【神奈川】建設業許可に必要な要件をまるっと解説!

建設業許可は、大きく分けて国土交通大臣許可と各都道府県知事許可の2種類あります。どちらも同じ建設業許可ですが、このページでは、神奈川県知事許可を取得するために、どのような要件を満たせばよいかをご紹介します。

神奈川県に営業所があるかを確認しましょう!

神奈川県知事の建設業許可は、神奈川県内にのみ建設業の営業所があり、かつ、他の都道府県には建設業の営業所を設けていないことが場合に該当します。複数の都道府県に営業所がある場合には国土交通大臣許可が必要になってしますので、事前に営業所の場所は確認しましょう。

なお、建設業許可における営業所とは、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所のこと」を言います。

営業所と認められるためには、契約締結の権限が与えられていることが必要であり、少なくとも以下の要件を備えていなければなりません。

  • 工事の見積もりや入札、契約書の締結行為など、請負契約に係る実体的な業務を行っていること
  • 契約締結に関する権限を付与された者が常勤していること
  • 営業を行う場所を有し、電話や机などの物理的な施設を備えていること
  • 専任技術者が常勤していること

そのため、神奈川県と埼玉県で営業所を構えていても、神奈川県の営業所では建設業に関するすべての業務を行い、埼玉県の営業所では不動産取引のみの業務を行っている場合には、神奈川県の営業所のみ建設業の営業所に該当するため、神奈川県知事の建設業許可が必要になるということです。

【神奈川県】建設業許可の6つの要件とは?

建設業許可を受けるためには、以下の6つの要件をクリアしなければなりません。

要件①経営業務の管理責任者がいること

1つ目の要件は、営業所(本店)に常勤する経営業務の管理責任者がいることです。経営業務の管理責任者の要件は常勤している取締役のうち、つぎの(イ)(ロ)(ハ)のいづれかの要件を満たす必要があります。

(イ)常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること

  • (1)建設業に関し5年以上取締役としての経験を有する者
  • (2)建設業に関し5年以上取締役に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
  • (3)建設業に関し6年以上取締役に準ずる地位にある者として経営業務管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者

(2)の「準ずる地位」とは取締役会設置会社において、取締役会の決議を経て具体的な権限委譲を受けた執行役員を指します。(建設業において一定の権限を与えられた建設部長のようなイメージです。)

(ロ)建設業に関する経営体制を有する者(以下①と②をともに置く者)

① 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者

  • 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
  • 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者

② 上記①を直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者

(ハ)国土交通大臣が(イ)または(ロ)と同等以上の経営体制を有すると認定した者

メインで利用する経験は建設業に関し5年以上取締役としての経験を有する者での経験です。

そのため、本ページでは、(イ)→(1)の経験を使用した場合の証明方法をご説明いたします。

経験を積んだ企業が建設業者であることを証明する方法

上記で説明した経営業務の管理責任者に求められる経験は、ほとんどが建設業に関するものでなくてはなりません。そこで、その経験を積んだ企業が建設業者であることを証明するために、建設業許可を「有していた」か「有していなかったか」によって申請書類がかなり変わってきます。

建設業許可を有している企業の場合

経験を積んだ企業がその期間中建設業許可を有していた場合、その期間分の許可通知書の写しを提出することにより建設業者としての実態を証明することができます。

原則、許可通知書を用意することとされていますが、その企業が許可を取得していた行政庁によっては通知書がなくても、建設業許可を有していたことを教えてくれる場合もあります。

建設業許可を有している企業での経験を使用する場合は、かなりスムーズに経営業務の管理責任者の要件を満たすことの証明ができると思います。

建設業許可を有していない企業の場合

経験を積んだ企業が建設業許可を有していなかった場合は、客観的に建設業を営んでいたのかが分からないので、経営業務の管理責任者の要件を満たしているかの証明書類のかなりハードルがかなり高くなります。それでは、法人役員だった場合と自身で個人事業主だった場合で見てみましょう。

必要書類
法人役員の
経験
①登記事項証明書

②工事請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件
or
確定申告書(業種欄に建設業とわかるものに限る)
(必要年数分)
個人事業主の経験①確定申告書(受付印のあるもの)

