劇場、デパート、ホテルなどの建物は、その用途、規模、収容人員に応じて屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置が法律により義務づけられており、それらの工事、整備等を行うには、消防設備士の資格が必要です。
消防設備士には甲種と乙種の2種類あり、甲種消防設備士は、消防用設備等又は特殊消防用設備等(特類の資格者のみ)の工事、整備、点検ができ、乙種消防設備士は消防用設備等の整備、点検を行うことができます。
消防施設工事は木造住宅や火災の多い日本にとってはとても重要な工事です。そして、消防設備士の資格があると建設業許可を取得しやすくなることはもちろん、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。
このページでは、消防設備士がどのような業種の建設業許可を取得できるか紹介していきます!
建設業許可を取得するための要件について
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
消防設備士(甲種・乙種ともに)は「定められた国家資格」に該当しますので、この消防設備士(甲種・乙種ともに)を持っていれば専任技術者になれます!
専任技術者になることができる建設業種
消防設備士(甲種・乙種ともに)は、建設業許可における下記の業種の専任技術者になることができます。
- 消防施設工事業
専任技術者の配置する場合の注意する点
専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
消防設備士(甲種・乙種ともに)で建設業許可を取得する場合のまとめ
今回は、消防設備士がどのような業種の建設業許可を取得できるかというテーマでご紹介しました。
消防設備士(甲種・乙種ともに)は消防法に定められている国家資格です。また、建設業法で専任技術者や主任技術者になることができる国家資格でもあります!
なお、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要がありますので、なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
建設業許可を取って500万円以上に大きな工事を請け負って頑張りたいのに、許可を取得するための要件を満たしていない、もしくは、要件を満たしているのに過去の書類が残っていなく困っている建設業者さんはかなりいます。
どうしようもできずに「裏ワザ」はないのか?という質問をよくされます。建設業許可を専門にやっていた行政書士だから知っている、「裏ワザ」があります!
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。