認可といえます。

登録申請書の提出先

必要書類が全て揃ったら、各都道府県の担当窓口まで持参しましょう。

予約の必要性や郵送申請しか受け付けない等、各自治体によって申請方法が異なりますので、事前に各都道府県や市のHPや窓口でチェックしておきましょう。

登録手数料

各都道府県ごとに新規登録手数料は33,000円更新登録手数料は26,000円となっています。

各県によって受付できるのが、現金のみ、収入印紙のみの場合もありますので事前に確認しておきましょう。

営業所ごとに浄化槽設備士の選任か必要です

ここで浄化槽工事を行う際に大切になってくるのが、営業所ごとに「浄化槽設備士」を選任することです。

下記のいずれかに当てはまる者が対象となります。

浄化槽設備士試験に合格している者
➁管工事施工管理技士試験(1級・2級)に合格している者で浄化槽工事に関する講習会を修了している者

浄化槽設備士とは?試験概要について

浄化槽設備士は浄化槽の設置工事の際に現場の監督や管理をおこなう国家資格です。

浄化槽設備士試験に合格すると、浄化槽の設置、またはその構造や規模の変更をする工事などについて専門的かつ総合的な知識及び技術の水準を有していることが認定され、浄化槽工事業の浄化槽設備士になることができます。

浄化槽設備士試験の科目は、学科試験が「機械工学・衛生工学等」「汚水処理法等」「施工管理法」「法規」、実地試験が「施工管理法」で、浄化槽設備士試験の出題形式は、多肢選択式の択一式です。

浄化槽設備士試験の試験時間は、学科試験が180分、実地試験が60分です。

登録までの流れ

新規登録申請の手続きの流れは下記のようになっております。

申請書類の作成

申請および登録手数料納入確認

受理および本審査

登録通知書交付

浄化槽工事業登録と届出の違い

先ほど、「建設業法上の土木工事業(土木一式) 、建築工事業(建築一式)、管工事業のいづれかの許可を受けている業者は、浄化槽工事業登録を受けることなく浄化槽工事を請け負うことができる」とご紹介しましたが、実際はこれらの建設業許可を取得していても、浄化槽工事を行う都道府県に浄化槽工事業の届出をする必要があります。

この届出を行うことで、浄化槽工事業登録を受けた業者(特例浄化槽工事業者)とみなされるのです。

特例浄化槽工事業者だとしても、営業所ごとに浄化槽設備士を選任する必要はありますので注意してください。

浄化槽工事業登録と届出の対応一覧

登録届出
建設業許可土木工事業、建築工事業、管工事業のいずれの建設業許可も取得していない土木工事業、建築工事業、管工事業のいずれかの建設業許可を取得している
浄化槽工事業の更新5年ごとに必要
(有効期間5年)
なし
(建設業許可更新時に、報告が必要)
申請手数料新規:33,000円
更新:26,000円
なし

浄化槽工事業登録業者が建設業の土木工事業、建築工事業、管工事業のいずれかの許可を取得した場合 、登録は自動的に失効し、特例浄化槽工事業の届出を新たに行う必要があります。

浄化槽工事業登録を受けても建設業許可が必要?

浄化槽工事業登録を受けていたとしても、税込み500万以上の浄化槽の設置工事や変更工事を請け負う場合は、建設業許可が必要になります。

建設業許可を取得する最大のメリットは、受注できる工事の金額に上限がなくなることです。

建設業許可がない状態では、浄化槽の設置工事や変更工事は1現場当たり最大でも500万円までの工事しか受注できないため、受注したくても行うことができない仕事があります。しかし、建設業許可を取得すれば上限額を気にすることなく、工事を受注できるようになります。

その結果、売上高を大幅に伸ばすチャンスとなり、大きく利益を増やすことができる可能性も出てきます。

なお、浄化槽設置は、建設業29業種の管工事業に分類されるため、建設業許可が取れるのか。もし今は取れないのあればどうすれば建設業許可が取れるか事前に確認しておきましょう。

行政書士に依頼するメリット

浄化槽工事業登録において、登録申請書の作成や添付書類の収集などはとても手間と時間がかかるものです。特に添付書類は法務局から取得しなくてはならなかったり、税務署から取得する必要があったりなど、慣れていないと時間と労力を要します。また、申請書類に不備があると、審査がストップしてしまいます。

今まで一度も申請をしたことがないと登録をするために、どれだけの時間と労力がかかるかも未知数だと思います。そのため、行政書士に依頼することで、スムーズに申請することができ、結果的にご自身で行うより早く事業をスタートすることができます。

浄化槽工事業登録のまとめ

建設業許可と関わりのある浄化槽工事業の登録手続きについて紹介しました。

建設業許可ほどハードルの高い要件はありませんが、営業所ごとに浄化槽設備士の選任が必要ですのを新たに浄化槽工事を始める場合は、従業員に浄化槽設備士がいるのか事前に確認しておきましょう。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。