シーリング工事を主に請け負っているものの、
そんな状況に直面し、「どうすれば建設業許可が取れるのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
実際、建設業許可を取得するには、いくつかの要件を満たす必要がありますが、正しい知識があればシーリング工事専門の業者でも十分に取得可能です。
このページでは、シーリング工事を専門とする建設業者が建設業許可を取得するための条件や手続きについて、わかりやすくご説明していきます。
シーリング工事には建設業許可が必要

建設業法では建設工事を「2種類の一式工事」と「27種類の専門工事」に区分しています。しかし、シーリング工事という区分はありません。
ではシーリング工事は建設業法上、どの区分の工事に該当するかというと、原則は「防水工事業」になります。
建物外壁に貼るタイルやサイディングなどの外壁材は、パネル同士に隙間が生じます。その隙間を接着性があるシーリング材で、目地の隙間を塞ぐ工事のことです。外壁目地にシーリング工事を施すことで、外壁材の内側に雨水が入りにくくなり、外壁の劣化を防ぎます。
しかし、シーリング工事は外壁塗装工事をセットで行われることが多いです。外壁塗装工事は「塗装工事業」に該当します。
シーリング工事を行う際は足場の組立が必要不可欠ですが、外壁塗装を行う際も足場が使用されます。
足場の組立と解体には相応の費用が発生するため、シーリング工事と外壁塗装工事をそれぞれ行うと、足場代の負担が大きくなるのです。そのため、シーリング工事と外壁塗装工事をセットで行い足場代を抑えるのです。
シーリング工事と外壁塗装工事をセットで行う場合は、どちらがメイン工事なのか・どちらの費用が高額になるかで必要な業種が決まります。基本的にシーリング工事(防水工事業)より外壁塗装工事(塗装工事業)のほうが高額になり、かつ、メイン工事とみなされるケースが多いので、シーリング工事(防水工事業)を専門にしていても、附帯工事になってしまい塗装工事業が必要になることが多いです。
したがって、シーリング工事といっても、トータル的に何を請け負っているか・なんの目的のために工事を行うかなどによってどの業種の建設業許可をとるのかを慎重に判断する必要があります。
どの業種の許可が必要かわからない方へ
工事内容が複雑で判断に迷う場合は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。お気軽に[無料相談フォーム]からご相談ください。
建設業許可は人的要件が特に重要です!
建設業許可を取得するためにはさまざま要件をクリアする必要があり、特にハードルが高いのが人的要件である「経営業務の管理責任者」、「専任技術者」です。
なかなかイメージするには難しい言葉だと思います。簡単に言うと「経営の責任者」「技術の責任者」と考えていただければと思います。
経営の責任者になれる方は?
建設業許可を取得する際に最もつまずきやすいのが、「経営業務の管理責任者(経管)」の要件です。
この要件は、常勤している取締役のうち、以下のいずれかを満たす必要があります。
▼経営業務の管理責任者として認められるパターン
- 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者(←メインで使うのはこれです)
- 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(例:建設部長)にあり、経営業務のある者
- 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
- 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
- 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。
中小企業や個人経営に近い会社の場合は、「5年以上取締役としての経験(パターン1)」での証明が現実的です。
(例)
・建設会社の取締役として5年以上の経験がある。
・個人事業主として5年以上の経験がある。
・建設業許可を取得している建設業者の令3条の使用人(支店長)として5年以上の経験がある。
お困りの際はご相談ください
経営業務の管理責任者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。
技術の責任者になれる方は?
続いて「技術の責任者:専任技術者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。
2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。経営業務の管理責任者に次いで専任技術者もハードルが高いです。この専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。
<一般建設業許可の専任技術者の要件>
以下のいずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
⚠ 要注意ポイント!
実はこの「専任技術者の要件は、取得しようとしている業種ごとに異なるため、注意が必要です。
たとえばシーリング工事でも、「塗装工事業」として許可を取る場合と、「防水工事業」として許可を取る場合では、求められる資格や経験が違ってきます。
以下、それぞれの業種ごとに解説していきます。
定められた国家資格を持っている
▼塗装工事業の場合
▼防水工事業の場合
登録基幹技能者の場合は修了証に「主任技術者の要件を満たすものであると認められます」という記載が必須です。

