【建設業許可】配管技能士で管工事業の許可を取ろう!

配管技能士とは、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定の配管に合格した人に与えられる国家資格です。

配管技能検定においては、配管工事の施工に必要な技能を測る試験が行われます。

配管技能士とは

配管技能士とは、冷暖房設備工事、給排水・給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事など建設工事の中でも大きな比重を占める配管設備工事に関する技能を認定する国家資格です。

「配管技能士」は、厚労省が所管する技能検定制度の一種であり、都道府県職業能力開発協会が認定試験を実施しています。

「配管技能士」には1級・2級・3級があり、合格すると1級は厚生労働大臣から、2級・3級は各都道府県知事からそれぞれ合格証書が交付され、「技能士」を称することができます。

配管技能士の資格を得ることで、配管工事ついての専門的知識・技術を有しているとお墨付きをもらえるのです。

配管技能技能検定の受験資格

配管技能検定の受験資格は、学歴等に応じて下記のとおりになっております。

▼2級の受験資格

学歴等必要な実務経験年数
通常3級合格後
実務経験のみ2年0年
専門高校卒業0年0年
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業0年0年
短期大学卒業0年0年
高等専門学校卒業0年0年
高校専攻科卒業0年0年
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業0年0年
大学卒業0年0年

▼1級の受験資格

学歴等必要な実務経験年数
通常2級合格後3級合格後
実務経験のみ7年2年4年
専門高校卒業6年2年4年
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業6年2年4年
短期大学卒業5年2年4年
高等専門学校卒業5年2年4年
高校専攻科卒業5年2年4年
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業5年2年4年
大学卒業4年2年4年

試験日

技能検定は、年1回行われます。

試験区分試験日
実技試験例年12~2月頃
学科試験例年1~2月頃

2級配管技能検定の試験内容

学科試験科目範囲
1. 施工法一般配管工事に使用する器工具及び機械の種類、用途及び使用方法
管の加工
管施設の機能試験
管の被覆及び塗装
溶接作業
流体の基礎理論
2. 材料配管用材料の種類、規格、性質及び用途
関連工事用材料の種類、性質及び用途
3. 製図図示法及び材料記号
4. 関係法規消防法関係法令、建築基準法関係法令、高圧ガス保安法関係法令、ガス事業法関係法令、水道法関係法令、下水道法関係法令、電気事業法関係法令、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律関係法令及び特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する関係法令のうち、配管工事に関する部分
5. 安全衛生安全衛生に関する詳細な知識
6-1. 建築配管施工法施工方法
配管に生ずる欠陥の種類及び原因並びにその防止方法及び補修方法
関連設備に使用する装置、機械及び器具の種類及び用途
建築構造の種類及び特徴
建築部分の主要部分の種類及び構造
日本工業規格の建築製図通則に定める表示記号
6-2. プラント配管施工法施工方法及び管の加工
プラント配管用材料の種類、規格、性質及び用途
金属材料の熱処理
溶接部の非破壊検査の方法
配管に生ずる欠陥の種類及び原因並びに防止方法及び補修方法
関連設備及び関連設備の種類、構造及び機能
プラントを構成する設備及び装置の種類及び特徴

※6-1または6-2のうちいずれか1科目を選択

実技試験科目範囲
1. 建築配管作業型取り
材料取り
管の加工
配管及び機器類の取付け
2. プラント配管作業型取り
材料取り
管の加工
配管及び配管用附属品の取付け

