【在留資格】配偶者ビザがどんな資格なのかまるっと解説

地位や身分に基づく居住資格は4種類あり、それぞれの在留資格に該当する外国人は以下のとおりです。住居資格では就労は制限されていませんので、日本人と同じくどんな仕事にも就くことができます。

居住資格には①永住者日本人の配偶者等永住者の配偶者等定住者の4つがあります。

このページでは、②日本人の配偶者等になるための方法を紹介していきます。

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)になるには?

配偶者ビザとは、日本人の配偶者として日本に滞在するための在留資格です。

正確には「日本人の配偶者等」のビザといいます。「配偶者ビザ」「結婚ビザ」とよばれるケースもあります。

まず大前提として日本とお相手の国双方で法的な結婚手続きを結ぶ必要があります。しかし、法的に結構手続きが完了したからと言って、自動的に配偶者ビザが与えられるわけではありません。

外国人が日本に滞在し続けるには、何らかのビザ(在留資格)が必要ですし、在留資格がないと「不法滞在」状態となり、本国へ強制送還されてしまうので注意してください。

配偶者ビザを取得できたら、基本的に日本国内での活動は自由です。パートやアルバイトをしてもかまいませんし、正社員として就職して収入を得ることも可能で、転職もできます。さらに永住者ビザを取得しやすくなるメリットもあります。

日本人と結婚された方はすぐに申請することをおすすめします。メリットが多い分、許可を得るための審査も厳しくなります。偽装結婚の疑いをかけられないようしっかりとした申請が大切になります。

配偶者と死別・離婚したときは在留資格を変更するか、本国へ帰国することになるので、そこは注意点です。

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)になるための要件は?

配偶者ビザでは次のポイントを審査されます。

  1. 法律上の結婚かつ実体を伴っていること
  2. 同居している・同居予定であること
  3. 経済的基盤があること
  4. 短期滞在ビザからの変更でないこと
  5. 過去の在留状況が良好であること

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

要件①:法律上の結婚かつ実体を伴っていること

日本とお相手の国双方で法的な結婚手続きを結ぶ必要があります。夫婦が別の国籍である場合、一方の国では有効に婚姻が成立していても、もう一方の国では結婚が有効に成立していないことがあります。国によっては自動的に相手国の結婚を成立させる場合がありますが、個別に婚姻手続きが必要な国もあります。

また、その結婚に実態を伴っている必要もあります。

一般的にはある程度の交際期間を経て結婚される方が多いかと思います。その間に撮影した写真や、LINE・メール等の交流記録が、実体を伴った結婚である証明になります。反対に、出会ってすぐ結婚した方や、結婚相談所で1回会っただけで結婚した方は、結婚に実体があるかを疑われやすいため要注意です。

▼ポイント

  • 婚約者でないこと
  • 同性婚でないこと
  • 事実婚でないこと
  • 写真などの十分な証拠があること
  • 交際歴が短くなく、これを立証できること
  • 対面での十分な交際歴があり、これを立証できること
  • 年齢差がある場合は、他にマイナス要因がないこと
  • 結婚した事実を、家族や友人に知らせていること
  • 翻訳機能を多用しなくても言葉が通じること
  • 出会い系サイト、マッチングアプリでの出会い・・・このような出会いだからと言って審査が厳しくなることではありません。真摯にお付き合いしていたことを証明すれば許可され得ます。
  • キャバクラ、パブなどでの出会いでないこと
  • 離婚歴がある場合は、他にマイナス要因がないこと・・・離婚歴が1回であっても、前回の結婚時に「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」「定住者(定住者の配偶者)」などの在留資格だった場合、または日本人側に離婚歴があり前婚の配偶者も外国人で配偶者ビザを取得していた場合は慎重に再婚理由を立証していくことが必要です。

