【在留資格】定住者ビザがどんな資格なのかまるっと解説

地位や身分に基づく居住資格は4種類あり、それぞれの在留資格に該当する外国人は以下のとおりです。住居資格では就労は制限されていませんので、日本人と同じくどんな仕事にも就くことができます。

居住資格には①永住者②日本人の配偶者等③永住者の配偶者等定住者の4つがあります。

このページでは、④定住者になるための方法を紹介していきます。

定住者とは

「定住者」の在留資格は、文字通り日本に定住している外国人を意味します。

ただ、「定住者」になるための条件については、政策的理由から認められているもの、人権・人道上の配慮から認められているものなど多岐にわたり、それぞれに異なっています。

「定住者」の在留資格をもっている外国人は、基本的にはどんな仕事にも就ける外国人だと理解していただいて構いません。コンビニでのレジ打ちやホテルでのフロント業務、建設現場や製造現場でフルタイムで働くことができます。会社経営をすることも可能ですし、無職になることも出来ます。

一方、就労ビザの場合、ビザに付与された範囲の仕事のみすることが出来ます。無職になってしまうと在留資格の該当性が無いと判断されてしまいます。

留学ビザの場合、「資格外活動許可」を取得すれば週28時間以内のアルバイトは認めらますが、フルタイムで勤務することは出来ません。

日本で安定的に暮らすためには、定住者ビザの取得が欠かせないのです。

「定住者」と「永住者」の違い

「定住者」はとても安定した身分ではありますが、「永住者」ではありません。

「永住者」は、「定住者」よりもさらに安定した身分系の在留資格で、在留期限そのものがなく、仮にその後に身分が変わったとしても、基本的にはずっと日本に滞在し続けて活動することができる特別な在留資格です。

一方、「定住者」は、「永住者」と違って6カ月・1年・3年・5年などの在留期限があって、期限前に必ず更新手続きをしなければなりません。また、更新の際にもし身分や収入などの状況が変わっていれば更新ができなくなることもあり、それ以上日本に居続けることができなくなってしまうこともあります。

このように「定住者」は、たしかに安定した身分ではあるものの、半永久的に安定しているとまではいえません。「定住者」の在留資格は期間限定であるという点で、「永住者」とは異なるということに注意をしてください。

「告示定住者」と「告示外定住者」

「定住者」となるための理由となる「身分」には実は多くの類型があります。それぞれに要件・条件が異なりますので細かく見ていくと大変ですが、大きく「告示定住者」と「告示外定住者」があります。

「告示定住者」は、国があらかじめ告示を出して正式に認めている「定住者」の類型で、主に日系人がこれに当てはまります。

一方、「告示外定住者」は、告示には書かれておらず、特別な事情があるために例外的に定住者としての身分が認められているケースとなります。「告示外定住者」の場合は、原則すでに日本に来ている人しかとることができず、新たに外国から日本に呼び寄せることはできないことには注意してください。

定住者ビザの対象となる外国人

ここでは、「定住者」の在留資格を得るための類型と要件について説明します。「定住者」の類型は多岐にわたるので網羅的に説明はできませんが、大まかな特徴だけは把握しておきましょう。

  1. 日系人の告示定住者
  2. その他の告示定住者
  3. 告示外定住者

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

定住者ビザの対象①:日系人の告示定住者

「日系人」は、日本人の血をひく外国人のことを言います。日系人と呼ばれる人のうち、「定住者」の在留資格を得られるのはどのような場合かがポイントです。

まずは、日本人の実孫である日系3世、そして国籍離脱した元日本人の実子である日系2世です(定住者告示3号に当たります)。言い換えると、血のつながった祖父母が日本人であるケースです。

また、国籍離脱した元日本人の実子の実子である日系3世(定住者告示4号)、彼らの配偶者(定住者告示5号)や未成年で未婚の実子(定住者告示6号)などが「定住者」に当たります。

▼具体的な家族のケース

ある日本人男性Aが、外国人女性Bと結婚して実子Cが生まれ、3人家族の場合(離婚や国籍離脱はしていないとする)を考えます。

妻の外国人女性Bや実子である日系2世Cは「日本人の配偶者等」の在留資格をとることができます。一方、Cが結婚した際の配偶者D(定住者告示5号)、またCとDとの間の実子である日系3世のE(定住者告示3号)は「定住者」に該当します。

さらに、Eの配偶者Fも定住者(定住者告示5号)となり、EとFとの間の実子である日系4世Gについても、未成年・未婚のあいだに限定されますが定住者(定住者告示6号)になります。