定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
▼塗装工事業の場合
<資格取得後、塗装工事に関する3年以上の実務経験があるもの>
- 一級土木施工管理技士補
- 一級建築施工管理技士補
- 一級造園施工管理技士
- 一級造園施工管理技士補
- 二級塗装技能士
<資格取得後、塗装工事に関する5年以上の実務経験があるもの>
- 二級土木施工管理技士(種別:土木)
- 二級土木施工管理技士(種別:薬液注入)
- 二級土木施工管理技士補(種別:土木)
- 二級土木施工管理技士補(種別:鋼構造物塗装)
- 二級土木施工管理技士補(種別:薬液注入)
- 二級建築施工管理技士(種別:建築)
- 二級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 二級建築施工管理技士補
- 二級造園施工管理技士
- 二級造園施工管理技士補
▼防水工事業の場合
<資格取得後、防水工事に関する3年以上の実務経験があるもの>
- 一級土木施工管理技士
- 一級土木施工管理技士補
- 一級建築施工管理技士補
- 一級造園施工管理技士
- 一級級造園施工管理技士補
- 二級防水施工技能士
<資格取得後、防水工事に関する5年以上の実務経験があるもの>
- 二級土木施工管理技士(種別:土木)
- 二級土木施工管理技士(種別:鋼構造物塗装)
- 二級土木施工管理技士(種別:薬液注入)
- 二級土木施工管理技士補(種別:土木)
- 二級土木施工管理技士補(種別:鋼構造物塗装)
- 二級土木施工管理技士補(種別:薬液注入)
- 二級建築施工管理技士(種別:建築)
- 二級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 二級建築施工管理技士補
- 二級造園施工管理技士
- 二級造園施工管理技士補
指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
▼舗装工事業の場合
大学で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学に関する学科→舗装工事に関する3年以上(高校の場合は5年以上)の実務経験
▼防水工事業の場合
大学で土木工学(土木工学、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科)、建築学に関する学科→防水工事に関する3年以上(高校の場合は5年以上)の実務経験
10年以上の実務経験がある
▼塗装工事業の場合
塗装工事に関する10年以上の実務経験がある。
▼防水工事業の場合
防水工事に関する10年以上の実務経験がある。
実務経験を証明する方法
実務経験の証明方法は、経験を積んだ会社の許可の有無によって変わります。
①塗装工事業or防水工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合
許可がある業者で実務経験がある場合、基本的には許可通知書を提出することで証明することができます。しかし、すでに退社している場合は協力を得ることができないケースはよくあります。
その場合、次の方法で証明を進めることができます
- 会社の許可を取得した都道府県を確認
許可を取得していた都道府県をまず確認することが重要です。 - 東京都や神奈川県の場合
行政に対して「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えることで、その会社がいつからいつまで許可を取得していたのかの情報を提供してもらえる場合があります。 - 大阪の場合
大阪では、行政文書の開示請求をすることで、許可状況が記載された「黒台帳」という文書を手に入れることが可能です。
これらの情報から証明することができるので、諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。
②塗装工事業or防水工事業の建設業許可のない業者で実務経験を積んだ場合
建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。
まず、塗装工事業or防水工事業に関する実務経験を証明するためには、その会社での塗装工事業or防水工事業に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。
前職の協力が不可欠なため、証明ハードルは非常に高いです。当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。
お困りの際はご相談ください
建設業許可の要件は複雑で、特に実務経験の証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽にご相談ください。
それぞれの違い

「経営の責任者」である【経営業務の管理責任者】と、「技術の責任者」である【専任技術者】は、どちらも建設業許可を取得する上で重要な人的要件です。ただし、それぞれに役割や要件の違いがあります。
まず、経営業務の管理責任者は、一定の経営経験(例:建設業の取締役として5年以上など)があれば、すべての業種で共通して認められるポジションです。一度条件を満たせば、どの業種の許可申請でも「経営責任者」として登録することができます。
しかし、専任技術者はそうはいきません。
業種ごとに必要な資格や実務経験・学歴の要件が細かく定められており、業種ごとに個別に条件を満たす必要があります。
つまり、複数の業種で専任技術者になりたい場合は、それぞれの業種ごとの要件をすべてクリアする必要があるということです。
各責任者の配置する場合の注意する点
「経営の責任者」も「技術の責任者」も選任する場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
建設業許可を取得したい方へ ― 必ず確認すべきポイントとは?
「シーリング工事をしているから塗装工事業だろう」と自己判断して許可を申請すると、思わぬ不許可や修正指導を受けるケースがあります。建設業の業種区分は非常に細かく複雑で、素材や施工方法によって必要な許可業種が異なるため、判断を誤ると大きなロスに繋がりかねません。
また、建設業許可は誰でも簡単に取れるものではありません。
「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」といった厳しい人的要件をはじめ、財産的要件・欠格要件など、細かい審査項目を一つずつ丁寧にクリアしていく必要があります。
「今すぐ許可を取らないと大きな案件が受注できない」
「元請から『無許可では発注できない』と言われて困っている」
こんなお悩みを抱えている事業者様は、行動を後回しにするとチャンスを失う可能性も。
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