電気通信工事業の建設業許可が欲しい!工事内容・要件をまるっと解説!

建設業の許認可の取得は、業種ごとに行われます。業種については、国交省(当時は建設省)の昭和49年に公示した考え方により分類されます。建設業許可は、一式工事2種類と専門工事27種類の計29業種に細かく分類されていて、それぞれの業種ごとに許可を取得する必要があります。

苦労して許可を受けたものの、「工事請負に必要なのは別の業種だった」なんてことにならないように、しっかり内容を把握しておきましょう。

必要な許可業種を把握しましょう!

建設業許可に関するよくある間違った認識は、一式の許可を持っていればなんでもできるという誤解です。建築一式を持っていれば内装や大工もできるとか、土木一式を持っていれば舗装や土工もできるという認識は残念ながら誤りです。

自社が施工している工事がどの業種に該当するのか、これからどの業種を伸ばしていきたいのか等をしっかり把握して、適切な許可の申請を進められるよう、以下に各業種の詳細を載せていきますのでご確認ください。

本ページでは、29業種の専門工事のうち電気通信工事業について詳しく紹介していきます。

電気通信工事とは

有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事については、電気通信工事業として区分されます。いわゆる「弱電工事」と呼ばれます。

この区分に該当する工事の例としては次のものがあります。
例:有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事

既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は電気通信工事に該当します。保守に関する業務は、電気通信工事に該当しません。

電気通信工事の作業内容で馴染み深いものをご紹介します。

①LAN工事

家庭や社内でネットワークが使えるように外部からインターネット回線を引き込み、LANケーブルの設置やパソコンなど機器への接続を行う工事ですこの工事が終われば、インターネットの使用が可能です。

ただし、LAN工事は、ただ設置すればいいというわけではありません。HUBは設置したら終わりですが、LANケーブルは機器間の空間にどう配線するかを設計する必要があります。実はケーブルの配線は意外と難易度が高いものです。

②防犯カメラ設置工事

カメラ設置位置の選定・取り付け、カメラ、モニター等の機器からコントローラー(制御装置)までの屋外・屋内配線、通信線の接続などが主な作業内容です。
防犯カメラはその特性上、導入する時にこそ知識や経験が求められます。

③電話工事

オフィスに欠かせない通信手段である電話のための工事には2つの工程があります。

  • 電話線を屋外から屋内へ引き込む工事
  • 電話線を電話機まで配線する工事
    • 新設(新しく電話機を設置)
    • 移設・増設(電話機の場所の移動や増設に対応)
    • 配線整理

引き込み工事では高所作業車を使い、電柱から建物内へと電話線を引き込みます。

屋内の工事は主に3つの種類に分けられて、新しいオフィスでレイアウトに合わせて電話の設置をする以外に、すでに運用中のオフィスの電話の移動や増設が考えられます。また移動や増設を繰り返したことでわかりにくくなった配線を整理することも仕事です。

一般的にオフィスでは複数の電話を運用できるような配線が必要な上、近年は電話機能を持った複合機を使用している例も多く、電話工事単体ではなくインターネット回線などいくつかの工事と合わせて行った方が作業効率が良いこともあります。

④光ケーブル敷設工事

光ファイバーケーブルを使った光回線による通信は、一般的な従来の回線と比べ通信が安定しており速度も速いです。

光回線のインターネットを使うには、外部から光ファイバーケーブルを引き込む工事が必要です。

電気通信工事と電気工事の違い

電気通信工事とよく混同されるものとして、電気工事があります。電気通信工事と電気工事では必要となる資格が違い、扱える工事に差があります。電気工事に含まれる工事の特徴や具体例をご紹介します。

電気工事の基本的な仕事内容3種

電気工事では、変電所や鉄塔、電柱などを経た電気をビルや住宅などの施設へ通し、使えるようにします。建設や建物に関わる工事です。いわゆる「強電工事」と呼ばれます。

【電気工事の例】

  • 発電設備
  • 変電設備
  • 送配電設備

身近な例としては、照明器具やコンセントの移設や増設があります。また、「鉄道電気工事」という鉄道に関わる工事もあります。

電気工事士の資格には種類があるため一概には言えませんが、電気工事では電気通信工事よりも大きな電力を扱えるのが特徴です。

電気通信工事業の一般建設業許可要件とは?

