これで迷わない!建設業許可の6つの取得条件をまるっと解説

建設業者のみなさま、建設業許可について正確にご存じですか?

名前は聞いたことがあっても、内容までしっかり理解している方は意外と少ないかもしれません。

「建設業」とは、法人・個人を問わず、元請けでも下請けでも――建設工事の完成を請け負うすべての事業者を指します。

そして、たとえ一人で始める場合でも、一定規模以上の工事を請け負うには「建設業許可」が必要です。許可を持たずに工事を続ければ、思わぬトラブルや法的リスクに巻き込まれることも。

建設業は29の専門業種に分かれており、それぞれで許可を取得する必要があります。取得には、「実務経験」や「専任技術者の確保」「財務の健全性」など、いくつかのクリアすべき条件が課されています。

ですが――この「建設業許可」を手にすることで、
取引先や元請けからの信頼が大きく高まり、受注のチャンスが一気に広がるのです。

建設業許可の6つの要件とは?

建設業許可を受けるためには、以下の6つの要件をクリアしなければなりません。

  1. 経営業務の管理責任者がいること
  2. 専任技術者が営業所ごとにいること
  3. 請負契約に関して誠実性があること
  4. 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 社会保険に加入している

それでは、これらの要件について、1つずつ詳しく見ていきましょう!

要件①経営業務の管理責任者がいること

建設業許可を取得する際に最もつまずきやすいのが、「経営業務の管理責任者(経管)」の要件です。
この要件は、常勤している取締役のうち、以下のいずれかを満たす必要があります。

▼経営業務の管理責任者として認められるパターン

  1. 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者(←メインで使うのはこれです)
  2. 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(例:建設部長)にあり、経営業務のある者
  3. 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
  4. 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
  5. 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。

中小企業や個人経営に近い会社の場合は、「5年以上取締役としての経験(パターン1)」での証明が現実的です。

(例)
・建設会社の取締役として5年以上の経験がある。
・個人事業主として5年以上の経験がある。
・建設業許可を取得している建設業者の令3条の使用人(支店長)として5年以上の経験がある。

お困りの際はご相談ください

経営業務の管理責任者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。
「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」など、お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

要件②専任技術者が営業所ごとにいること

2つ目の要件は、営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。経営業務の管理責任者に次いで専任技術者もハードルが高いです。この専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

<一般建設業許可の専任技術者の要件>

以下いずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。

  • 定められた国家資格を持っている
  • 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  • 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  • 10年以上の実務経験がある

<特定建設業許可の専任技術者の要件>

以下のいずれかの要件を満たす者が専任技術者になることができます。

  • 定められた国家資格のうち級数が1級である者
    • 一級土木施工管理技士
    • 一級建築施工管理技士
    • 一級建築士 など
  • 一般建設業許可の専任技術者の要件に該当し、かつ元請としての4,500万円以上の工事について、2年以上指導監督的な実務経験を有する者※
    • 二級土木施工管理技士かつ元請として4,500万円以上の工事について、2年以上指導監督的な実務経験を有する者
    • 二級建設施工管理技士かつ元請として4,500万円以上の工事について、2年以上指導監督的な実務経験を有する者 など

※指定建設工事業(土木工事業建築工事業管工事業鋼構造物工事業舗装工事業電気工事業造園工事業)については「指導監督的実務経験」は認めらません。

一般建設業許可における専任技術者要件には、1級ではなく2級でも認めているほか10年間の実務経験でも専任技術者になることができるので、特定建設業許可の専任技術者要件はハードルが高くなることが分かります。

お困りの際はご相談ください

専任技術者の要件証明に関しては判断が難しいこともあります。特に実務経験を証明するときは「自分が要件を満たしているかわからない」「証明書類が揃えられるか不安」などのご相談をよくいただきます。お困りの方はお気軽に無料相談をご活用ください。

要件③請負契約に関して誠実性があること

3つ目の要件は、申請者本人や関係者が「建設工事について契約上のトラブルを起こす可能性がないこと」が求められます。

対象者は

  • 法人の場合:法人そのもの、および役員
  • 個人事業主の場合:事業主本人
  • 支店などを設ける場合:「令3条の使用人」です。

過去に以下のような行為があると、許可が下りない可能性があります

● 不正な行為

請負契約の締結・履行に関して、法令に違反する行為をした場合

例えば・・・

  • 詐欺行為で契約を結んだ
  • 脅迫して契約を履行させた
  • 工事代金を横領した

● 不誠実な行為

契約内容に反して、信義に反する工事対応を行った場合

例えば・・・

  • 約束した工期を故意に大幅に遅延
  • 契約内容と異なる資材や施工方法を用いた

「自分の過去の経歴に問題がないか不安…」という方は、事前に確認しておくと安心です。
少しでもご心配な点があれば、専門家に相談されることをおすすめします。

要件④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

4つ目の要件は、、工事を最後まできちんと完了できるだけの資金力があるかを審査されます。これを「財産要件」と呼びます。

この要件は、一般建設業許可特定建設業許可で異なります。

● 一般建設業許可の財産要件

次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 自己資本が500万円以上あること
    → 貸借対照表の「純資産合計」で判断されます。
  • 500万円以上の資金調達能力があること
    → 預金残高証明書(500万円以上の残高)または融資証明書で証明します。

