
建具製作技能士とは、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定の建具製作に合格した人に与えられる国家資格です。
建具製作技能検定においては、建具の製作に必要な技能を測る試験が行われます。
建具製作技能士とは
「建具」とは、建物の外部に使われるものと内部に使われるものの2種類に分かれ、外部の建具は建物への出入口、また建物を風雨から守り建物の外観を整える役割もします。
内部の建具は、個室の出入口、大部屋の間仕切、クローゼットの扉、和室では代表的な襖、紙貼り障子、書院障子、欄間等です。それらに使われる組子細工は200種以上もあり、その部屋を美しく創り上げるのに役立っています。建具は木製、アルミ製、樹脂系などとその素材も多くなっていますが、木製建具の製作には高度な技能が求められます。
そして、建具製作技能士は、それらの建具工事に関する技能を認定する国家資格です。
「建具製作技能士」は、厚労省が所管する技能検定制度の一種であり、都道府県職業能力開発協会が認定試験を実施しています。
「建具製作技能士」には1級・2級・3級があり、合格すると1級は厚生労働大臣から、2級・3級は各都道府県知事からそれぞれ合格証書が交付され、「技能士」を称することができます。
そして、建具制作技能士の資格を得ることで、建具制作工事についての専門的知識・技術を有しているとお墨付きをもらえるのです。
建具製作技能技能検定の受験資格
建具製作技能検定の受験資格は、学歴等に応じて下記のとおりになっております。
▼2級の受験資格
学歴等 | 必要な実務経験年数 | ||
通常 | 3級合格後 | ||
実務経験のみ | 2年 | 0年 | |
専門高校卒業 | 0年 | 0年 | |
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業 | 0年 | 0年 | |
短期大学卒業 | 0年 | 0年 | |
高等専門学校卒業 | 0年 | 0年 | |
高校専攻科卒業 | 0年 | 0年 | |
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 0年 | 0年 | |
大学卒業 | 0年 | 0年 |
▼1級の受験資格
学歴等 | 必要な実務経験年数 | |||
通常 | 2級合格後 | 3級合格後 | ||
実務経験のみ | 7年 | 2年 | 4年 | |
専門高校卒業 | 6年 | 2年 | 4年 | |
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業 | 6年 | 2年 | 4年 | |
短期大学卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
高等専門学校卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
高校専攻科卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
大学卒業 | 4年 | 2年 | 4年 |
試験日
技能検定は、年1回行われます。
試験区分 | 試験日 |
---|---|
実技試験 | 例年6~9月頃 |
学科試験 | 例年7~9月頃 |
2級建具製作技能検定の試験内容
学科試験科目 | 範囲 |
---|---|
1. 建具一般 | 建具の種類及び構造 |
2. 建築物一般 | 建築物の種類及び構造 |
3. 製図 | 日本工業規格に定める図示法及び材料記号 |
4. 電気 | 電気用語 |
電気機械器具の使用方法 | |
5. 関係法規 | 建築基準法関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律関係法令、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律関係法令のうち、建具製作に関する部分 |
6. 安全衛生 | 安全衛生に関する詳細な知識 |
7-1. 木製建具手加工作業法 | 木製建具用材料の種類、規格、性質及び用途 |
材料の乾燥の方法 | |
木工機械の種類、規格、構造及び使用方法 | |
木工用器工具の種類、規格及び使用方法 | |
寸法取りの方法 | |
木材工作の方法 | |
組立て、仕上げ及び建付けの方法 | |
関連設備の種類及び用途 | |
7-2. 木製建具機械加工作業法 | 木製建具用材料の種類、規格、性質及び用途 |
材料の乾燥の方法 | |
木工機械の種類、規格、構造及び使用方法 | |
木工用器工具の種類、規格及び使用方法 | |
ジグ及び取付け具の製作方法及び使用方法 | |
切削工具及び研削工具の種類、規格及び使用方法 | |
寸法取りの方法 | |
木材工作の方法 | |
組立て、仕上げ及び建付けの方法 | |
関連設備の種類及び用途 |
※7-1または7-2のうちいずれか1科目を選択
実技試験科目 | 範囲 |
---|---|
1. 木製建具手加工作業 | 寸法取り |
木取り | |
型板及び型台の製作 | |
木製建具の工作 | |
建付け | |
2. 木製建具機械加工作業 | 寸法取り |
木取り | |
型板及び型台の製作 | |
木製建具の工作 | |
切削工具の切削及び調整 | |
研削工具の選択及び調整 | |
建付け |
※1または2のうちいずれか1科目を選択
1級建具製作技能検定の試験内容
学科試験科目 | 範囲 |
---|---|
1. 建具一般 | 建具の種類及び構造 |
2. 建築物一般 | 建築物の種類及び構造 |
3. 製図 | 日本工業規格に定める図示法及び材料記号 |
4. 電気 | 電気用語 |
電気機械器具の使用方法 | |
5. 関係法規 | 建築基準法関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律関係法令、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律関係法令のうち、建具製作に関する部分 |
