【建設業許可】東京都で義務化される太陽光パネル設置は許可必要です!

太陽光発電の導入が年々増加しています。すでに世界各地では導入を義務化している都市もある中、ついに東京都でも新築住宅などへの太陽光パネルの設置義務化が始まります!

そこで今回は、2025年4月から太陽パネル設置を主に請け負う予定の建設業者が「元請業者から建設業許可を取得するよう言われている」「元請業者から無許可業者には工事を発注しないと言われた」という状況で建設業許可を取りたいけど、どうやったら許可が取れるのか・どんな要件を満たせばいいのかわからない事業者さんは多いのではないでしょうか。

このページでは太陽光パネル設置をこれから専門に行う建設業者が、建設業許可を取る方法についてご説明していきたいと思います。

太陽光パネル設置工事とは

建設業法では建設工事を「2種類の一式工事」と「27種類の専門工事」に区分しています。しかし、太陽光パネル設置工事という区分はありません。

では太陽光パネル設置工事は建設業法上、どの区分の工事に該当するかというと、原則「電気工事業」になりますが、太陽光パネルの形状や請け負う目的によっては「屋根工事業」「とび土工工事業」のいづれかになります。

まず、太陽光パネルの設置工事一式を請け負う場合の業種は「電気工事業」になります。もちろん「屋根置き型」の太陽光パネル設置工事も、屋根工事は行わずに太陽光パネル(太陽光発電設備)を設置する工事のみため、「電気工事業」に該当します。

続いて、太陽光パネルが「屋根一体型」の場合は、太陽光パネル自体が屋根材となっているため、屋根ふき工事のため、「屋根工事業」に該当します。

最後に、太陽光パネルを庭などに設置する場合で、基礎部分や架台部分の設置のみを請け負う場合や太陽光パネルを固定する工事のみの場合の業種は「とび・土工工事業」になります。

▼屋根置き型太陽光パネル

▼屋根一体型太陽光パネル

したがって、太陽光パネル設置工事といっても、太陽光パネルの形状や目的によってどの業種の建設業許可をとるのかを慎重に判断する必要があります。

建設業許可は人的要件が特に重要です!

建設業許可を取得するためにはさまざま要件をクリアする必要があり、特にハードルが高いのが人的要件である「経営業務の管理責任者」「専任技術者」です。

なかなかイメージするには難しい言葉だと思います。簡単に言うと「経営の責任者」「技術の責任者」と考えていただければと思います。

経営の責任者になれる方は?

まずは「経営の責任者:経営業務の管理責任者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。

  1. 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者
  2. 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(建設部長等)にあり、経営業務のある者
  3. 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
  4. 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
  5. 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。

技術の責任者になれる方は?

続いて「技術の責任者:専任技術者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。

専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

ここで注意点!

許可を取得する業種によって、技術の責任者の要件が変わります!

①電気工事業と②屋根工事業と③とび土工工事業とでそれぞれ紹介していきます。

定められた国家資格を持っている

▼電気工事業の場合

  • 一級電気工事施工管理技士
  • 二級電気工事施工管理技士
  • 第一種電気工事士
  • 技術士
  • 登録電気工事基幹技能者
  • 登録送電線工事基幹技能者
  • 登録計装基幹技能者

▼屋根工事業の場合

  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)
  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 一級建築板金技能士(ダクト板金作業)
  • 一級建築板金技能士(内外装板金作業)
  • 一級かわらぶき技能士
  • 登録建築板金基幹技能者

▼とび土工工事業の場合

  • 建設機械施工管理技士(一級または二級)
  • 一級土木施工管理技士
  • 二級土木施工管理技士(種別:土木)
  • 二級土木施工管理技士(種別:薬液注入)
  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(種別:躯体)
  • 技術士
  • 基礎施工士(登録基礎ぐい工事試験)
  • 一級ウェルポイント施工技能士
  • 型枠施工技能士
  • とび技能士
  • コンクリート圧送施工技能士
  • 登録グラウト基幹技能者
  • 登録運動施設基幹技能者
  • 登録基礎工基幹技能者
  • 登録標識・路面標示基幹技能者
  • 登録土工基幹技能者
  • 登録発破・破砕基幹技能者
  • 登録圧入工基幹技能者
  • 登録送電線工事基幹技能者
  • 登録あと施工アンカー基幹技能者
  • 登録土質改良基幹技能者
  • 登録都市トンネル基幹技能者
  • 登録潜函基幹技能者

