
建設業許可は一式工事2種類と専門工事27種類の計29業種に細かく分類されていて、それぞれの業種ごとに許可を取得する必要があります。
苦労して許可を受けたものの、「工事請負に必要なのは別の業種だった」なんてことにならないように、しっかり内容を把握しておきましょう。
このページでは、リフォーム工事について紹介いたします。
リフォーム工事はなんの業種?
ひとくくりに住宅リフォームといっても、室内の改修や外壁の修理、屋根のやり変えなど、工事の内容によって異なってくると思います。
さらに、建設業許可も29業種の工事に分類されかなり幅広く、リフォームを請け負う業者で建設業取得をお考えの方には、いったいどの許可をとればいいんだ!とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
ここでは、そんな方に向けて、リフォームで建設業許可を取得するにはどうすればいのか、という内容で説明をしていきます。
これはリフォーム工事に限ったことではありませんが、500万円以上の工事を請け負うには建設業許可を取得しなければなりません。そしてリフォーム工事であれば、主たる工事(メインの工事)に対応する業種で建設業許可が必要になります。
以下が、それぞれの工事に対応した専門工事の許可の種類です。
・室内の改装修繕(壁や床など):内装仕上工事、大工工事
・設備系工事(キッチン・バス・トイレなど):管工事
・サッシや玄関扉などの工事:建具工事
・外壁工事:塗装工事、防水工事、タイルれんがブロック工事、左官工事
・屋根の補修など:屋根工事
・外構エクステリア工事:とび土工コンクリート工事、タイルれんがブロック工事、造園工事
なお、リフォームと言っても規模はそれぞれです。
例えば、建築確認が必要な増改築工事では、「建築一式工事」の許可が必要になってきます。
※1,500万円未満の建築一式工事、延べ150㎡に満たない木造住宅の建築一式工事を除く
ただし、スケルトン改修といった総合的なリフォーム工事でも、建築確認を必要としないマンションのスケルトンリフォームなどは許可行政庁によって取り扱いが異なるので事前確認が必要となります。
ここまでがリフォーム工事の建設業許可取得の話の前提となる話でした。次は、ではどの種類で許可を取れば良いのかという考え方について見ていきます。
メインとなる業種での許可を取る
木工造作工事しかしない、外壁塗装しかしない、といった様に専門特化された事業者であれば、当然、塗装工事業や大工工事業といった専門工事に対応した許可のみを取得すればいいのですが、リフォーム業者のなかには、複合的に工事を行うといったところが多いのではないでしょうか?
理想を言ってしまえば、リフォーム業務をおこなうにあたって取り扱うすべての業務に必要な建設業許可を取れれば一番安心です。
しかし、全ての業務において要件を満たす専任技術者を置くというのもかなりハードルの高い要件です。そこでいくつかに絞って建設業許可を取得する必要があります。
まず、一番おすすめできるのは「内装仕上工事業」です。
というのも、住宅リフォーム工事は内装・インテリアに関する工事を請け負うことが多いからです。
でも他の分野の工事も一緒に行うんであればやっぱりその許可も必要なんじゃないの?と思われるかもしれません。しかし、メインの工事に伴って行う他の専門工事も「附帯工事」として許可を取得することなく行うことが出来るのでご安心下さい。
例えば、上記の「内装仕上工事業』を持った事業者がクロスの張替えを請負ったとします。そして、その工事に関連する範囲で、コンセント移設で電気の配線をさわったりすることは「附帯工事」扱いとなり、「電気工事業」の許可を取得していなくても違法にはならない、といった具合です。
ですので、まずどの建設業許可を取れば良いのかということについて結論づけるとすると、とりあえずはメインとなる工事に必要な許可を取得し、その附帯工事の範囲で合法的に周辺工事も行うというのが良いでしょう。
建設業許可は人的要件が特に重要です!
建設業許可を取得するためにはさまざま要件をクリアする必要があり、特にハードルが高いのが人的要件である「経営業務の管理責任者」「専任技術者」です。
なかなかイメージするには難しい言葉だと思います。簡単に言うと「経営の責任者」「技術の責任者」と考えていただければと思います。
経営の責任者になれる方は?
