解体工事業の『登録制度』と『建設業許可』の違いをわかりやすく解説!登録条件もチェック

解体工事を始めるには“許可”と“登録”のどっちが必要か?―――

そう思う方も多いのではないでしょうか。

建設業には、中心となる「建設業法」のほかにも、「電気工事業法」や「電気通信事業法」、「建築基準法」、そして「建設リサイクル法」など、さまざまな法律が深く関わっています。
この記事では、その中でも「建設リサイクル法」に基づく、解体工事業の“登録制度”について詳しく解説します。建設業許可との違いや、登録が必要となる条件についてもわかりやすくご説明します。

解体工事業とは?

「解体工事」とは、建築物やその他の工作物を全部または一部取り壊す工事のことを指します。住宅の取り壊しはもちろん、工場や倉庫、施設の一部撤去なども含まれます。

内装仕上げ工事との違い

建築物等の一部を解体する場合であっても、テナント退去時の現状回復工事やスケルトン工事など、建物の構造自体に影響を及ぼさない内装中心の工事は、「内装仕上工事」に該当します。

そのため、店舗のスケルトン工事などを請け負う場合には「解体工事業」ではなく、「内装仕上工事業」の建設業許可が必要になります。

解体工事業の登録とは?

土木一式工事業、建築一式工事業、解体工事業の建設業許可を持たずに、家屋等の建築物その他の工作物(建築物等)を解体する建設工事業(解体工事業)を始めようとする方は、元請・下請関わらず建設リサイクル法による都道府県知事の登録を受けなければなりません。

建設業法では、500万円以上の工事を請負う場合に、建設業許可を取得しなければならないとされていますが、建築リサイクル法では金額に関わりなく都道府県知事の登録を受けなければならないとされています。

項目解体工事業登録
(建設リサイクル法)
建設業許可
対象工事金額に関係なく解体工事は必要500万円以上の工事
申請先現場のある都道府県知事営業所のある都道府県知事
効力の範囲登録した都道府県内のみ有効全国

登録申請はどこにする?

解体工事業の登録は、工事を行う現場のある都道府県に対して行います。たとえば、営業所が東京都にあっても、神奈川県や埼玉県、千葉県で工事をする場合、それぞれの都道府県に登録が必要になります。

例えば・・・

営業所:東京都

解体工事現場:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県

→解体工事現場のある都道府県ごとに登録申請が必要なため、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で登録を受ける必要がある。

建設業許可は、建設業を営む営業所の都道府県知事(2つ以上の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣許可)の許可を受ければ、全国どこでも営業できるという点に違いがあります。

登録先がわからない方へ
解体工事業登録は現場のある都道府県ごとに申請が必要です。どこに申請したらよいかわからない方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。今すぐ[無料相談フォーム]からご相談ください。

解体工事業の登録を取るには?必要な2つの要件を詳しく解説!

解体工事業の登録を行うには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 技術管理者の配置
  • 欠格要件に該当しないこと

技術管理者を選任していること

登録には、一定の資格や実務経験を持つ「技術管理者」を選任し、専任で配置することが必要です。

技術管理者となれるのは、次のいずれかの条件を満たす方です。

①国家資格を持っている

  • 1級・2級建設機械施工技士
  • 1級・2級土木施工管理技士(2級は「種別:土木」に限る)
  • 1級・2級建築施工管理技士(2級は「種別:躯体」に限る)
  • 1級・2級建築士
  • 技術士(建設部門)

②登録試験に合格している

公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する技術管理者試験に合格していること。

③指定学科卒+実務経験あり

大学で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)に関する学科→解体工事に関する2年以上の実務経験

もしくは

高校で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)に関する学科→解体工事に関する5年以上の実務経験

④8年以上の実務経験がある

解体工事に関する8年以上の実務経験がある。

⑤登録講習受講+実務経験

国土交通大臣が実施する講習または国土交通大臣の登録を受けた登録講習を受講し、以下いずれかの実務経験を有する者

<登録講習実施団体>

解体工事実施技術講習
・公益社団法人全国解体工事業団体連合会
・一般社団法人全国建設研修センター

大学で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)に関する学科→解体工事に関する1年以上の実務経験