登録基幹技能者の場合は修了証に「主任技術者の要件を満たすものであると認められます」という記載が必須です。

定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある

▼電気工事業の場合

<資格取得後、電気工事に関する3年以上の実務経験があるもの>

  • 第二種電気工事士

<資格取得後、電気工事に関する5年以上の実務経験があるもの>

  • 電気主任技術者(一種、二種、三種)

▼屋根工事業の場合

<資格取得後、屋根工事に関する3年以上の実務経験があるもの>

  • 一級土木施工管理技士
  • 一級土木施工管理技士補
  • 一級建築施工管理技士補
  • 一級造園施工管理技士
  • 一級造園施工管理技士補
  • 二級建築板金技能士(ダクト板金作業)
  • 二級建築板金技能士(内外装板金作業)
  • 二級かわらぶき技能士


<資格取得後、屋根工事に関する5年以上の実務経験があるもの>

  • 二級造園施工管理技士補
  • 二級土木施工管理技士(種別:土木)
  • 二級土木施工管理技士(種別:鋼構造物塗装)
  • 二級土木施工管理技士(種別:薬液注入)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:土木)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:鋼構造物塗装)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:薬液注入)
  • 二級建築施工管理技士(種別:建築)
  • 二級建築施工管理技士(種別:躯体)
  • 二級建築施工管理技士補
  • 二級造園施工管理技士

▼とび土工工事業の場合

<資格取得後、とび土工工事に関する3年以上の実務経験があるもの>

  • 一級土木施工管理技士補
  • 一級建築施工管理技士補
  • 一級造園施工管理技士
  • 一級造園施工管理技士補
  • 二級ウェルポイント施工技能士
  • 二級型枠施工技能士
  • 二級とび技能士
  • 二級コンクリート圧送施工技能士

<資格取得後、とび土工工事に関する5年以上の実務経験があるもの>

  • 二級土木施工管理技士(種別:鋼構造物塗装)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:土木)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:鋼構造物塗装)
  • 二級土木施工管理技士補(種別:薬液注入)
  • 二級建築施工管理技士(種別:建築)
  • 二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)
  • 二級建築施工管理技士補
  • 二級造園施工管理技士
  • 二級造園施工管理技士補

指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある

▼電気工事工事業の場合

なし

▼屋根工事工事業の場合

大学にて土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学に関する学科を卒業し、屋根工事に関する3年以上(高校の場合は5年以上)の実務経験がある。

▼とび土工工事業の場合

大学にて土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学に関する学科を卒業し、とび土工工事に関する3年以上(高校の場合は5年以上)の実務経験がある。

10年以上の実務経験がある

▼電気工事業の場合

10年間の実務経験では認められない。

▼屋根工事業の場合

屋根工事に関する10年以上の実務経験がある。

▼とび土工工事業の場合

とび土工工事に関する10年以上の実務経験がある。

「第2種電気工事士」や「電気主任技術者(一種、二種、三種)」は実務経験が必要

「第1種電気工事士」や「電気工事施工管理技士」の場合は、実務経験の証明なくして建設業許可を取得する際の専任技術者になることができますが、「第2種電気工事士」「電気主任技術者(一種、二種、三種)」の場合、資格を持っているだけではダメで、資格取得後3年もしくは5年以上の実務経験を証明する必要があります。

電気工事の実務経験を証明するには、電気工事業の登録をしている会社もしくは個人事業主での勤務経験であることが必要です。

電気工事業は登録制となっており、電気工事業を営むには「経済産業大臣」もしくは「都道府県知事」の登録を受けなければなりません。

つまり、登録を受けずに電気工事業を営むことは違法です。この違法営業中の実務経験は使用することはできません。そのため「第2種電気工事士」「電気主任技術者(一種、二種、三種)」が専任技術者になるために必要な資格取得後3年もしくは5年以上の実務経験は、「電気工事業の登録を受けている法人または個人事業主での実務経験」というような限定的な解釈がなされるのです。

よくあるのが、電気工事業登録を受けていない会社からの相談で「3年前に第2種電気工事の資格を取得した社員がいるのたけど…」といったお問合せです。

この場合、資格を取得後、3年間建設業に関する何かしらの実務経験を積んでいるかもしれませんが、電気工事については、電気工事業登録を受けていない以上、電気工事についての実務経験は証明することができません。

