建設業許可は裏ワザで勝ち取れ!裏テクをまるっと解説

建設業許可が取りたいのに、要件の壁にぶつかっていませんか?

「500万円以上の工事を請け負いたい。でも建設業許可の要件を満たしていない…」
「昔の書類が残っておらず、証明ができない…」
そんな悩みを抱える建設業者さんは、実は少なくありません。

どうにかならないのか?と聞かれ、「裏ワザはありませんか?」と相談されることもよくあります。
そして、実はあります——建設業許可には“裏ワザ”が。

裏ワザといっても、不正ではありません。

「裏ワザ」とは、行政のHPで掲載されている「建設業許可申請についての手引き」には載っていない、数多くの許可申請をした中でたどり着いた経験に基づく対処方法のことです。

このページでは、以下の3つの要件について、東京都神奈川県埼玉県千葉県の申請を中心に、具体的な“裏ワザ”をご紹介します。

  1. 経営業務の管理責任者の要件クリアの方法
  2. 専任技術者の要件の工夫した立証方法
  3. 500万円の財産要件を満たす工夫

書類がそろわなくても諦めないでください。
「それでも許可取得の道があるのか?」を、事例をもとにわかりやすく解説していきます。

要件①経営業務の管理責任者の要件をクリアする裏ワザ

建設業許可を取得する際に最もつまずきやすいのが、「経営業務の管理責任者(経管)」の要件です。
この要件は、常勤している取締役のうち、以下のいずれかを満たす必要があります。

▼経営業務の管理責任者として認められるパターン

  1. 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者(←メインで使うのはこれです)
  2. 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(例:建設部長)にあり、経営業務のある者
  3. 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
  4. 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
  5. 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。

令和2年10月の法改正で2〜5番のパターンも認められるようになりましたが、
これは主に大企業向けの措置です。大企業では役員の任期が短く、
経管の条件を満たしづらいという背景があったためです。

一方で、中小企業や個人経営に近い会社の場合は、「5年以上取締役としての経験(パターン1)」での証明が現実的です。
そのため、ここではこの「1」の要件をクリアするための“裏ワザ”を解説します。

そのため、本ページでは、1.の経験を使用した場合の証明方法をご説明いたします。

よく相談をうけるのはこの3つのパターンに分かれます。

  1. 許可のない業者で5年以上経営経験(役員経験)があるけど、証明書類がない時
  2. 許可のある業者で5年以上経営経験(役員経験)があるけど、証明書類がない時

それぞれ対処方法を解説します。

①許可のない業者で5年以上経営経験(役員経験)があるけど、証明書類がない時

建設業許可がない法人の代表または個人事業主(一人親方)として5年以上営んできた場合、建設業を行っていた証明をしなければいけません。その証明方法は建設業に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった書類の提出です。

「書類がない!」という相談は、本当によくあります。5年以上しっかり建設業をしてきたにも関わらず、証明書類が手元に残っていない――

ですが、あきらめる必要はありません。
下記のような方法で、証明できる可能性があります。

1.請負契約書や注文書+請書がない場合

当時の取引先に依頼して、契約書や注文書のコピーをもらう方法があります。工事の実績が確かであれば、意外と協力してもらえるケースも多いです。

2.請求書+入金記録がない場合

請求書は、確定申告時に税理士にコピーを渡しているケースは多いと思うので、税理士に確認するのもいいでしょう。

通帳がなくても、入金記録は過去10年分まで取引明細書発行してもらえることが多いので銀行に問い合わせましょう。

入金記録さえ入手することができ、かつ、工事実績が確実にあるのであれば、証明する方法はいくつもあります。

なお、申請する都道府県によっては、請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録がいらないケースもあります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を1都3県ごとにまとめましたので、ご確認ください。

都道府県個人事業主の経験法人役員の経験
東京都①確定申告書(受付印のあるもの)

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:3か月ごとに1件
①登記事項証明書

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:3か月ごとに1件
神奈川県①確定申告書(受付印のあるもの)

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件
or
確定申告書(業種欄に建設業とわかるものに限る)
(必要年数分)
①登記事項証明書

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件
or
確定申告書(業種欄に建設業とわかるものに限る)
(必要年数分)
埼玉県①確定申告書(受付印のあるもの)
or
市町村発行の課税証明書