もしくは

高校で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)に関する学科→解体工事に関する3年以上の実務経験

もしくは

上記以外で解体工事に関する7年以上の実務経験がある。

お困りの際はご相談ください

解体工事業登録の要件は複雑で、特に実務経験の証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽にご相談ください。

欠格要件に該当しないこと

5つ目の要件は、建設業許可を受けようとする者(法人の役員、事業主本人等)が、以下の欠格要件に該当しないことです。

  1. 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
  2. 不正な手段で許可を受けたことなどにより、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
  3. 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
  4. 請負契約に関して不誠実な行為をしたことなどにより、営業の停止を命じられ、その期間が経過していない者
  5. 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることが無くなった日から5年を経過しない者
  6. 建設業法、建築基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、 又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

5つ目の要件は、申請者自身や法人の役員などが「一定のルール違反に該当していないこと」が求められます。これを「欠格要件(けっかくようけん)」といいます。

以下のいずれかに該当すると、許可を受けることができません

  • 成年被後見人、被保佐人、または破産して復権を得ていない人
     → 法的に取引の判断能力がないとされる場合です。
  • 不正な手段で解体工事業登録や建設業許可を取得し、その許可を取り消されてから5年を経過していない
  • 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をし、それから5年を経過していない
  • 不誠実な請負契約を行い、営業停止処分を受けてその期間がまだ終わっていない
  • 禁錮(きんこ)以上の刑を受け、執行終了や免除から5年を経過していない
     → 実刑を受けた後、5年が経っていない場合も該当します。
  • 建設リサイクル法や建設業法などの関連法令に違反し、罰金刑を受けた日から5年を経過していない

実際に、この欠格要件のご相談はかなり多いです。

例えば・・・

  • スピード違反で罰金があっても大丈夫か?
  • 登記懈怠で罰金(過料)があった
  • 飲酒運転で捕まったことがある
  • 現場で喧嘩して書類送検されたことがある
  • あおり運転をされて腹が立って相手を殴った など

これはすべて本当に相談された内容です。欠格要件に該当してもばれないと思ったけど不許可になったという相談もありました。

「昔のことだから大丈夫だろう」と自己判断してしまうのは危険です。欠格要件に該当するケース・該当しないケースありますので、過去の経歴に不安がある場合は、必ず事前に専門家に相談して確認しましょう。

解体工事業登録後の義務とは?

標識の掲示義務

解体工事業の登録を受けた場合は、営業所と解体工事現場の見やすいところに標識を掲示しなければなりません。

帳簿の備え付け義務

解体工事業者は、主務省令で定める帳簿を営業所ごとに備え付け、解体工事ごとに作成しなければなりません。

次のいずれかを帳簿と共に事業年度終了日から5年間保存しなければなりません。

  • 建設業法第19条第1項または第2項に規定する書面または写し
  • 工事の規模が、建設リサイクル法第9条3項または4項に規定する建設工事の規模に関する基準以上である場合には、同法第13条第1項または2項の規定による書面またはその写し

パソコン等のファイルまたはディスク、CD-ROM等に一定の事項を確実に記録し、必要に応じて解体工事業者の営業所において印刷して出力できるなどの方法でも問題ありません。

解体工事業は「許可」と「登録」の違いに注意!

本ページでは、解体工事業における「建設業許可」と「建設リサイクル法に基づく登録」の違いについてご紹介しました。

500万円未満の工事で建設業許可が不要であっても、工事内容が「解体工事」に該当する場合は、建設リサイクル法により都道府県への登録が必要になります。金額ではなく「工事の種類」によって規制される点が重要です。

登録手続きに不安がある方や、確実かつスムーズに進めたい方は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。制度に精通した専門家のサポートを受けることで、書類の不備や申請ミスを防ぎ、安心して業務を始められます。

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