そのため、いくら「第2種電気工事の資格を持っている社員がいる」としても、その社員を専任技術者にして電気工事業の建設業許可を取得することはできないのです。

「第2種電気工事士」や「電気主任技術者(一種、二種、三種)」の実務経験を証明する方法

ここまでで、電気工事業の建設業許可を取得する場合は、専任技術者の要件が特殊であることを紹介してきました。

そこで、「第2種電気工事士」や「電気主任技術者(一種、二種、三種)」の実務経験についてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。

  1. 電気工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合
  2. 電気工事業の建設業許可はないが電気工事業登録のある業者で実務経験を積んだ場合

①電気工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合

許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。

しかし、電気工事業の場合は建設業許可を有していても電気工事業登録は必要ですので、その実務経験を有していた期間、電気工事業登録を受けていたかの証明する必要があります。

▼電気工事業登録を受けていたかの証明方法

  • 電気工事業開始届出書のコピー
  • 電気工事業届出済証明書のコピー

しかし、電気工事業の建設業許可を取得かつ電気工事業登録を受けている他社での3年以上の実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。

建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。

しかし、電気工事登録を受けていたから確認は、前職に協力していただく必要があります。当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。

諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。

②電気工事業の建設業許可はないが電気工事業登録のある業者で実務経験を積んだ場合

建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。

まず、電気工事の実務経験を証明するためには、その会社での電気工事に関する請負契約書注文書+請書請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。

また、その期間電気工事業登録を受けていることも必要になりますので、その期間分の電気工事業登録証を用意する必要があります。

建設業許可を有していない場合の電気工事業登録については、その会社がどこの都道府県で登録を受けていたか確認をしましょう。東京都の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで登録を取得していたか教えてくれる場合があります。

工事を行っていたかの証明は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。

諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。

とび・土工工事業であれば登録土工基幹技能者の講習受講を狙う!

実務経験を証明できないとなると資格を取るしかないわけですが、施工管理技士の試験や技能検定試験はハードルが高く感じるかもしれません。

実はとび・土工工事業であれば、講習を受講することで専任技術者になる方法があります。

「登録土工基幹技能者講習」という技能講習を受ける(修了テストはあります)ことで専任技術者の資格を得ることができます。

この技能講習の受講資格は10年以上の実務経験と3年以上の職長経験(契約書、注文書等の証明書類は不要)と以下の1~13のうち2つ以上を修了しているか、14を修了しているかで足ります。

⑨~⑬あたりはすでに修了している方も多いのではないでしょうか。

<2つ以上を修了していることが条件>

  1. 地山の掘削作業主任者技能講習
  2. 土止め支保工作業主任者技能講習
  3. 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習
  4. 足場の組立て等作業主任者技能講習
  5. コンクリート破砕器作業主任者技能講習
  6. はい作業主任者技能講習
  7. 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
  8. 不整地運搬車運転技能講習
  9. 高所作業者運転技能講習
  10. フォークリフト運転技能講習
  11. 小型移動式クレーン運転技能講習
  12. 玉掛け技能講習
  13. ガス溶接技能講習

<1つの修了で大丈夫>

14.地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講

講習は2日間で計600分、修了テストは60分、年に2回開催されています。

それぞれの違い

「経営の責任者:経営業務の管理責任者」と「技術の責任者:専任技術者」の違いは、「経営業務の管理責任者」は上記に記載したある一定の経営経験があれば、建設業許可の全ての業種の「経営管理の管理責任者」になることができますが、

「専任技術者」は業種ごとに実務経験や資格、学歴が定められており、複数業種の専任技術者になるためにはそれぞれ業種ごとに定められた条件をクリアする必要があるのです。

各責任者の選任する場合の注意する点

「経営の責任者」も「技術の責任者」も選任する場合に、下記の項目に注意する必要があります。

必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか

これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。

建設業許可を取得するためのまとめ

建設業の業種については、かなり複雑に分けられています。太陽光パネル設置工事だからと言って電気工事業だと断定せず、一度行政庁や専門家へご相談いただくのがよいかと思います。

また、建設業許可を取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。基本的な許認可であれば、有資格者がいれば取得できることも多いなか、建設業許可はかなりハードルの高い許可といえます。

どうしようもできずに「裏ワザ」はないのか?という質問をよくされます。なんと、建設業許可には「裏ワザ」があります!

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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