※1または2のうちいずれか1科目を選択

1級配管技能検定の試験内容

学科試験科目範囲
1. 施工法一般配管工事に使用する器工具及び機械の種類、用途及び使用方法
管の加工
管施設の機能試験
管の被覆及び塗装
溶接作業
流体の基礎理論
2. 材料配管用材料の種類、規格、性質及び用途
関連工事用材料の種類、性質及び用途
3. 製図図示法及び材料記号
4. 関係法規消防法関係法令、建築基準法関係法令、高圧ガス保安法関係法令、ガス事業法関係法令、水道法関係法令、下水道法関係法令、電気事業法関係法令、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係法令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律関係法令及び特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する関係法令のうち、配管工事に関する部分
5. 安全衛生安全衛生に関する詳細な知識
6-1. 建築配管施工法施工方法
施工計画
配管に生ずる欠陥の種類及び原因並びにその防止方法及び補修方法
関連設備に使用する装置、機械及び器具の種類及び用途
建築構造の種類及び特徴
建築部分の主要部分の種類及び構造
日本工業規格の建築製図通則に定める表示記号
6-2. プラント配管施工法施工方法及び管の加工
プラント配管用材料の種類、規格、性質及び用途
金属材料の熱処理
溶接部の非破壊検査の方法
施工計画
配管に生ずる欠陥の種類及び原因並びに防止方法及び補修方法
関連設備及び関連設備の種類、構造及び機能
プラントを構成する設備及び装置の種類及び特徴

※6-1または6-2のうちいずれか1科目を選択

実技試験科目範囲
1. 建築配管作業配管施工図の作成
型取り
材料取り
管の加工
配管及び機器類の取付け
管施設の調整
工数見積り
2. プラント配管作業配管施工図の作成
型取り
材料取り
管の加工
配管及び配管用附属品の取付け
管施設の試験
工数見積り

※1または2のうちいずれか1科目を選択

これに合格することで、配管技能士の資格を得ることができます。

建設業許可を取得するための要件について

この資格を取得後、どうやったら建設業許可が取れるのでしょうか?

まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。

  1. 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
  2. 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
  3. 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
  4. 財産的信用の基準を満たしている
  5. 欠格事由に該当していないこと

これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。

この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。

▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある

営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

そこで1級・2級配管技能士ともに国家資格なのですが、2級に関しては資格取得後一定の実務経験を有していなければ専任技術者となることはできません。

専任技術者になることができる建設業種

1級配管技能士と2級配管技能士は、建設業許可における下記の業種の専任技術者になることができます。

  • 管工事業

※2級の場合は、試験合格後3年以上の実務経験を証明する必要あり

2級の場合の3年間の実務経験を証明する方法

3年間の実務経験を証明するケースについてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。

  1. 管工事業の建設業許可のある業者で3年以上実務経験を積んだ場合
  2. 管工事業の建設業許可のない業者で3年以上実務経験を積んだ場合

①管工事業の建設業許可のある業者で3年以上実務経験を積んだ場合

許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。

しかし、管工事業の建設業許可を取得している他社での3年以上の実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。

建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。

②管工事業の建設業許可のない業者で3年以上実務経験を積んだ場合

建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。

まず、管工事業に関する実務経験を3年以上証明するためには、その会社での管工事業に関する請負契約書注文書+請書請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。

前職の経験を証明したい場合は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。

諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。

管工事業の内容とは?具体的な例を紹介

冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事を管工事業と言います。

管工事の具体例としては、次のような工事が挙げられます。

  • 給排水配管工事
  • ガス配管工事
  • 空調設備工事(冷暖房設備工事・ダクト工事)
  • 衛生設備工事
  • 冷凍冷蔵設備工事
  • 厨房設備工事
  • 浄化槽工事

それぞれどのような工事なのか詳しく見ていきましょう。

給排水配管工事

建物内の給排水のための管やその設備を設置する工事を給排水配管工事」と呼びます。

この工事は、大きく次の3種類に分けられます。

  • 給水管の引き込み工事
  • 屋内の配管工事
  • 下水道排水設備工事

上記3種の工事が全て完了すれば、建物内での水道の利用を開始できます。

この工事では勾配を配慮した施工が必要になります。高所から低所へ流れる水の特性を踏まえておかなければ、特に排水において漏水や逆流などといった不具合が生じる恐れがあるからです。