6. 安全衛生 | 安全衛生に関する詳細な知識 |
7-1. 木製建具手加工作業法 | 木製建具用材料の種類、規格、性質及び用途 |
材料の乾燥の方法 | |
木工機械の種類、規格、構造及び使用方法 | |
木工用器工具の種類、規格及び使用方法 | |
寸法取りの方法 | |
木材工作の方法 | |
組立て、仕上げ及び建付けの方法 | |
関連設備の種類及び用途 | |
7-2. 木製建具機械加工作業法 | 木製建具用材料の種類、規格、性質及び用途 |
材料の乾燥の方法 | |
木工機械の種類、規格、構造及び使用方法 | |
木工用器工具の種類、規格及び使用方法 | |
ジグ及び取付け具の製作方法及び使用方法 | |
切削工具及び研削工具の種類、規格及び使用方法 | |
寸法取りの方法 | |
木材工作の方法 | |
組立て、仕上げ及び建付けの方法 | |
関連設備の種類及び用途 |
※7-1または7-2のうちいずれか1科目を選択
実技試験科目 | 範囲 |
---|---|
1. 木製建具手加工作業 | 寸法取り |
木取り | |
型板及び型台の製作 | |
木製建具の工作 | |
建付け | |
積算及び見積り | |
2. 木製建具機械加工作業 | 寸法取り |
木取り | |
型板及び型台の製作 | |
木製建具の工作 | |
切削工具の切削及び調整 | |
研削工具の選択及び調整 | |
建付け | |
積算及び見積り |
※1または2のうちいずれか1科目を選択
これに合格することで、建具製作技能士の資格を得ることができます。
建設業許可を取得するための要件について

この資格を取得後、どうやったら建設業許可が取れるのでしょうか?
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
そこで1級・2級建具製作技能士ともに国家資格なのですが、2級に関しては資格取得後一定の実務経験を証明しなければ専任技術者となることはできません。
専任技術者になることができる建設業種
1級建具製作技能士と2級建具製作技能士は、建設業許可における下記の業種の専任技術者になることができます。
- 建具工事業
※2級の場合は、試験合格後3年以上の実務経験を証明する必要あり
2級の場合の3年間の実務経験を証明する方法
3年間の実務経験を証明するケースについてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。
- 建具工事業の建設業許可のある業者で3年以上実務経験を積んだ場合
- 建具工事業の建設業許可のない業者で3年以上実務経験を積んだ場合
①建具工事業の建設業許可のある業者で3年以上実務経験を積んだ場合
許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。
しかし、建具工事業の建設業許可を取得している他社での3年以上の実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。
建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。
②建具工事業の建設業許可のない業者で3年以上実務経験を積んだ場合
建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。
まず、建具工事業に関する実務経験を3年以上証明するためには、その会社での建具工事業に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。
前職の経験を証明したい場合は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。
諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。
建具工事業の建設業許可を取得して請け負える工事
サッシやシャッターの取り付けなど、建具を設置する工事はこの区分に該当し、建具工事業と呼ばれます。
この区分に該当する工事の例としては次のものがあります。
例:金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、 金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア-取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事
「建具」とは「開口部に設けられた障子やふすま、窓、ドア、戸などの可動部分と、それを支える枠(建具枠や鴨居、敷居)などの総称」とあります。つまり空間を仕切るための可動部分含めた枠と考えてもらえばよいでしょう。
金属製のカーテンウォールの取付け工事なども、建具工事に含まれます。またただ取り付けるだけではなく、防犯性能や断熱性能、省エネ性能なども考慮して、最適な建具の選定を行うのも建具工事の要素でもあります。
建具製作技能士のまとめ
今回は、専任技術者になれる建具製作技能士についてご紹介しました。
1級技能士の資格は、10年間の実務経験を証明することなく専任技術者になることができますし、2級技能士の資格でも合格後3年以上の実務経験を証明することで専任技術者になることができます。建設業許可を取得・業種追加をしたい業者にはおすすめの資格です。
しかし、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要があり、申請するためにも作成する書類は膨大です。
なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
なお、建設業許可は営業所を構えている都道府県に申請をすることになりますが、各都道府県によって審査基準が大きく変わります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で建設業許可の取り方を裏ワザも含めてまとめているので、ぜひご確認ください。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。