産業廃棄物収集運搬業許可は、産業廃棄物の収集・運搬を委託され、事業として行う場合に必要な許可です。建設業者さんにとっても、原状回復工事や解体工事の現場で発生した廃棄物をごみ処理場へ運び、手数料を得るには、この許可が必要になることがあります。
このページでは、産業廃棄物収集運搬業許可についてや建設業者さんが産業廃棄物収集運搬業許可を取得するメリットについて、解説します。
そもそも産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動に伴って排出された廃棄物のことです。その種類は廃棄物処理法によって定められおり、「廃プラスチック類」や「紙くず」、「鉄くず」など、全部で20種類に分類されています。事業活動に伴って排出されるという部分がポイントになっており、一般家庭から出るごみは産業廃棄物には該当しません。
また産業廃棄物の中でも特に、毒性があったり感染性があったり、人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があるものは「特別管理産業廃棄物」と呼ばれ、その扱いがより厳しくなり、「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」が必要となりますので注意しましょう。
産業廃棄物取集運搬業許可ってどんな資格?
産業廃棄物の収集運搬を事業として行う場合、収集・運搬する各都道府県からの許可を取得必要です。
許可を得るためには、施設に関する基準と申請者本人の能力に関わる基準を満たす必要があります。
主な条件は以下の通りです。
【収集運搬業許可の主な条件】
- 日本産業廃棄物処理振興センターの講習を修了していること
- 経理的基礎を備えていること(直近3年間赤字や債務超過になっていないこと)
- 廃棄物の運搬車両・運搬容器を備えていること
1.講習会については、全国で開催されておりますが、定員が設けれらているので早めに受講しましょう。
2.経理的基礎については、事業に収益性がなく経営状態が悪い場合は、経理的基礎がないとみなされるかもしれません。許可を取得する都道府県によって条件が異なっているので、事前に確認が必要です。もし、現在債務超過になっている場合は早めに行政書士等の専門家に相談してみましょう。
3.運搬車両や容器は実際に収集運搬を行う廃棄物に適した車両や容器を備えているのかがポイントになります。廃棄物の飛散・流出や悪臭・騒音・振動などの恐れのない適切な状態であることが不可欠です。
この許可なく、産業廃棄物を収集・運搬した場合、無許可営業として「5年以下の懲役または1000万円以下の罰金」または「その併科」となります。
建設業許可と同じく許可の有効期限は5年間なので、許可が切れてしまわないよう注意が必要です。
建設業で産業廃棄物収集運搬業許可を取得すれば事業の幅が広がります
建設業で産業廃棄物収集運搬業許可を取得すれば「事業の幅が広がる」という大きなメリットがあります。
建設現場では廃材やがれきなどの建設廃棄物が必ず出ますが、この建設廃棄物の排出事業者は『元請業者』になります。建設現場で発生する廃棄物は元請業者が適正に処理する責任を負うのです。
一方で、下請け事業者は排出事業者ではありません。そのため、建設現場での作業一切を請け負っていたとしても、産業廃棄物収集運搬業許可がない場合には収集・運搬を行うことができません。
元請業者は建設と産業廃棄物の収集運搬のそれぞれを別の業者に仕事を回すことも可能ですが、産業廃棄物の収集運搬の許可を持つ建設業者であれば工事の材料を現場に運んできたトラックを活用して建設廃棄物を運搬するなどの建設現場の効率性を測ることができます。
また、解体工事などは多くの産業廃棄物がでます。これらの廃棄物には建設リサイクル法によって再資源化するために現場での分別が必要になります。そのため、工事を行う解体工事業者がこの分別や収集運搬を行うことが効率的になります。
これらの建設現場での効率化を考えて、一般的には工事と運搬は切り分けること無く同じ業者に発注されています。
建設業者が産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際の注意点
産業廃棄物収集運搬業許可を申請する場合、会社の事業目的に「産業廃棄物の収運・運搬に関する記載」が必要です。
事業目的は、定款や登記簿謄本などで確認することができます。
もし、事業目的に記載が全くない場合は事業目的の追加・変更が必要になりなり、変更登記手続きに時間がかかってしまいます。なるべく早くから準備することが必要です。
また、産業廃棄物収集運搬業許可の申請手続きはとても複雑です。
まずは申請先がどこの都道府県の許可が必要なのかを確認し、その後申請書類を作成準備しなければいけません。都道府県ごとに用意しなければいけない書類も異なってます。
もし、効率よく許可の取得を目指すのであれば、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
建設業の会社が産業廃棄物収集運搬業許可を取るメリット まとめ
建設業の会社が産業廃棄物収集許可を取るメリットは「事業の幅が広がること」です。建設現場では色々な産業廃棄物が発生します。
この許可があれば、工事の材料を現場に運んできたトラックを活用して建設廃棄物を運搬することが可能です。
元請業者としても、下請業者が建設廃棄物を収集・運搬することができれば別の業者に依頼する手間が省けるので効率的です。
もし、効率よく許可を取って産業廃棄物の運搬ビジネスをスタートさせたいのであれば、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。