定住者ビザの対象②:その他の告示定住者

「告示定住者」は「日系人」以外にも、第三国定住難民(定住者告示1号)、日本人・永住者・定住者の6歳未満の養子(定住者告示7号)、中国残留邦人とその家族(定住者告示8号)が該当します。

なお、告示定住者に該当するのは、以下の人たちです。

定住者告示   該当者
1号インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオスに一時滞在する難民
2号(削除)
3号日系2世・3世
(3世については、日系1世が日本国籍離脱前に生まれた2世の子供であること)
4号日系3世
(日系1世が日本国籍を離脱した後に生まれた2世の子供)
5号日系2世の配偶者日系3世の配偶者・その他定住者(在留期間一年以上)の配偶者
6号帰化した外国人、永住者、日系2世、日系3世、定住者(在留期間一年以上)の扶養を受ける子供等(各種条件あり)
7号日本人、永住者、定住者(在留期間一年以上)の扶養を受ける6歳未満の養子
8号中国に残留した日本人とその親族(各種条件あり)

定住者ビザの対象③:告示外定住者

最後に、「告示外定住者」についても見てみましょう。

まずは、「難民認定者」です。日本は難民認定申請をしても許可されることが非常に少ないですが、もし難民として許可された場合は「定住者」の在留資格を得ます。

注意しなければいけないのは、まだ「難民申請手続中」の外国人です。

自称「難民」だという外国人の多くはまだ許可をもらう前のまだ難民申請手続中の外国人で、「定住者」ではありません。この場合は在留カードを見ても「定住者」ではなく「特定活動」になっており、実際にはまだ難民許可を得ていません。

すでに定住者を得ている「難民認定者」と違い、やがて難民不許可になって日本を離れなければならない場合も多く安定した在留資格だとは言えません。

例:離婚・死別定住、日本人実子の扶養定住、事実上の婚姻破綻定住者

「告示外定住者」で実際に多いのは、離婚・死別定住の場合です。

以前は日本や永住外国人と結婚して日本で生活していたものの、その後、その配偶者とは離婚・死別によって別れてしまったようなケースです。

このような場合、原則は事情が変わって配偶者の身分がなくなってしまったのだから、そのまま日本で滞在する理由がなくなり、日本に居続けることはできなくなります。しかし、おおむね3年以上日本で夫婦生活を送っていたこと生活していけるだけの収入や財産があること一定の日本語能力があること、納税などの公的義務を行っていることなどのいくつか条件を満たしていれば、例外的に配偶者と別れた後も引き続き日本に滞在し続けることができる場合があります。

また、仮に夫婦生活が3年未満の場合でも、日本人の夫もしくは妻との間で生まれた子を親権者として長期間養育してきた場合や、まだ離婚に至っていなくとも事実上夫婦関係が破綻していて、DV被害を受けているような場合も例外的に定住者に認められることがあります。

例:義務教育から高校卒業した家族滞在者

これは最近認められるようになったケースですが、日本で働く外国人の家族として「家族滞在」をもって日本で暮らす外国人子弟について、義務教育(小学校3年以降)から高校まで10年以上日本で教育を受けた者については定住者への変更が認められるようになりました。

「家族滞在」で暮らす外国人子弟は、親からの扶養を受けて生活するため日本に滞在しているので、学校を卒業して自立した場合は「家族滞在」の在留資格には当たらなくなり、自らの在留資格をとって変更するか、日本を出るしかありませんでした。

それが日本で10年以上教育を受けた子弟は、そのまま定住者として日本に滞在し続けることができるようになりました。外国人子弟は少なくとも高校までは卒業しておくことがとても大切だと言われる所以です。

定住者ビザ申請のポイント

定住者ビザ申請のポイントは以下のとおりです。

ポイント①:経済的基盤があること

日本在留中に、問題なく生計が立てられることが必要になります。特に、申請人が未成年で未婚の実子および6歳未満の養子の場合は、「扶養を受けて生活すること」が条件になっているため、扶養者の収入や貯蓄などできちんと扶養を受けて生活することができるかどうかをしっかり証明する必要があります。

ポイント②:過去の在留状況が良好であること

日系2世や日系3世などの場合、「素行善良要件」とは法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることが必要です。

▼具体例

  • 日本の法律に違反して、懲役、禁錮又は罰金刑を受けていないこと。
  • 過去の在留の中で多数回の交通違反をしていないこと。
  • 留学生や家族滞在等のビザの方が入管から資格外活動の許可を得て仕事をしていること、もしくはオーバーワークをしていないこと。

