解体業者必見!排出事業者責任を果たしてますか?

解体工事をメインで行っている事業者さまで建設廃棄物についての責任はだれが負うのか気にしている方も多いのではないでしょうか?

解体現場において、排出事業者(ごみを出した人)は誰になるのか?というご質問が非常に多いです。建築物を解体することをお願いしているのは発注者(施主)だから排出事業者も発注者だと思われそうですが、実は異なります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)上は「有価物である建築物を解体工事という産業活動を通じて廃棄物に変わった」とみなすことができるため、排出事業者は解体業者(元請)となるのです。

▼廃掃法の参考条文

<廃棄物の処理及び清掃に関する法律(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)>

第21条の3

土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第三条第二項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

排出事業者責任は解体業者に課されます!

廃棄物処理法では、「事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならない」と規定されています。
たとえ産業廃棄物の処理を処理業者に委託したとしても、委託した処理業者が不法投棄や不適正処理を行えば排出事業者も責任も問われることとなります。
このような産業廃棄物の発生から処理までの一連に係る事業者の責任を「排出事業者責任」と言います。

産廃処理業者に委託したのに不適正処理が行われてしまったら、その責任が排出事業者にも問われる可能性があるので、適正な処理を行う信頼できる処理業者を正しく選定することがたいへん重要となります。

義務①委託基準の遵守

解体工事の元請け業者は、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、政令で定める委託基準(書面による委託契約の締結、許可業者への委託など)に従わなければなりません。

義務②処理責任

解体工事の元請け業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないとされています。

義務③管理票(マニフェスト)交付義務

解体工事の元請け業者は、産業廃棄物の処理を処理業者に委託する場合、管理票(産廃マニフェスト)を交付しなければなりません。

義務④委託した場合の最終処分までの注意義務

産業廃棄物の処理を他人に委託した解体工事の元請け業者は、廃棄物処理の一連の行程の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければなりません。

排出事業者が産業廃棄物の処理委託先を訪問して、適正な処理が行われているかを確認することを義務付けている自治体もあります。東京都では現地確認をすることが望ましいと定めています。

最近はコンプライアンスが重要視されているので、銀行融資現地確認をすることで他の解体業者と差別化を図れるかもしれません!

主な違反行為とその罰則例

前述の通り、産業廃棄物の排出事業者は法律に従って正しく廃棄物を処理する義務が定められています。
では、具体的にどのようなことに違反すると排出事業者責任が問われるのでしょうか?違反行為の主な例を見ていきましょう。

1.産業廃棄物の不法投棄

自ら投棄したり、委託業者に投棄の指示をすれば即アウトで厳しい罰則が設けられていますが、後を絶たない違反行為の一つです。
指示等の関与はなくても、委託した処理業者が不法投棄を行なっていた場合、排出事業者様にも責任が問われます。

【違反した際の罰則】
5年以下の懲役または1,000万円の罰金、またはその両方が科されることもあります。
※法人に対しては3億円以下の罰金が科されます

2.産廃マニフェストの不交付、法定記載事項の記入漏れ、虚偽等

産業廃棄物を処理するにあたって、マニフェストは必ず交付することが義務付けられています。
万一、不交付や虚偽の記載があった場合は廃棄物を適切に処理をしていたとしても罰則を受けることとなります。

【違反した際の罰則】
1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

3.契約書の作成義務違反、許可証の添付漏れなど

処理業者とは事前に委託契約を交わさなければなりません。適切な契約を交わさずに依頼することは違反行為となります。

【違反した際の罰則】
3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科されることもあります。

4.無許可業者への委託・処理

絶対にあってはならない業者の選定ミスの一つです。処理委託する廃棄物の処分・収集運搬の許可がない業者へは依頼してはいけません。
また、許可書の有効期限が切れていないか、委託する廃棄物が処理業者の取り扱い許可の範囲に含まれているかも必ず確認しましょう。

【違反した際の罰則】
5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されることもあります。

5.特別管理産業廃棄物の管理責任者設置義務違反

爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する特別管理産業廃棄物を取り扱う事業者様は、適切な管理のために廃棄物処理法の規則で定める知識を有した管理責任者を設置することが義務付けられています。

【違反した際の罰則】
30万円以下の罰金が科されます。

まとめ

解体業者様は建設業法以外にも、排出事業者になってしまうため、廃掃法もチェックする必要があります。廃掃法は各自治体によって取り扱いが異なり解釈が難しい法律のため、産業廃棄物処理に関して詳しい行政書士に相談することで、コンプライアンス違反にならず安心して事業を行えると思います。

タイトルとURLをコピーしました