産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルとは?国の優良性制度との違いも解説

東京都で産業廃棄物収集運搬業や処分業を営んでいる方なら、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルという名称を聞いたことがあるかと思います。

では、この産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルとはどのような制度なのでしょうか? また環境省が設けている優良処理業者認定制度というものがありますが、それとは何が違うのでしょうか?

このページでは、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度について解説させていただきます。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度とは?

産業廃棄物収集運搬業許可や産業廃棄物処分業許可においては「優良性の認定」という制度をもうけております。そしてその「優良性の認定」とはその許可をだしている各都道府県ごとに認定されます

その許可を受けると産業廃棄物収集運搬行許可・産業廃棄物中間処理業許可の更新が5年ごとではなく7年ごとになります。また、許可証に「優良」の文字が入り、各都道府県のホームページなどでその事業署名が公開されるため、「優良な企業」としての信用度が増します。

この「優良性の認定制度」とは別に東京都では独自に「優良な産業廃棄物処理業者を認定する」独自の第三者評価制度を設けておりそれが産廃エキスパート産廃プロフェッショナルです。

東京都環境省
名称優良性基準適合認定制度優良処理業者認定制度
開始年月日平成21年10月開始平成23年4月1日施行
申請資格東京都または八王子市もしくはその両方の産業廃棄物処理業の許可を有し、都内での事業実績が1年以上の者都道府県の産業廃棄物処理業の許可を有し、事業実績が5年以上の者
審査項目
(要件)
産廃エキスパート、産廃プロフェッショナルの2種類があり、必須項目と選択式加点項目がある。
選択により評価項目数が増減する。
(1)遵法性
(2)安定性
(3)先進的な取組(産廃エキスパートのみ)
(4)専門性(感染性廃棄物取扱のみ)
産廃エキスパート(第1種)では、環境省の制度の項目を包括的に反映しています。
すべてが必須項目
(1)遵法性
(2)事業の透明性
(3)環境配慮の取組
(4)電子マニフェスト
(5)財務体質の健全性
審査手法東京都知事既定の第三者評価機関の評価員が書面審査および現地審査により認定許可権者(都道府県知事または政令市長)が書面審査により認定
認定期間新規申請者:2年間
更新申請者:3年間
7年間
申請料金10万~20万円程度無料
許可証の表示産廃エキスパート、産廃プロフェッショナルロゴマークの表示「優」の表示

東京都の優良性基準適合認定制度(産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル)では評価される内容としては「遵法性」「安定性」「先進的な取り組み」があります。

産廃エキスパートのほうが一般的に「上位の評価認定」とされており、「遵法性」「安定性」の評価についても基準が厳しくなっておりますが、それは特に「先進的な取り組み」の評価が「産廃プロフェッショナル」より重く見られるという点によります。

区分遵法性安定性先進的な取り組み
産廃エキスパート全評価項目のうち
100%クリアが必要
全評価項目のうち
80%以上をクリア
全評価項目のうち
60%以上をクリア
産廃プロフェッショナル同上全評価項目のうち
70%以上をクリア

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル取得のメリット

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリットは、主に4つあります。

  1. 東京都で認定されHPなどでその企業名を公開されるので「優良企業・法律遵守の企業」としてPRできる
  2. 第三者評価機関により審査・認定されているので信頼を得られる
  3. 現地で評価員による確認審査を受けているので安心感を得られる
  4. 産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルのロゴを名刺などに使用することが出来る

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するには?

ここまで産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度の概要などを解説してきました。ここからは、どのようにして産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するのかを見ていきましょう。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度の対象者

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得できる対象者は、都知事の産業廃棄物処理業の許可を取得している都内での実績が1年以上の者とされています。

また都知事の許可の区分は、収集運搬業(積替保管施設あり・なし共に)中間処理業が対象となっています。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの評価項目

次に評価項目を見ていきましょう。まず評価項目の評価事項数ですが、こちらは申請区分によって異なります。

また評価基準は東京都環境公社が定めています。この東京都環境公社が第三者評価機関にあたります。

評価項目は主に3つに分けられています。

評価項目

  • 遵法性
  • 安定性
  • 先進的な取組

①の遵法性の評価とは、法定要件・義務を確実に履行しているかどうかの確認です。廃掃法で定められている委託契約書やマニフェスト・処理帳簿などを備えているかなどを確認されます。

②の安定性の評価は、安定的で信頼性がある自主的な運営を行っているのかについての確認です。直前3年の各事業年度の自己資本比率が0%を超えているかなどを確認されます。

③の先進的な取組の評価は、環境貢献活動などの先進的な取組を行っていることを確認されます。許可車両として低公害・低燃費型の運搬車両や低公害型重機を導入していることなどで評価されることになります。

ちなみに③の先進的な取組は産廃エキスパートのみの評価項目です。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの申請手数料

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの申請手数料は次のとおりです。

※積保は積替保管のことです。

収集運搬業(積保なし)
新規
収集運搬業(積保なし)
更新
収集運搬業(積保あり)
新規
収集運搬業(積保あり)
更新
中間処理業
新規
中間処理業
更新
エキスパート154,000137,500198,000181,500220,000198,000
プロフェッショナル110,00099,000154,000137,500176,000159,000

専門性(感染性廃棄物を取扱う場合)は上記の金額に加えて、33,000円が必要になります。

まとめ

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度について解説させていただきました。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度は東京都が独自に設けている制度で、環境省が設けている優良処理業者認定制度とは異なる制度であることや、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリットなどをご理解いただけたかと思います。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。