②工事請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件
or
確定申告書(業種欄に建設業とわかるものに限る)
(必要年数分)

自身で個人事業主だった場合は、過去の工事に関する請求書や入金記録は探せばあるかもしれません。

しかし、自身の会社ではない法人の役員だった場合は、過去の工事に関する請求書や入金記録を当時の会社にお願いする必要があります。現在でも親しい間柄であれば借りれるかもしれませんがかなりハードルは高いです。

要件②専任技術者が営業所ごとにいること

2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可とで異なります。

<一般建設業許可の専任技術者の要件>

以下のいずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。

  1. 許可を受けようとする業種について法律で定められた資格・免許を有する者
    (二級土木施工管理技士・二級建築施工管理技士・二級建築士 など)
  2. 学歴、資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者
  3. 大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)所定学科卒業後、建設業許可を受けようとする業種について3年以上、または高校(旧実業高校を含む)所定学科卒業後、5年以上の実務経験を有する者

<特定建設業許可の専任技術者の要件>

以下のいずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。

  1. 許可を受けようとする業種に対して、国土交通大臣の定めた試験に合格した者、
    または国土交通大臣か定めた免許を受けた者(一級土木施工管理技士・一級建築施工管理技士・一級建築士 など)
  2. 一般建設業許可の専任技術者の要件に該当し、かつ元請としての4,500万円以上の工事について、2年以上指導監督的な実務経験(建設工事の設計又は施工の全般について、 工事現場主任または工事現場監督のような資格で、工事の技術面を総合的に指導した経験)を有する者(注)
  3. 国土交通大臣が上記に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者(大臣認定者等)
    (注)指定建設工事業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、電気工事業、造園工事業の7業種)については上記②「指導監督的実務経験の要件」以外の要件を満たさなければなりません。

要件③請負契約に関して誠実性があること

3つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人、役員、個人事業主、令3条の使用人などが請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。

過去に不正な行為や不誠実な行為がなかったかどうかについてチェックされます。

不正な行為とは・・・請負契約の締結または履行に際して、詐欺、脅迫、横領などの法律に違反する行為

不誠実な行為とは・・・工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為

要件④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

4つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人または個人事業主が請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していることです。いわゆる財産要件です。
財産要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

<一般建設業許可の財産要件>

次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 自己資本の額が500万円以上あること
    →貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額
  2. 500万円以上の資金を調達する能力があること
    →500万円の資金調達能力は、会社に500万円以上の預金残高がある状態でその金融機関から発行された「預金残高証明書」もしくは金融機関から発行された「融資証明書」で証明することになります。

<特定建設業許可の財産要件>

次のすべての要件を満たす必要があります。

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上あること
  3. 資本金が2,000万円以上あること
  4. 自己資本が4,000万円以上あること

要件⑤欠格要件に該当しないこと

5つ目の要件は、建設業許可を受けようとする者(法人の役員、事業主本人等)が、以下の欠格要件に該当しないことです。

  1. 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
  2. 不正な手段で許可を受けたことなどにより、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
  3. 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
  4. 請負契約に関して不誠実な行為をしたことなどにより、営業の停止を命じられ、その期間が経過していない者
  5. 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることが無くなった日から5年を経過しない者
  6. 建設業法、建築基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、 又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

要件⑥社会保険に加入している

令和2年10月の法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。

すべての建設業を営む者が建設業許可の申請をする際、適切な社会保険に加入しているかを確認されます。

この建設業で求められる社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。

法律上加入義務があるこれらの保険に加入していないと、すでに許可を取得している許可業者さまも更新ができなくなってしまいます。

無許可で請け負った場合は、重いペナルティが課せられます!

許可を得ずに500万円以上(建築一式は1,500万円以上等)の工事を請け負った場合は、建設業法違反となり、懲役刑や罰金刑が科せられることになります。

違反業者と契約を締結した元請業者も、監督処分の対象とされています。更に、建設業法に違反すると、5年間は建設業許可の取得が不可能になってしまいます。

まとめ

建設業許可を取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。基本的な許認可であれば、有資格者がいれば取得できることも多いなか、建設業許可はかなりハードルの高い許可といえます。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。