まずは「経営の責任者:経営業務の管理責任者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。
- 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者
- 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(建設部長等)にあり、経営業務のある者
- 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
- 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
- 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。
技術の責任者になれる方は?
続いて「技術の責任者:専任技術者」の要件は次のいずれかに該当する方が必要です。
専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
ここで注意点!
許可を取得する業種によって、技術の責任者の要件が変わります!
このページでは内装仕上げ工事業について紹介していきます。
▼定められた国家資格を持っている
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(種別:仕上げ)
- 一級建築士
- 二級建築士
- 一級畳製作技能士
- 一級内装仕上げ施工技能士
- 一級表装技能士
- 登録内装仕上工事基幹技能者
登録基幹技能者の場合は修了証に「主任技術者の要件を満たすものであると認められます」という記載が必須です。

▼定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
<資格取得後、内装仕上げ工事に関する3年以上の実務経験があるもの>
- 一級建築施工管理技士補
- 二級畳製作技能士
- 二級内装仕上げ施工技能士
- 二級表装技能士
<資格取得後、内装仕上げ工事に関する5年以上の実務経験があるもの>
- 二級建築施工管理技士(種別:建築)
- 二級建築施工管理技士(種別:躯体)
- 二級建築施工管理技士
▼指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
大学にて建築学、都市工学に関する学科を卒業し、内装仕上げ工事に関する3年以上(高校の場合は5年以上)の実務経験がある。
▼10年以上の実務経験がある
内装仕上げ工事に関する10年以上の実務経験がある。
実務経験を証明する方法
実務経験を証明するケースについてよく相談をうけるのはこの2つのパターンに分かれます。
- 内装仕上げ工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合
- 内装仕上げ工事業の建設業許可のない業者で実務経験を積んだ場合
①内装仕上げ工事業の建設業許可のある業者で実務経験を積んだ場合
許可がある業者での経験の場合は、基本的には、許可通知書を用意するだけで証明できます。
しかし、内装仕上げ工事業の建設業許可を取得している他社で実務経験を有しているものの、協力を得ることができないということはよくあります。
建設業許可の場合は、まずはその会社がどこの都道府県で許可を取得していたかを確認しましょう。東京都や神奈川県の場合は、行政に「会社名」「営業所の住所」「当時の代表取締役」を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。
②内装仕上げ工事業の建設業許可のない業者で実務経験を積んだ場合
建設業許可を取得していない会社での経験の場合は、ハードルがかなり高くなります。
まず、内装仕上げ工事業に関する実務経験を証明するためには、その会社での大工工事業or内装仕上げ工事業に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった証明書類が必要になります。
前職の経験を証明したい場合は、当時の会社に協力を依頼することしかできないので、かなりハードルは高くなりますが、当時の取引先と関係性が続いているのであれば、そこからクリアの糸口を見つけていくことも方法です。
諦めずにまずは行政書士等の専門家に相談をしながら進めていくべきでしょう。
それぞれの違い

「経営の責任者:経営業務の管理責任者」と「技術の責任者:専任技術者」の違いは、「経営業務の管理責任者」は上記に記載したある一定の経営経験があれば、建設業許可の全ての業種の「経営管理の管理責任者」になることができますが、
「専任技術者」は業種ごとに実務経験や資格、学歴が定められており、複数業種の専任技術者になるためにはそれぞれ業種ごとに定められた条件をクリアする必要があるのです。
各責任者の選任する場合の注意する点
「経営の責任者」も「技術の責任者」も選任する場合に、下記の項目に注意する必要があります。
・必ず常勤であること
・社会保険に加入しておくこと(雇用保険・健康保険・厚生年金全て)
・他の会社で、専任技術者として登録していないこと(同一企業でないと兼任は認められません)
・資格を持っている証拠として“合格証”が手元にあるか
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
まとめ
建設業の業種については、かなり複雑に分けられております。自社で施工している工事がどの業種に該当するかをきちんと把握したうえで、建設業許可を取得する必要がございます。実際に、とび土工工事業だと思っていたのが、塗装工事業だったなどもございますので、一度行政庁や専門家へご相談いただくのがよいかと思います。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。