建設業許可(電気通信工事業)を受けるためには、以下の6つの要件をクリアしなければなりません。

①経営業務の管理責任者がいること

1つ目の要件は、営業所(本店)に常勤する経営業務の管理責任者がいることです。
経営業務の管理責任者とは、現在、(1)もしくは(2)の立場にある人で、

建設業を営む会社の役員(取締役)、個人事業主または令3条の使用人(建設業許可業者の支店長)として『5年以上』の経験があることが求めらます。

(1)法人で許可を受ける場合

許可を受ける法人の常勤の役員(代表取締役・取締役)

(2)個人で許可を受ける場合

事業主本人または支配人登記した支配人

(例)
・建設会社の取締役として5年以上の経験がある。
・個人事業主として5年以上の経験がある。
・建設業許可を取得している建設業者の令3条の使用人(支店長)として5年以上の経験がある。

②専任技術者が営業所ごとにいること

2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの3つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  3. 10年以上の実務経験がある

3つについてそれぞれ紹介していきます!

1.定められた国家資格を持っている

  • 一級電気通信工事施工管理技士
  • 二級電気通信工事施工管理技士

2.指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある

大学にて電気工学、電気通信工学に関する学科を卒業し、電気通信工事に関する3年以上の実務経験がある。

もしくは

高校にて電気工学、電気通信工学に関する学科を卒業し、電気通信工事に関する5年以上の実務経験がある。

4.10年以上の実務経験がある

電気通信工事に関する10年以上の実務経験がある。

③請負契約に関して誠実性があること

3つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人、役員、個人事業主、令3条の使用人などが請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。

過去に不正な行為や不誠実な行為がなかったかどうかについてチェックされます。

不正な行為とは・・・請負契約の締結または履行に際して、詐欺、脅迫、横領などの法律に違反する行為

不誠実な行為とは・・・工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為

④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

4つ目の要件は、建設業許可を受けようとする法人または個人事業主が請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していることです。いわゆる財産要件です。
財産要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

<一般建設業許可の財産要件>

次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 自己資本の額が500万円以上あること
    →貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額
  2. 500万円以上の資金を調達する能力があること
    →500万円の資金調達能力は、会社に500万円以上の預金残高がある状態でその金融機関から発行された「預金残高証明書」もしくは金融機関から発行された「融資証明書」で証明することになります。

<特定建設業許可の財産要件>

次のすべての要件を満たす必要があります。

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上あること
  3. 資本金が2,000万円以上あること
  4. 自己資本が4,000万円以上あること

⑤欠格要件に該当しないこと

5つ目の要件は、建設業許可を受けようとする者(法人の役員、事業主本人等)が、以下の欠格要件に該当しないことです。

  1. 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
  2. 不正な手段で許可を受けたことなどにより、その許可を取り消されてから5年を経過しない者
  3. 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
  4. 請負契約に関して不誠実な行為をしたことなどにより、営業の停止を命じられ、その期間が経過していない者
  5. 禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることが無くなった日から5年を経過しない者
  6. 建設業法、建築基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、 又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑥社会保険に加入している

令和2年10月の法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。

すべての建設業を営む者が建設業許可の申請をする際、適切な社会保険に加入しているかを確認されます。

この建設業で求められる社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つです。

法律上加入義務があるこれらの保険に加入していないと、すでに許可を取得している許可業者さまも更新ができなくなってしまいます。

まとめ

建設業の業種については、かなり複雑に分けられております。自社で施工している工事がどの業種に該当するかをきちんと把握したうえで、建設業許可を取得する必要がございます。実際に、とび土工工事業だと思っていたのが、塗装工事業だったなどもございますので、一度行政庁や専門家へご相談いただくのがよいかと思います。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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