要件②:同居している・同居予定であること

実態のある婚姻生活として、原則夫婦同居が条件となります。単身赴任や別居の場合、不許可の可能性が高まります。何故夫婦一緒に赴任先に行かないのか、別居する理由はなんなのか、合理的な説明ができなければ許可は難しいでしょう。

  • 単身用の住居でないこと
  • 住民票住所が夫婦で同一であること(日本在住外国人の場合)

要件③:経済的基盤があること

配偶者ビザは日本に長期間在留するためのビザです。そのため、お二人が日本で生活していけるだけの安定継続した世帯収入があることが確認されます。配偶者ビザで認められる収入とは、給与収入、営業所得、預金、不動産収入、年金などです。

この具体的な収入の額については公開されておらず、明確な線引きがありませんが一般的には月収20万(年収240万)円以上が配偶者ビザを取得できる目安と考えられています。この金額以上の収入があればまずは安心材料の一つとして考えていいでしょう。

もちろん、夫婦の生活状況によって生計の基準は異なりますので、月収20万(年収240万)円を下回っていたとしても、実際に夫婦で生活できていることを説明・疎明できれば、配偶者ビザを取得できる可能性はあります。

また、収入は世帯収入で審査されるため、日本人側の収入が少ない場合でも外国人側に収入がある場合は、審査上不利な要素とはみなされません。夫婦の収入は合算できるので、夫婦どちらかの収入が少ない場合でもカバーすることができます。

もし、個人事業主、フリーランス、契約社員、派遣社員、アルバイトなどの場合は、収入が毎月変動するため、慎重に立証書類を用意することが必要です。

▼ポイント

  1. 収入に安定性・継続性があること
  2. 収入の額が十分であること
  3. 自力で生活できること(独立生計要件)
  4. 非課税証明書でないこと
  5. 滞納なく納税していること・・・納税できるだけの所得があり、納期を守っているか、法令遵守しているか。日本人側も法令遵守できる人であることが求められます。

要件④:短期滞在ビザからの変更でないこと

原則として、短期滞在ビザから配偶者ビザへの直接の変更は認められていません。ただし、やむを得ない特別の事情がある場合は、直接の変更が認められることがあります。

要件⑤:過去の在留状況が良好であること

「素行善良要件」とは法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを指します。

普段の生活の中で、人に迷惑をかけずに生活していますか?ということです。

▼具体例

  • 日本の法律に違反して、懲役、禁錮又は罰金刑を受けていないこと。
  • 過去の在留の中で多数回の交通違反をしていないこと。
  • 留学生や家族滞在等のビザの方が入管から資格外活動の許可を得て仕事をしていること、もしくはオーバーワークをしていないこと。

等があげられます。

この他にも、素行善良要件のケースはたくさん考えられますが、ケースバイケースで判断されるため明確な基準は存在しません。

この素行善良要件については日常生活において法律に違反するような行動をしていなければ、特に心配する必要はありません。

在留資格「日本人の配偶者等」に該当する方

在留資格「日本人の配偶者等」に該当する方は、日本人と結婚された外国籍の方だけではありません。「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」と規定されています。日本人の配偶者だけでなく、日本人と外国人との実子特別養子となった子も該当することになります。

日本人と結婚した外国人

最も多くの在留資格「日本人の配偶者等」を取得するのが、日本人と結婚した外国籍の方です。

日本人の実子

日本人と外国人との間に出生した子供が対象となります。婚姻期間中はもちろん、離婚後、又は未婚のままでも取得することが可能です。ただし、未婚の場合は日本人側の「認知」が必要となります。戸籍謄本など日本人の子であることが立証できる資料が必要になります。

日本人の特別養子

日本人と特別養子縁組をした子供は取得が可能になります。特別養子とは「実親子ではない者の間に,法的な親子関係を創設するもの」です。年齢や諸条件を満たしている必要があります。単なる養子縁組では対象になりません。

