登録解体基幹技能者で解体工事業の許可を狙おう!

登録解体基幹技能者とは、国土交通大臣に登録をした実施機関が開催する登録機関技能講習を修了した者に与えられる名称・資格です。

建設業者や技術者にもあまり馴染みのない登録基幹技能者制度ですが、登録解体基幹技能者は「解体工事」についての資格であり、この資格を持っていると建設業許可を取得しやすくなることはもちろんですし、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。

このページでは、登録解体基幹技能者がどのような業種の建設業許可を取得できるか紹介していきます!

登録解体基幹技能者とは?

登録解体基幹技能者は全解工連が開催する基幹技能講習会を受講し修了テストに合格した者が認定されます。

この基幹技能者には建設業29業種のうち解体工事に関する資格で、10年以上の実務経験と3年以上の職長経験を必要とします。

建設業は、国民の生活インフラを支える重要な役割を担う業界のため、技術や経験の豊富な人材が求めらえています。そして登録解体基幹技能者となれば、次の業務を適切に遂行できるとお墨付きをもらえるのです。

 ①現場の状況に応じた施工方法等の提案、連絡、調整
 ②作業を効率よく行うための技能者の適切な配置及び作業方法、作業手順の構成・指示
 ③前工程・後工程に配慮した他の登録基幹技能者や職長との連絡、調整
 ④現場代理人(技術者)との打合せ・報告

主任技術者に登録基幹技能者を配置することで、元請業者・上位下請業者との連携が取りやすくなり生産性が向上したという報告も多くなり、需要が増えているようです。

登録解体基幹技能者講習会の受講資格

登録解体基幹技能者の受講資格は、次のすべての要件をクリアしている必要があります。

(1)解体工事について10年以上の実務経験があること

(2)建設業としての職長教育(施行令第19条あるいは施行規則第40条)を修了し3年以上の職長経験を有していること(10年間の実務経験のうち3年以上の職長経験でOK)

(3)1~4のいづれかをクリアしていること

  1. 登録解体工事講習修了者(修了証の提出が必要)+1級土木施工管理技士or1級建築施工管理技士or技術士(総合技術監理部門又は建設部門)
  2. 特定建築物石綿含有建材調査者
  3. 建築物石綿含有建材調査者
  4. コンクリート造の工作物の解体等作業主任者+次の技能講習から2資格以上』+『職長教育+特別教育・その他安全講習から1資格以上』を取得している者

▼技能講習

  • 足場の組立等作業主任者
  • 建築物の鉄骨の組立て等作業主任者
  • 木造建築物の組立て等作業主任者
  • 石綿作業主任者
  • 酸素欠乏危険作業主任者(第1種)
  • ガス溶接技能講習
  • 車輌系建設機械(整地-運搬-積込用および掘削用)運転(機体重量3t以上)
  • 車輌系建設機械(解体)運転(機体重量3t以上)

▼特別教育・その他安全講習

  • 立木伐採(胸高直径70㎝以上、胸高直径20㎝以上重心偏・つりきり・かかり木)
  • 高所作業車の運転(作業床の高さ10m未満)
  • 特定粉じん作業
  • ダイオキシン類対策特別措置法に掲げる廃棄物の焼却施設を有する廃棄物焼却施設の焼却炉、集じん機等の解体およびこれに伴うばいじんおよび焼却灰を取扱う業務
  • 石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業、封じ込め又は囲い込みの作業
  • 足場の組立て、解体または変更作業(地上または壁固な床上における補助作業の業務を除く)
  • 電気取扱い業務(低圧電気取扱業務)
  • 墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業(ロープ高所作業を除く)安全帯使用作業
  • 安全衛生責任者
  • 振動工具取扱作業者
  • 木造建築物解体工事作業指揮者

それぞれを証明する方法は下記のとおりです。

▼受講資格を満たすことを証する書面

  • 実務経験について、事業主が証明した実務経験証明書。受講者が事業主の場合は、記載事実に相違のない旨の誓約書(事業主としての署名、捺印があること)
  • 職長経験については、同上実務経験証明書の職長欄に記載し、労働安全衛生法第60条による建設業としての職長教育修了証のコピー
  • 資格証や講習会修了証のコピー

この講習を受講し修了することで登録基幹技能者の資格を得ることができます。(講習終了後、簡単なテストあり)

建設業許可を取得するための要件について

この資格を取得後、どうやったら建設業許可が取れるのでしょうか?

まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。

  1. 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
  2. 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
  3. 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
  4. 財産的信用の基準を満たしている
  5. 欠格事由に該当していないこと

これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。

この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。

▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある

営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

この登録基幹技能者は「1.定められた国家資格を持っている」に該当します!

専任技術者になることができる建設業種

登録解体基幹技能者は、建設業許可における下記の業種の専任技術者になることができます。

  • 解体工事業

なお、修了証・資格証に、建設業種について主任技術者の要件を満たしていることの記載が必須です。

専任技術者:10年以上の実務経験を証明する方法

建設業許可の要件の1つである「専任技術者」には登録基幹技能者やその他資格を有していなくても、「4.10年間の実務経験」を証明することでなることができます。

一方、登録基幹技能者の講習を受けるためには10年以上の実務経験を必要とします。では、そもそも講習を受ける条件を満たしているのであれば、その経験で専任技術者になれのではないか?というとそういうわけではありません。

専任技術者になるための10年以上の実務経験を証明するためには、経験を積んだ会社での専門工事に関する「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」等を用意する必要がありますし、その期間の在籍確認として厚生年金の加入記録まで提出する場合があります。

登録基幹技能者講習の実務経験の証明方法は、事業主が証明した実務経験証明書を用意するだけで実務経験が認めてもらえますし、その期間の在籍確認書類も不要です。

ここまででも、専任技術者の10年以上の実務経験を証明するのはハードルが高いことが分かります。

以前勤めていた会社で10年以上の実務経験があるものの、請負契約書、注文書・請書、請求書+入金記録といった証明書類のコピーを用意してもらうのは難しいかもしれません。

経験を積んだ会社で、役員でもない限り「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意するのはかなりハードルが高いですが、建設業を専門にしている行政書士であれば、さまざまな経験から糸口を見つけられるかもしれませんので、諦めずにまずは相談をしながら進めていくべきでしょう。

専任技術者の配置する場合の注意する点

専任の技術者を置く場合に、下記の項目に注意する必要があります。

必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか

これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。

登録解体基幹技能者で解体工事業を狙おう!

ここまでで登録解体基幹技能者でどのような業種の建設業許可が取得できるか?また、この基幹技能者の受講資格について紹介しました。

登録解体基幹技能者を受講するためにはさまざまは条件をクリアする必要がありますが、この登録解体基幹技能者になることでと解体工事に関する主任技術者や専任技術者になることができます!

なお、建設業許可は営業所を構えている都道府県に申請をすることになりますが、各都道府県によって審査基準が大きく変わります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で建設業許可の取り方をまとめているので、ぜひご確認ください。

なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。

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