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:3か月ごとに1件
①登記事項証明書

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:3か月ごとに1件
千葉県①確定申告書(受付印のあるもの)
or
市町村発行の課税証明書
※確定申告書が紛失、かつ、
課税証明書が発行期間を過過ぎてしまった場合、
②を1年ごとに2件

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件
①登記事項証明書

②工事請負契約書、
注文書+請書、
請求書+入金記録
 (証明期間分:1年ごとに1件

<個人事業主の経験について>

個人事業主の確定申告書は、原則紛失してしまった場合は事業主としての経験を証明できない場合が多いですが、埼玉県と千葉県のみ課税証明書でもOKとされています。

<工事実績証明について>

建設業を営んでいた証明について、東京都・埼玉県3か月ごとに1件の実績確認書類が必要ですので、5年間証明する場合は計20件以上の実績資料が必要になります。

ですが、千葉県・神奈川県は1年ごとに1件で大丈夫なため、5年間証明する場合はわずか5件~6件程度の実績資料でクリアできるのです。

しかも、神奈川県は確定申告書の業種や事業種目に「建設業や建設工事」と記載があれば、工事請負契約書や請求書などは一切不要になるケースもあり、かなりスムーズに許可が取得できるでしょう。

他社での役員経験で、協力を得ることができないケースは相当ハードルが高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。

お困りの際はご相談ください

経営業務の管理責任者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

②許可のある業者で5年以上経営経験(役員経験)があるけど、証明書類がない時

許可がある業者で経営経験がある場合、基本的には許可通知書を提出することで経営経験を証明することができます。しかし、許可を持っている他社で役員として5年以上の経験がある場合でも、その証明に協力を得ることができないケースはよくあります。

その場合、次の方法で証明を進めることができます

  1. 会社の許可を取得した都道府県を確認
    許可を取得していた都道府県をまず確認することが重要です。
  2. 東京都や神奈川県の場合
    行政に対して「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えることで、その会社がいつからいつまで許可を取得していたのかの情報を提供してもらえる場合があります。
  3. 大阪の場合
    大阪では、行政文書の開示請求をすることで、許可状況が記載された「黒台帳」という文書を手に入れることが可能です。

これらの情報から証明することができるので、諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。

▼ 許可が失効している場合の注意点

もし許可が失効している場合には、廃業届が出ていないと、最後許可通知書(5年間)を証明書として使えないことが多いです。なぜなら、許可が失効しているため、その期間適切に許可が維持されていたかが確認できないからです。

したがって、許可を取得して一度も更新していない、かつ、許可が失効してしまっている場合は、建設業許可通知書では建設業を営んでいた証明をすることができないので注意が必要です。

要件②専任技術者の要件をクリアする裏ワザ

2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

<一般建設業許可の専任技術者の要件>

以下のいずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

経営業務の管理責任者に次いで専任技術者もハードルが高いです。

実務経験の証明書類を揃えることができない場合の対処方法を解説します。

10年以上の実務経験はあるけど、証明書類がない時

10年以上の実務経験を証明するためには、経験を積んだ会社での専門工事に関する「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」等を用意する必要があります。

以前勤めていた会社で10年以上の実務経験があるものの、請負契約書、注文書・請書、請求書+入金記録といった証明書類のコピーを用意してもらうのは難しいかもしれません。

以前勤めていた会社が許可業者であれば、許可通知書で証明することができます。関係性によっては許可通知書のコピーをもらうことは難しいかもしれませんが、先ほどと同じように調査しましょう!

以前の会社で役員でもない限り「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意するのはかなりハードルが高いですが、しかし、建設業を専門にしている行政書士であれば、さまざまな経験から糸口を見つけられるかもしれませんので、諦めずにまずは相談をしながら進めていくべきでしょう。

お困りの際はご相談ください

専任技術者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

②8年の実務経験ならある場合(実務経験の緩和措置)

許可を受けようとする業種と技術的な共通性がある業種での実務経験がある場合、許可を受ける業種に必要な実務経験年数が8年に緩和されます。
どのような場合に緩和されるかというと、申請業種について8年をこえる実務経験と、技術的な共通性がある業種での実務経験が合計して12年以上であれば、申請業種の実務経験は10年に満たなくても専任技術者となれます。