配偶者ビザのメリット

配偶者ビザを取得出来れば様々なメリットがあります。新規で海外から呼び寄せる場合はもちろん、留学ビザや就労ビザなど別のビザで日本に住んでいる方も変更を望まれる方がほとんどでしょう。

就労制限がなくなる

配偶者ビザを取得出来れば就労制限がなくなりますので、好きなお仕事に就くことが出来ます。違法でなければ日本人同様、どんなお仕事を選ぶことも可能です。コンビニでのレジ打ちやホテルでのフロント業務、建設現場や製造現場でフルタイムで働くことができます。会社経営をすることも可能ですし、無職になることも出来ます。

一方、就労ビザの場合、ビザに付与された範囲の仕事のみすることが出来ます。無職になってしまうと在留資格の該当性が無いと判断されてしまいます。

留学ビザの場合、「資格外活動許可」を取得すれば週28時間以内のアルバイトは認めらますが、フルタイムで勤務することは出来ません。

日本で安定的に暮らすためには、配偶者ビザの取得が欠かせないのです。

帰化・永住申請の要件緩和

配偶者ビザを取得すると、帰化や永住を申請する際の要件が緩和されます。

例えば帰化申請の場合、一般的なビザは5年以上日本に住み続ける必要がありますが、配偶者ビザを取得していると婚姻から3年で要件を満たします。

永住申請の場合、一般的なビザは10年以上日本に住み続ける必要がありますが、配偶者ビザを取得していれば婚姻から3年以上、日本に住んで1年以上で申請することが可能となります。

配偶者ビザの申請先

配偶者ビザの申請は、全国各地にある地方出入国在留管理局へ申請することになります。

外国人配偶者が海外に住んでいる場合は「居住予定地を管轄する入国管理局」へ、既に日本に住んでいる場合は「住居地を管轄する入国管理局」へ申請することになります。

また、現在は申請取次の資格を持つ行政書士など条件を満たせばオンラインで申請することが可能となっており、2022年3月からはマイナンバーカードがあれば外国人本人がオンラインで申請することも出来るようになりました。

申請提出者

入国管理局へ申請が出来る人は、外国人配偶者が海外に住んでいるか、日本に住んでいるかで変わります。

【海外に住んでいる場合】
・日本人配偶者
・日本人配偶者の親族
・行政書士など(申請取次の有資格者)

【日本に住んでいる場合】
・外国人配偶者本人
・行政書士など(申請取次の有資格者)

手数料

【海外に住んでいる場合】
かかりません。

【日本に住んでいる場合】
許可されるときは登録免許税として4,000円が必要です。

配偶者ビザ申請の種類

配偶者ビザの申請の種類は、外国人配偶者を海外から呼び寄せるか、日本に住んでおり配偶者ビザに変更するか、配偶者ビザを持っており更新するか、以上の3つのパターンとなります。それぞれ申請する形式が異なります。

【申請のパターン】
・海外から呼び寄せる【在留資格認定証明書交付申請】
・配偶者ビザへ変更する【在留資格変更許可申請】
・配偶者ビザを更新する【在留期間更新許可申請】

海外から呼び寄せる【在留資格認定証明書交付申請】

外国人配偶者を海外から呼び寄せるケースとしては、日本人が海外赴任中に結婚するケースや、日本に留学中に知り合い帰国後に結婚するケース、お相手が海外に居住しておりSNSを通じて知り合い結婚にいたるようなケースが該当します。

このケースは「在留資格認定証明書交付申請」をします。申請人は日本に入国を希望する外国人となり、通常は日本人配偶者か行政書士が住所地を管轄する入国管理局へ申請します。

審査期間はおよそ1ヵ月~3ヵ月となります。無事許可がおりたら交付された在留資格認定証明書を海外の外国人配偶者のもとへ郵送します。受け取った認定証明書を現地日本大使館・領事館に持参し査証(ビザ)の申請をします。無事、査証が発給されれば来日となります。査証の発給を受けてから3ヵ月以内に来日する必要があります。

