測量士とは、測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。測量士となるのに必要な専門的学識及び応用能力を有するかどうか、また、測量士補となるのに必要な専門的技術を有するかどうかを判定するために行い、試験に合格すれば、それぞれ測量士又は測量士補となる資格を取得できます。
あらゆる建設・土木工事が安全で確実な工事計画となるように、測量法に則った測量計画を立てて実際に現場で測量をしなければなりません。
ダムやトンネルなど社会にとって重要な工事計画も測量からスタートします。
つまり、測量が終わらないと工事計画が立てられないため、工事現場において,必要であり、非常に重要な役割を果たしています。
このページでは、測量士で建設業許可が取れない理由やどうやったら建設業許可が取れるのかをご紹介します。
測量士では建設業許可は取れません!
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
測量士は国家資格ですが、建設業法上での「定められた国家資格」には該当しないので、この測量士だけでは専任技術者にはなれないのです。
したがって、測量士であっても「4.10年間の実務経験」や「3.指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験」が必要になります。
この10年間の実務経験を積んでいたとしても、それを証明するのはかなりハードルが高いです。
実務経験の証明書類を揃えることができない場合の対処方法を解説します。
10年以上の実務経験はあるけど、証明書類がない時
10年以上の実務経験を証明するためには、経験を積んだ会社での専門工事に関する「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意する必要があります。
しかし、以前勤めていた会社で10年以上の実務経験があるものの、請負契約書、注文書・請書、請求書+入金記録といった証明書類のコピーを用意してもらうのは難しいかもしれません。
以前勤めていた会社が建設業許可業者であれば、それらを用意しなくても許可通知書で証明することができます。関係性によっては許可通知書のコピーをもらうことは難しいかもしれませんが、先ほどと同じように東京都や神奈川県の場合は、主たる営業所の住所・代表取締役を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで同様に許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。
以前の会社で役員でもない限り「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意するのはかなりハードルが高いです。しかし、建設業を専門にしている行政書士であれば、さまざまな経験から糸口を見つけられるかもしれませんので、諦めずにまずは相談をしながら進めていくべきでしょう。
施工管理技士補の活用
10年間以上の実務経験を積むのもそれを証明するのもかなり大変です。そのため、施工管理技士補を取得することにより、実務経験を5年もしくは3年に短縮できる制度を利用することも1つの方法です。
令和3年度より、施工管理技士補の制度が創設されました。それにより、施工管理技士試験の名称が変更になり、今までの学科試験が第1次検定・実技試験が第2次検定となり、第1次検定合格後に「施工管理技士補」の称号を取得可能となりました。
また、令和6年度より第1次検定受検における学歴や実務経験の制限がなくなり、いままで受検資格の無かった学生の方や建設業の実務経験が全くない方でも、第1次検定を受験することができるようになりました!
合格した場合は専任の技術者になるための要件である実務経験が10年→3年又は5年に短縮することができるので、専任技術者の要件をクリアできる可能性がぐんと上がります。
登録建築測量基幹技能者になって建設業許可を取ろう!
登録建築測量基幹技能者とは、国土交通大臣に登録をした実施機関が開催する登録機関技能講習を修了した者に与えられる名称・資格です。
建設業者や技術者にもあまり馴染みのない登録基幹技能者制度ですが、登録建築測量基幹技能者は建設測量や墨出し業務(大工工事業)についての資格であり、この資格を持っていると建設業許可を取得しやすくなることはもちろんですし、すでに取得している建設業許可の業種を増やすことが可能になります。
すでに測量士であれば次の2つの要件をクリアしていれば登録建築測量基幹技能者技能者の受講資格を得ることができます。
(1)建築測量・墨出し工事について10年以上の実務経験があること
(2)建設業としての職長教育(施行令第19条あるいは施行規則第40条)を修了し3年以上の職長経験を有していること(10年間の実務経験のうち3年以上の職長経験がOK)
▼受講資格を満たすことを証する書面
- 実務経験について、事業主が証明した実務経験証明書。受講者が事業主の場合は、記載事実に相違のない旨の誓約書(事業主としての署名、捺印があること)
- 職長経験については、同上実務経験証明書の職長欄に記載し、労働安全衛生法第60条による建設業としての職長教育修了証のコピー
そして、登録建築測量基幹技能者になれれば、大工工事業の専任技術者になることができるのです!
登録建築測量基幹技能者は比較的狙いやすい講習会なので、すでに測量士の資格を持っており一定の実務経験を有しているのであればかなりオススメの基幹技能者資格です。
測量士で建設業許可を取る方法:まとめ
今回は、測量法及び測量法施行令に基づいて行われる測量士についてご紹介しました。測量士も難易度の高い資格ではありますが、建設業法で定められている国家資格ではないのです。
そのため、10年間の実務経験を証明する必要があるのですが、かなりハードルが高くなります。しかし登録建築測量基幹技能者になることで大工工事に関する主任技術者や専任技術者になることができます!
建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要がありますので、なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
どうしようもできずに「裏ワザ」はないのか?という質問をよくされます。建設業許可を専門にやっていた行政書士だから知っている、「裏ワザ」があります!
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。