造園施工管理技士は建設業の中でも緑地・緑化に関連する工事全般を担当します。
電気や上下水道、道路などのようにライフラインに属する工事ではありませんが、市民が快適に心地よく生活するために必要な空間を造り維持する重要な仕事です。
そのため、造園施工管理技士の国家資格があると建設業許可を取得しやすくなることはもちろんです。
また、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。
このページでは、造園施工管理技士がどのような業種の建設業許可を取得できるか紹介していきます!
建設業許可を取得するための要件について
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
そこで造園工事施工管理技士は国家資格なので、1.の条件に該当します。
そもそも造園施工管理技士とは?
造園施工管理技士とは、7つに分けられる施工管理技士という国家資格の中の1つで、建設業の中でも緑地・緑化に関連する工事全般を担当します。
造園施工管理技士による施工管理の対象となる工事は、植栽、公園、庭園、街路樹、壁面・屋上緑化など緑(植物)に関わる工事全般になります。
公園や庭園の工事では、修景としての池や滝、水の流れ、景石などの設置工事も含まれますので、給排水・送水設備の知識も必要です。その他、園路では舗装工事、照明では電気工事など幅広い知識が求められます。
造園施工管理技士の主な仕事内容は造園工事の施工管理ですが、もう一つ、「業務」と呼ばれる仕事を管理するケースもあります。造園工事業でいう業務とは、既設の緑地を適切に育成管理する仕事です。
たとえば国や自治体、各種法人が運営する道路や施設に付属する緑地の育成管理をする仕事です。 造園業者と関係の深い公的な施設には、公園、墓園、運動・競技場、パークゴルフ場などがありますが、これらの施設の運営管理と緑地に関わる育成管理を合わせて行う責任者に、施工管理資格取得者が任命されることが多いです。
植物は生きている限り成長します。公園や庭園などの緑地は飽和状態で新設工事は減少傾向ですが、公園や庭園が存在する限り育成管理の業務は無くなりません。
1級と2級の違い
造園施工管理技士には、1級と2級があります。
2級造園施工管理技士を取得すると造園工事に関する工事の主任技術者として認められ、1級を取得すると造園工事に関する工事の監理技術者として認められるようになります。
元請の特定建設作業者が、総額4,500万円以上(建築一式の場合7,000万円以上)の下請契約を行なった場合は、監理技術者を法的に設置しなければなりません。
また、監理技術者が必要な工事以外は、元請・下請にかかわらず、主任技術者を法的に設置する必要があります。
なお、1級でも2級でも造園施工管理技士を持っていると、その名の通り造園工事業の建設業許可を取得することができます!
専任技術者の配置する場合の注意する点
専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
造園施工管理技士で建設業許可を取得する場合のまとめ
今回は、造園施工管理技士がどのような業種の建設業許可を取得できるかというテーマでご紹介しました。
1級・2級かかわらず造園工事施工管理技士の資格は、10年間の実務経験を証明することなく造園業の専任技術者になることができるので、緑化工事や公営公園の管理工事を幅広く行う事業者様にとっては、かなり便利な資格です。
しかし、建設業許可は専任技術者以外にも様々な要件をクリアする必要があり、申請するためにも作成する書類は膨大です。
なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。