ガス配管工事

建物内でガスの利用ができるように、ガスを通す管やその設備を設置する工事をガス配管工事」と呼びます。

この工事では、次のような作業が行われます。

  • ガス管の引き込み・配管
  • ガスメーターの取付
  • ガス栓の交換 など

日常生活において調理や給湯に用いられるガスには、取り扱いを誤ると爆発や火災のリスクが生じます。

そのため、安全なガスの使用のためには、知識と技術を持った作業者による適切な工事が必要であり、ガス配管工事には資格保有が義務付けられています。

また、ガスは「都市ガス」と「LPガス」の2種類があり、両方の知識・技術を有しておく必要があります。

空調設備工事

建物内の空調に関する管や設備を設置する工事を空調設備工事」と呼びます。

この工事では、次のような作業が行われます。

  • 空調設備の設置
  • 空調設備のメンテナンス
  • 古くなった空調設備の交換

空調設備は、建物内の空気の流れや温度、湿度を快適に保つために重要。

管を通して空気の流れを作ることで、建物内の快適な空調維持を可能にします。

ここでいう空調設備とは、エアコンやダクトなどを指しますが、これらの工事はそれぞれ「冷暖房設備工事」「ダクト工事」などと呼ばれます。

冷暖房設備工事

業務用・家庭用エアコンの設置により、建物内で冷房や暖房を利用できるようにする工事を冷暖房設備工事と呼びます。

この工事では、エアコン室内機の設置のほか、室外機の設置や配管を行います。

ダクト工事

ダクトとは排気・排煙のための管で、これを設置する工事をダクト工事と呼びます。

空気を通すダクトを設置することで、建物内では空気を清潔に保つことが可能になります。

これがなければ、汚れた空気が流れずにおいが充満したり、煙が外に排出されなかったりして、建物内で過ごす人の健康が脅かされてしまいます。

ダクトは天井裏などに設置されることが多く、その素材にはステンレスや亜鉛鉄板が用いられます。

うまく排気・排煙を行うには、建物の構造や利用、空気の性質などを踏まえた計画的な配管設計が必要になります。

衛生設備工事

トイレや洗面台など水を利用した衛生設備を設置する工事を「衛生設備工事」と呼びます。

この工事では、各衛生設備を設置し、その後に配管の繋ぎ込みを行います。

この工事は「給排水を可能にする」ことを目的とした給排水設備工事と内容的に重複する部分が多いですが、その目的は「水を衛生的に使えるようにする」こと。

蛇口やトイレなどの利用設備までを対象とする点が異なります。

冷凍冷蔵設備工事

冷凍冷蔵設備を維持するための管や設備を設置する工事を「冷凍冷蔵設備工事」と呼びます。

スーパーやコンビニで生鮮食品や冷凍食品が並べられている大型の冷蔵庫・冷凍庫の利用は、この冷凍冷蔵設備工事にあたります。

厨房設備工事

施設の厨房で利用する管・設備を設置する工事を「厨房設備工事」と呼びます。

この工事では、ガスコンロや冷蔵・冷凍庫、換気扇、ガスコンロなどの厨房機器を設置し、配管を行い、厨房を使えるようにします。

飲食店や宿泊施設、医療機関などの業務用の厨房で行われることが多い工事です。

浄化槽工事

下水道がない場合、使用後の生活用水は浄化槽に排水されます。

浄化槽は汚れた水を浄化する設備で、これを設置する工事を浄化槽工事と呼びます。

この工事は専門性が高いことから、国家資格「浄化槽設備士」有資格者の監督がなければ、作業を行うことはできません。

配管技能士のまとめ

今回は、専任技術者になれる配管技能士についてご紹介しました。

1級技能士の資格は、10年間の実務経験を証明することなく専任技術者になることができますし、2級技能士の資格でも合格後3年以上の実務経験を証明することで専任技術者になることができます。建設業許可を取得・業種追加をしたい業者にはおすすめの資格です。

なお、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要がありますので、なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。

建設業許可は営業所を構えている都道府県に申請をすることになりますが、各都道府県によって審査基準が大きく変わります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で建設業許可の取り方を裏ワザも含めてまとめているので、ぜひご確認ください。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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