等があげられます。

この他にも、素行善良要件のケースはたくさん考えられますが、ケースバイケースで判断されるため明確な基準は存在しません。

この素行善良要件については日常生活において法律に違反するような行動をしていなければ、特に心配する必要はありません。

ポイント③:1年以上の「定住者ビザ」をもって在留していること

「定住者ビザ」をもって在留する者の配偶者や実子、養子などとして、「定住者ビザ」を取得する場合、その配偶者や父または母(養父母などを含む)が1年以上の「定住者ビザ」をもっている必要があります

定住ビザの取得事例

ここでは、定住者ビザの取得事例を3つ紹介します。

事例①

1つ目は、日本人と国際結婚した外国人配偶者の「連れ子」を本国から呼び寄せる場合です。

外国人配偶者が日本人と結婚する前の、前の配偶者との間にできた子供が母国にいて、その子を日本に呼び寄せる場合です。

この場合に条件となるのは、子供が未成年で、未婚であることが条件です。そのため、18歳以上になっている場合は定住者ビザでは日本に呼べません。また、基本的に子供の年齢が高くなるほど呼び寄せは難しくなります。一般的に、高校卒業の年齢は、まだ未成年ですが自分で生活できる能力があると判断されやすく不許可になりやすい側面があります。

事例②

2つ目は、「日本人の配偶者」を持っている外国人が日本人と離婚か、死別した場合に、そのまま日本にいたいので「定住者」に変更する場合です。

この場合ポイントになるのは、日本国籍の子供の有無です。日本国籍の子供がいない場合は、同居した結婚期間が最低3年以上必要です

日本国籍の子供がいる場合は、結婚期間が1年程度でも可能性はあります。日本で日本国籍の子供と同居し養育することです。もし、子供を本国の親に預ける場合は、子供の養育を理由とした定住者へ変更はできません。

事例③

3つ目は、日系人が、就労制限のない定住者ビザを取得する場合です。

日系人は日系ブラジル人や日系ペルー人など南米出身者が多いです。群馬県とかにはブラジル人街とかもあるくらいです。

日系人は定住者ビザは日系3世、場合によっては4世まで定住者ビザの取得が可能です。定住者ビザは就労制限がないので、どんな職種でも働くことができます。ビザ取得に学歴なども関係ありません。戸籍謄本や除籍謄本をたどり先祖が日本人だったことを証明していくことで取得できます。

申請の手続

定住者の在留資格を取得する場合は、申請人の在留状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかの手続が必要となります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、申請人、法定代理人、外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人(代理人)、申請等取次者(弁護士または行政書士を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請人は、法務省告示で在留資格が認められる者(告示定住者)である必要があります。

法定代理人または申請等取次者が申請を行う場合は、申請人または代理人が日本に滞在している必要があります標準処理期間は、1か月~3か月とされています。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。

申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります標準処理期間は、2週間~1か月とされています。

在留資格取得許可申請

在留資格取得許可申請は、申請人、法定代理人、申請等取次者(弁護士または行政書士、親族または同居者等を含む)が、出入国在留管理局に申請書、申請内容に応じて異なる必要書類を提出して行います。申請等取次者が申請を行う場合は、申請人が日本に滞在している必要があります

標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内とされています。

申請提出者

法定代理人

申請人が18歳未満の場合は、親権者または未成年後見人、申請人が成年被後見人の場合は、成年後見人が法定代理人として申請を提出できます。

代理人

定住者の在留資格では、日本に居住する申請人の親族が代理人として申請を提出できます。

申請等取次者

地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けた雇用機関、教育機関、監理団体、公益法人の職員は、申請人からの依頼を受けた場合に申請等取次者として申請を提出できます(在留資格認定証明書交付申請の場合は公益法人の職員のみ)。

弁護士または行政書士

地方出入国在留管理局長に届出をした弁護士または行政書士は、申請人からの依頼を受けた場合に申請を提出できます。

親族または同居者等

申請人が16歳未満の場合や申請人が疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合、申請人の親族または同居者もしくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認める者は、申請を提出できます。適当と認める者には、医療滞在の同行者、刑事施設・児童相談所・婦人相談所の施設の職員、老人ホーム等の職員、教育機関等の職員、児童養護施設等の職員などが当たります。

定住者ビザのまとめ

地位や身分に基づく居住資格は4種類ありそのうちの、1つ定住者ビザについて紹介しました。

外国人が定住者の在留資格を取得するには、一定の要件を満たしたうえで、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請のいずれかを行う必要があります。

在留申請で提出する書類の作成・収集には、専門的な知識が必要となりますし、申請手続やその準備には多くの時間がかかります。また、不許可となった場合は、その理由を適切に調査できないと、何度申請しても許可されないおそれがあります。

そのため、在留申請を行うときは、専門家の支援を受けることが大切です。

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