建設業許可を取得すると、それまで請け負えなかった500万円以上の工事(建築一式工事の場合は1,500万円以上)を受注できるようになります。一方で、許可業者としての立場になることで、毎年義務となる手続きがいくつか発生します。
その中でも、まず確実に対応しておきたいのが「決算報告書(事業年度終了届)」の提出です。これは毎事業年度ごとに必ず提出が必要な届け出で、忘れてしまうと将来的に許可の更新や業種追加ができなくなるといった大きなリスクも生じます。
このページでは、建設業の決算報告について、
といったポイントをわかりやすく解説していきます。
建設業の決算報告は建設業許可業者が毎年負う義務です

建設業の決算報告(事業年度終了届)は、建設業許可を取得した事業者が、毎年、1年間の収支や工事実績を許可を受けた都道府県に報告するための書類です。この提出は、建設業許可を維持するために必要な義務の一つとなっています。
提出期限は、事業年度終了後4か月以内と定められています。例えば、3月末決算の法人であれば、提出期限は7月末。一人親方(個人事業主)の場合は、1月~12月の事業年度が基本となり、翌年4月末が期限となります。
税務申告だけでは不十分!行政庁への提出も必要
建設業許可業者の場合、事業年度終了後に行うのは税務署への申告(法人税や所得税の確定申告)だけではありません。税務申告が終わった後、許可を受けた行政庁に対して「建設業の決算報告書」の提出も必要です。
注意したいのは、建設業の決算報告書の作成は税理士では対応できない点です。
そのため、ご自身で作成するか、建設業に精通した行政書士など専門家に依頼する必要があります。
「どこから手をつけていいか分からない」…
そんなときは、建設業許可に強い行政書士がサポートします。
提出期限は「4か月以内」でも、実質の準備期間は短い!
決算報告書の提出期限は、事業年度終了後4か月以内です。一見余裕があるように思えますが、実際には準備期間は2か月程度しかありません。
一般的な法人の場合、決算後1〜2か月程度で、税務申告(法人税の確定申告)を行います。
そして建設業の決算報告書は、この税務申告書の内容をもとに作成するため、申告完了後の2か月間で作成・提出を行わなければなりません。
「4か月もある」と思っていても、建設業の決算報告書を作成するのは実質2か月程度しかないので注意が必要です。
決算報告を忘れるとどうなる?建設業許可の更新ができない!
ちなみにこの決算変更届(決算報告)ですが、「現場が忙しい時期だから」と提出しなかった場合はどうなるのでしょうか。
- 日々の業務が忙しく、決算変更届の提出を忘れてしまった!
- 5年に1度の建設業許可の更新は注意していたが、決算変更届は存在すら知らなかった!
決算変更届は本来、毎年の提出が義務付けられています。しかし、許可業者さんの中には、業務に追われているうちについ決算変更届の提出を忘れていたという方も意外と多いようです。
更新・業種追加などの行政手続きができない!
決算報告書を未提出のままにしておくと、
- 建設業許可の更新申請が受理されない
- 新たな業種の追加申請ができない
といった、行政手続き上の大きな支障が生じます。
特に更新時は注意が必要です。
5年間一度も決算報告を提出していなかった場合、5年分をまとめて出す必要があり、間に合わなければ許可が失効してしまいます。
※建設業許可が失効してしまうと、再取得に時間とコストがかかり、業務にも大きな影響が出ます。
決算変更届、今年も提出をお忘れではありませんか?
「どこから手をつけていいか分からない」「何年分もたまっている」…
そんなときは、建設業許可に強い行政書士がサポートします。
大型案件のチャンスを逃すリスクも
たとえば、急に取引先から大型案件の打診があり、短期間で業種追加の手続きが必要になることもあります。
しかし、決算報告が未提出の状態では、その前提となる業種追加申請ができません。しかも、まずは過去の決算報告書類を整える必要があり、時間がかかってしまいます。
最悪の場合、書類準備が間に合わず、受注のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
自社の工事実績の証明ができなくなる
決算変更届を毎年提出していれば、その中に記載された工事内容は、公式な実績として行政庁に記録されます。
これは、以下のような場面で重要な役割を果たします。
- 新たな業種の許可を申請する際の実績証明
- 公共工事への入札時に求められる業績資料
- 取引先に対して過去の実績を提示したいとき
一方で、決算変更届を提出していないと、「何の工事をどれだけ行ったのか」という証明ができなくなるため、代わりに他の書類(契約書や請求書、写真など)をかき集めて提出しなければならず、大変な手間がかかることになります。
決算変更届、今年も提出をお忘れではありませんか?
「どこから手をつけていいか分からない」「何年分もたまっている」…
そんなときは、建設業許可に強い行政書士がサポートします。
決算変更届に必要な書類一覧
建設業の決算変更届を提出するには、工事実績や財務状況に関する書類を建設業法に基づいた形式で整える必要があります。
以下に、法人・個人(個人事業主)それぞれに必要な書類と、作成時の注意点をまとめました。
【法人の場合】必要な書類一覧
書類名 | 備考 |
---|---|
決算変更届出書 | 様式 |
工事経歴書 | 対象年度の工事実績を記載。契約書や請求書等を元に作成 |
直前3年の工事施工金額 | 工事の種類ごとに金額を分類・記載 今後の業種追加時に非常に重要 |
貸借対照表 | 税務申告書の内容を建設業法に基づいた科目に振り分けて作成 |
損益計算書 | |
完成工事原価報告書 | 工事にかかった原価(材料費・外注費など)を記載 |
株主資本等変動計算書 | 資本金等の変動を記載 |
注記表 | 財務諸表を補足する重要な情報を記載 |
事業報告書 | |
納税証明書 | 知事許可:法人事業税 大臣許可:法人税 |
【個人の場合】必要な書類一覧
書類名 | 備考 |
---|---|
決算変更届出書 | 様式 |
工事経歴書 | 対象年度の工事実績を記載。契約書や請求書等を元に作成 |
直前3年の工事施工金額 | 工事の種類ごとに金額を分類・記載 今後の業種追加時に非常に重要 |
貸借対照表 | 税務申告書の内容を建設業法に基づいた科目に振り分けて作成 |
損益計算書 | |
完成工事原価報告書 | 工事にかかった原価(材料費・外注費など)を記載 |
株主資本等変動計算書 | 資本金等の変動を記載 |
注記表 | 財務諸表を補足する重要な情報を記載 |
納税証明書 | 知事許可:個人事業税 大臣許可:所得税 |
建設業の決算報告書、抜け漏れなく正確に提出したい方へ」
建設業の決算報告書は、必要な書類が多岐にわたり、特に財務関係は専門的な知識が求められます。
不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
ウィルホープ行政書士事務所では、これまで建設業許可をサポートさせていただいたお客様には、毎年決算報告書の提出時期が来ると、しっかりとご案内を行っています。
もし自分で書類を準備するのが難しい、内容に不安がある場合は、ぜひ私たちにご相談ください。
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