建設業許可が取れるまでの期間を行政書士が詳しく解説!

建設業を新たに始めようと思った場合、どのくらいの手続き期間が必要なのでしょうか。

営業や銀行融資の都合上、少しでも早く手元に建設業許可がほしい場合もあると思います。

ここでは、建設業許可を申請してから許可を取得できるまで標準的な期間を説明します。

1. 建設業の許可申請にかかる期間

建設業の申請については、特に申請書類に問題がなければ1か月から3か月程度で許可を取得することができます

上記は、間違いのない申請書類一式を窓口に提出してからの期間になりますので、内容に問題があれば修正等のやり取りが必要になり、さらに時間がかかります。

建設業の許可申請は内容や添付書類が非常に多く複雑です。できるだけ早く建設業許可を取得するためには、各行政庁の担当部署や専門の行政書士への相談が非常に重要です。事前に提出予定の書類を持参し内容に関するアドバイスをもらいながら書類を整えるとよいと思います。

2. 知事免許と大臣免許

上記のように完了するまでの期間に大きな幅が存在するのは、下記の理由によります。建設業には、「建設業許可」といっても2つの許可の区分が存在します。

まずは、営業所の所在地による分類です。複数の都道府県に営業所を設置して営業を行う場合、本店所在地の地方整備局長等の許可が必要になります。これを国土交通大臣許可と言います。

一つの都道府県でのみ営業を行う場合は、都道府県の許可が必要になります。これを各都道府県知事免許と言います。

また、下請契約の発注金額の規模による分類もあります。一定以上の下請契約を締結する場合には特定建設業の許可が必要になります。それ以外の場合においては、一般建設業の許可で十分です。

上記の分類のうち、申請期間に影響するのは大臣許可なのか都道府県知事許可なのかという区分になります。国土交通大臣許可の場合は、申請が受理されてから各県の県庁所在地の土木事務所での審査が約30日かかり、その後、各地方整備局でさらに90日程度の審査期間があるとされています。よって合計120日程度の審査期間を要します。

東京都知事許可の場合は、申請が受理されてから審査期間は28日と定めていますので、大臣許可と比べてもかなり審査期間が短いことが分かります。

ただし、これはあくまでも「標準処理期間」に関する規定になりますので、実際にはさらに期間を要することもあります。反対に、早く許可が下りることもあります。

3. 法人成りする場合

会社設立手続き

現在個人事業主として建設業を行っている方が、法人化してから建設業許可を取得する場合はどの程度期間が必要なのでしょうか?

法人の設立については、法務局に申請して行います。法務局の混雑状況によりますが、申請書類を提出してから約2週間あれば登記は完了し、履歴事項全部証明書が取得できるようになります。

ただし、申請書類一式の中に取締役の就任承諾書があります。原則的には、ここに印鑑証明の添付と実印の押印が必要ですので取締役に就任する方が地方に住んでいる場合や、海外にいる場合などにはもう少し時間がかかりそうです。

社会保険への加入手続き

建設業に従事する労働者の労働環境の向上のため、令和2年10月の法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。そのため、法人を設立した段階で社会保険への加入が義務となります。建設業許可申請の際に、この社会保険の加入していることがわかる書類が必要になります。

また、専任技術者や経営業務の管理責任者の常勤性の確認のために健康保険証(コピー)の提出も必要なります。健康保険証は社会保険加入手続き完了後、発行までに2週間程度かかることが多いです。

個人事業主から法人化して建設業許可を申請するためには、まずは法人登記の手続きに約2週間。その後、社会保険加入手続きに約2週間(計4週間)経過しなければ建設業許可の申請はすることができません。

また、建設業許可申請が受理されたら、各行政庁で審査期間がございますので、東京都知事許可の場合でも、法人化してから建設業許可を取得するまでに約2カ月の期間を要してしまいます。早く許可を取得するためには、なるべく申請書類の準備期間を短縮したいところです。

まとめ

本ページでは、建設業を新たに始めようと思った場合、どのくらいの手続き期間が必要なのかを紹介しました。

各行政庁での審査期間が設けられていますので、早く建設業許可が必要なのであれば、許可取得を検討してから申請までの書類準備期間をなるべく短縮する必要があります。

はじめて建設業許可の申請を行う場合は、用意する書類や要件の確認に手間を要し時間がかかってしまうことが多いので、行政書士等の専門家に依頼する場合も、自身で行う場合もまずは全体像を把握しておきましょう!

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。