ただし、実務経験の緩和が認められる業種と、その業種と技術的な共通性があるとされる業種の組み合わせは決まっています。

(1)土木一式工事の経験と、次にあげる業種のいずれかの経験が併せて12年以上あり、そのうち次にあげる業種の経験が8年を超える場合

  • とび土工工事
  • しゅんせつ工事
  • 水道施設工事
  • 解体工事

例:土木一式工事の経験4年+とび土工工事の経験8年→とび土工工事の専任技術者になれる

(2)建築一式工事の経験と、次にあげる業種のいずれかの経験が併せて12年以上あり、そのうち次にあげる業種の経験が8年を超える場合

  • 大工工事
  • 屋根工事
  • 内装仕上工事
  • ガラス工事
  • 防水工事
  • 熱絶縁工事
  • 解体工事

例:建築一式工事の経験4年+内装仕上げ工事の経験8年→内装仕上げ工事の専任技術者になれる

(3)大工工事+内装仕上工事において、経験が併せて12年以上あり、どちらかの業種の経験が8年を超える場合

例:大工工事の経験4年+内容仕上工事の経験8年→内装仕上げ工事の専任技術者になれる

例:大工工事の経験8年+内容仕上工事の経験4年→大工工事の専任技術者になれる

(4)とび土工工事の経験と解体工事の経験が併せて12年以上あり、解体工事の経験が8年を超える場合

通常であれば実務経験が10年必要になりますが、これらに該当するときは実務経験が8年あればよいとされています。

お困りの際はご相談ください

専任技術者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

要件③500万円の財産要件

建設業許可を取る上であと1つ、申請者からの相談が多いのが財産要件です。

500万円の財産要件を証明する方法は次の2つの基準です。

  1. 自己資本が500万円以上あること
  2. 500万円以上の残高証明書を用意できるか

よくある誤解として「資本金500万円=財産要件クリア」ではありません!

たとえば、資本金が500万円でも、赤字が続いていて利益剰余金がマイナスになっている場合は、自己資本が500万円を下回ってしまうことがあります。

また、資本金を500万円以上にしても、財産要件を必ずしもクリアできるというわけではありません。

①自己資本が500万円以上あること

自己資本とは、会社が自由に使える純粋な財産のことです。わかりやすく言えば、「財産から借金を引いた額」です。

決算報告書の「貸借対照表」にある「純資産の部」に記載された次のような項目の合計で判断されます。

  • 資本金
  • 資本剰余金
  • 利益剰余金(繰越利益など)

たとえば、資本金が100万円でも、利益剰余金が400万円以上あれば、自己資本合計が500万円を超えるので要件クリアとなります。

②500万円以上の残高証明書を用意できるか

自己資本が足りない場合は、銀行預金の残高証明書で証明する方法があります。

  • 残高証明書は、「指定日」に銀行口座に500万円以上の残高があることを示す書類。
  • 一時的な資金(例:売上の入金、銀行融資、役員からの借入)でもOK。
  • ただし、発行日から1か月以内のものしか使えません

したがって、「入金されるタイミング」や「融資実行のタイミング」から逆算して準備することが重要です。

お困りの際はご相談ください

500万円の財産要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

裏ワザまとめ:この方法自社で使える?

建設業許可の要件をクリアするための裏ワザ的対処方法をいくつかご紹介しましたが、この方法はだれでも使えるわけではありません!また、他にもクリアすべき多くの厳しい要件があり、ちょっとしたミスや手続きの抜け漏れが大きなトラブルに繋がります

たとえば…

  • 必要な書類を集めるのに想像以上に時間がかかる
  • 事業の規模に見合った適切な許可業種を選べない
  • 資格があっても他の条件(財産的信用や欠格事由など)で許可が下りないことも…

これらの問題に直面した場合、後から修正や再申請が必要となり、時間とコストがかかるだけでなく、事業の開始が遅れる可能性も。自社だけで手続きを進めるのは、リスクを抱えることになります。

「これで本当に大丈夫かな?」と少しでも不安があるなら、今すぐウィルホープ行政書士事務所に相談を!手続きに精通した行政書士が、確実にサポートし、スムーズに許可を取得できるようお手伝いします。

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