建設業は、国民の生活インフラを支える重要な役割を担う業界です。
そのため、建設や建築には工程を適切に管理できる人材が必須ですが、それを証明できる国家資格の一つが給水装置工事主任技術者です。
給水装置工事事業者が水道事業者から水道法に基づく指定(指定給水装置工事事業者)を受けるための必須の国家資格です。
したがって、この資格で建設業許可を取得できるのかという相談が多いですが、建設業許可においても、給水装置工事主任技術者の国家資格があると建設業許可を取得しやすくなります。
また、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。
このページでは、給水装置工事事業者がどのような業種の建設業許可を取得できるか紹介していきます!
建設業許可を取得するための要件について
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
そこで給水装置工事主任技術者は国家資格ですが、資格取得後に1年間の実務経験が必要なので、2.の条件に該当します。
そもそも給水装置工事主任技術者とは?
給水装置工事主任技術者は、給水装置工事事業者が水道事業者から水道法に基づく指定(指定給水装置工事事業者)を受けるための必須の国家資格です。
主な仕事内容は、
- 給水装置工事に関する技術上の管理
- 給水装置工事に従事する者の技術上の指導監督
- 給水装置工事に係る給水装置の構造及び材質が水道法第16条の規定に基づく政令で定める基準適合している事の確認
- その他厚生労働省令で定める職務(水道法第25条の4の3項)
- 水道事業者との給水装置工事に関する連絡調整
となっています。
そもそも給水設備とは、建物内の水やお湯を使用場所に運ぶための設備で、給水設備工事とはその給水設備を新たに設置したり、修繕を行ったりする工事のことを指します。
水回りの設備を取り付ける際に、排水工事や衛生設備工事などと合わせて行われるのが一般的です。
そのため、給水設備工事は水道利用者にとって、公衆衛生の向上における重要な職務であるといえるでしょう。そんな給水設備工事において、給水装置工事主任技術者は技術的な管理や指導、監督などの役割を担います。
給水装置工事主任技術者には1年以上の実務経験が必要です
「建築士や施工管理技士の場合は、実務経験の証明なくして建設業許可を取得する際の専任技術者になることができますが、「給水装置工事主任者」の場合、資格を持っているだけではダメで、免許交付後1年以上の実務経験を証明する必要があります。
免許交付後1年以上の実務経験を証明しなければ、建設業許可を取得するための「専任技術者」になることができません。
1年間の実務経験を証明する方法
そこで、1年間の実務経験についてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。
- 管工事業の建設業許可のある業者で1年以上実務経験を積んだ場合
- 管工事業の建設業許可のない業者で1年以上実務経験を積んだ場合
①管工事業の建設業許可のある業者で1年以上実務経験を積んだ場合
許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。
しかし、電気工事業の建設業許可を取得かつ電気工事業登録を受けている他社での3年以上の実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。
建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。
②管工事業の建設業許可のない業者で1年以上実務経験を積んだ場合
建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。
まず、給排水工事等の管工事業に関する実務経験を1年間証明するためには、その会社での給排水工事に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。
前職の経験を証明したい場合は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。
諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。
専任技術者の配置する場合の注意する点
専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
指定給水装置工事事業者になることもできる!
指定給水装置工事事業者とは、各自治体の水道事業者により給水区域内における給水装置工事を適正な技術によって施工できると認められた水道工事業者のことで、給水装置工事主任技術者を営業所に配置できれば、指定給水装置工事業者になることができます。
▼指定給水装置工事業者になることでできる業務
- 給水管や水栓の新設工事
- 給水管の種類変更や増設などの改造工事
- 給水管や水栓を取り外す撤去や修繕工事
指定給水装置工事事業者以外の業者が、給水管の新設や交換といった給水装置の工事を行うことはできません。
建設業許可を取得かつ給水工事事業者の指定を受けられば、様々な給水工事を請け負えるというメリットもありますので、給水装置工事主任技術者の資格で建設業許可を取得する場合は、給水工事事業者の指定もぜひご検討ください。
給水装置工事主任技術者で建設業許可を取得する場合のまとめ
今回は、給水装置工事主任技術者がどのような業種の建設業許可を取得できるかというテーマでご紹介しました。
給水装置工事主任技術者の資格は、わずか1年間の実務経験を証明することで管工事業の建設業許可で専任技術者になることができるので、配管設備工事を幅広く行う事業者様にとっては、かなり便利な資格です。
しかし、建設業許可は専任技術者以外にも様々な要件をクリアする必要があり、申請するためにも作成する書類は膨大です。
なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。