在留資格認定証明書交付申請の流れ

①双方の国での結婚手続き完了

②在留資格認定証明書交付申請

③審査(1~3か月)

④「在留資格認定証明書」交付

⑤外国人配偶者が住む現地日本大使館で「査証(ビザ)」発給

⑥来日

配偶者ビザへ変更する【在留資格変更許可申請】

既に就労ビザや留学ビザといった別のビザで日本に住んでいる外国人が日本人と結婚し、配偶者ビザへ変更するようケースが該当します。

この場合、在留資格変更許可申請をします。申請人は外国人配偶者になり、外国人配偶者か行政書士が外国人配偶者の住所地を管轄する入国管理局へ申請します。

審査期間はおよそ2週間~1ヵ月程度となります。

申請の流れ

①双方の国での結婚手続き完了

②在留資格変更許可申請

③審査(2週間~1ヵ月)

④「在留資格変更許可」交付

⑤在留カード変更

配偶者ビザを更新する【在留期間更新許可申請】

既に配偶者ビザを所持しており、所定の在留期間が切れるために更新するケースが該当します。

配偶者ビザは5年、3年、1年、6ヵ月のいずれかの期間が付与されています。在留期間満了前に更新手続きをおこなう必要があります。

申請人は外国人配偶者になります。外国人配偶者の住所地を管轄する入国管理局へ申請します。審査期間はおよそ2週間~1ヵ月程度となります。申請はおおむね3か月前から開始できます。

ギリギリの申請で慌てないよう、余裕をもって手続きを進めましょう。

配偶者ビザ申請でのウソは絶対にやめましょう

日本の夫婦生活を始める為、配偶者資格が必要な場合には出入国在留管理局(入国管理局)で申請を行う事になります。この時、審査部門へ出来れば伝えたくない事実や隠したい過去を持っている方も意外と多いです。

出会った当時に不法滞在の状態だった、不法就労してた店舗で知り合った、不倫関係から始まった、などなど。そのような場合、申請時の対処として考え付くのは、1. 事実を伏せる、2. ウソをつく(虚偽の内容で申請する)、でしょう。どちらを選んでも不安ですが、絶対にダメなのは、ウソをつく(虚偽の内容で申請する)事です

審査で不利になりそうな事は伝えたくない、許可されたいからウソをつく、気持ちは理解できます。何かを隠そうとして脚色を始めると、交際経緯が大きく歪む事が多いです。上手に誤魔化せていると思っていても、日本の出入国在留管理局(入国管理局)の審査では見抜かれます。ウソをついて不許可や不交付を受けた場合、このダメージは深刻です。実際のところ、過去の違法状態や不適切な関係などを包み隠さず伝えても許可は出ています。大切なのはお二人が築いた関係性がどれほどのもので、現在また将来に向けてどうなのかと言う点です。間違った選択はせずに適切な手続をしましょう。

虚偽内容を盛り込んで不許可、不交付となった場合、そこから再申請で許可を取るのは非常に困難になります。

配偶者ビザのまとめ

地位や身分に基づく居住資格は4種類ありそのうちの、1つ配偶者ビザについて紹介しました。

正確には「日本人の配偶者等」のビザといいます。「配偶者ビザ」「結婚ビザ」とよばれるケースもあり日本とお相手の国双方で法的な結婚手続きを結ぶ必要があります。

また、配偶者ビザを取得できたら、基本的に日本国内での活動は自由です。パートやアルバイトをしてもかまいませんし、正社員として就職して収入を得ることも可能で、転職もできます。さらに永住者ビザを取得しやすくなるメリットもあります。

日本人と結婚された方はすぐに申請することをおすすめします。メリットが多い分、許可を得るための審査も厳しくなります。偽装結婚の疑いをかけられないようしっかりとした申請が大切になります。

タイトルとURLをコピーしました