会社設立間もなく、まだ決算報告書に自己資本が反映されていない場合でも、資本金や預金残高証明などでカバーできます。柔軟に対応可能な要件ですので、気になる方はご相談ください。

特定建設業許可の財産要件

特定建設業許可を取得するには、より厳格な財産条件が求められます。以下のすべてを満たす必要があります。

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上あること
  3. 資本金が2,000万円以上あること
  4. 自己資本が4,000万円以上あること

特定建設業は、大規模工事を元請として請け負うことを前提とした許可です。そのため、経営の健全性や資金力が厳しくチェックされるのです。

要件⑤欠格要件に該当しないこと

5つ目の要件は、申請者自身や法人の役員などが「一定のルール違反に該当していないこと」が求められます。これを「欠格要件(けっかくようけん)」といいます。

以下のいずれかに該当すると、許可を受けることができません

  • 成年被後見人、被保佐人、または破産して復権を得ていない人
     → 法的に取引の判断能力がないとされる場合です。
  • 不正な手段で建設業許可を取得し、その許可を取り消されてから5年を経過していない
  • 許可の取り消しを免れるために廃業の届出をし、それから5年を経過していない
  • 不誠実な請負契約を行い、営業停止処分を受けてその期間がまだ終わっていない
  • 禁錮(きんこ)以上の刑を受け、執行終了や免除から5年を経過していない
     → 実刑を受けた後、5年が経っていない場合も該当します。
  • 建設業法や建築基準法などの関連法令に違反し、罰金刑を受けた日から5年を経過していない

実際に、この欠格要件のご相談はかなり多いです。

例えば・・・

  • スピード違反で罰金があっても大丈夫か?
  • 登記懈怠で罰金(過料)があった
  • 飲酒運転で捕まったことがある
  • 現場で喧嘩して書類送検されたことがある
  • あおり運転をされて腹が立って相手を殴った など

これはすべて本当に相談された内容です。欠格要件に該当してもばれないと思ったけど不許可になったという相談もありました。

「昔のことだから大丈夫だろう」と自己判断してしまうのは危険です。欠格要件に該当するケース・該当しないケースありますので、過去の経歴に不安がある場合は、必ず事前に専門家に相談して確認しましょう。

要件⑥社会保険に加入している

令和2年10月の法改正により、社会保険への加入が建設業許可の要件となりました。

すべての建設業を営む者が建設業許可の申請をする際、適切な社会保険に加入しているかを確認されます。

建設業において求められる社会保険は、以下の3つです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

社会保険に未加入の場合は、

  • 新規で建設業許可を取得できない
  • すでに許可を持っている場合でも更新ができない

という事態に陥ります。「まだ加入していない」「以前のまま放置している」という方は、まずは保険の加入状況を確認し、早めの対応を行うことが重要です。

無許可で請け負った場合は、重いペナルティが課せられます!

許可なしに500万円以上(※建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負うと、建設業法違反となり、懲役刑や罰金刑が科せられる可能性があります。このような違反行為は、ただの行政処分にとどまらず、業務への致命的な影響を及ぼします。

さらに、違反業者と契約を結んだ元請業者も、監督処分の対象となりますので二次下請け・三次下請けへの注意が必要です。

重要!

建設業法に違反すると、その後5年間は建設業許可の取得ができなくなるという、非常に厳しい制裁が待っています。

建設業許可申請の手続きは、想像以上に手間がかかります!

建設業の許可申請には、多くの書類が必要です。
そして、書類ごとに申請先や必要な添付書類、申請方法が異なるため、非常に手間がかかります
初めての申請では、どの書類をどこで取得するか、申請のタイミングや必要書類をひとつずつ調べる必要があり、時間と労力を要します。

さらに、申請時に作成期限が決まっている書類もあり取得のタイミングを間違えると申請が遅れる原因にもなりかねません。
慣れない書類収集は、予想以上に時間がかかり、他の業務に支障をきたすことも。

そんな時こそ、専門家のサポートが役立ちます!

行政書士に依頼すれば、書類の作成や提出までの手続きをスムーズに進めることができ、時間と手間を大幅に削減できます。
その結果、自分で申請するよりも圧倒的に早く、確実に許可を取得できるのです。行政書士に依頼することで、面倒な書類収集や申請のミスを防ぎ、許可取得までの期間を短縮できます。これにより、本業に集中できる時間を増やすことも可能になります。

建設業許可は自社で取得できる?

建設業許可を取得するためには、さまざまな厳しい要件を満た必要があります。一般的な許認可と比べると、建設業許可はハードルが高く、簡単に取得できるものではありません。

特に、500万円以上の大規模な工事を請け負いたいと考える事業者にとって、建設業許可の取得は必須です。しかし、許可を取得するための要件を満たしていない、もしくは過去の書類がなくて困っている事業者さんが多くいます。

このような場合、許可取得を目指すためには、確実に要件をクリアすることが重要です。もし不安な点があれば、専門家のサポートを受けて、最短でスムーズに許可を取得する方法を検討することをお勧めします。

また、建設業許可の申請先は、営業所の所在地を管轄する都道府県になりますが、実際の運用や審査基準は都道府県によって異なるのが実情です。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県における建設業許可の取り方については、別ページで詳しく解説しておりますので、そちらもあわせてご確認ください。

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