宅建業免許取得後に必要な手続きについて詳しく解説!

宅建業免許は、取得して終わりではありません。宅建業免許を取得したあとも法定の手続きがいくつかあります。宅建業の免許取得後の手続きには、随時行うもの、または5年ごとに行うものがあります。

しかも、この手続きを怠ってしまうと免許の更新手続きが行えないという事態に陥ってしまいます。更新の手続きは少なくとも新規申請の場合と同じか、場合によってはそれ以上の手間を必要とすることもあります。

宅建業を続けていくには避けて通れない手続きですが、手続きをしなければいけない時期が事前にわかっている以上しっかりと準備することができます。

このページで許可取得後に必要な手続きをしっかり確認しましょう。

5年ごとに行う手続き

宅建業免許は免許を取得した日から5年間の有効期間があります。この期間を満了すると許可は失効します。許可を受けた行政庁の取り扱いにもよりますが、基本的には30日前までに更新申請の手続きを行う必要があります。この手続きを忘れてしまい、許可期限を一日でも過ぎてしまった場合は、免許は更新されず、失効してしまうので、絶対に忘れることのないようにしましょう。

提出書類は、更新の手続きは少なくとも新規申請の場合と同じか、場合によってはそれ以上の手間を必要とすることもあります。また、更新申請の際にも、基本的には新規申請と同様の要件求められます。法令改正等によって要件が追加されたような場合にも対応しなければなりません。

確実に更新手続きを行うためにはやはり事前の準備が必要です。

新規申請とはここが違う!「宅地建物取引業経歴書」とは?

宅建業免許更新において提出する書類は新規申請とほぼ同じなのですが、大きく異なるものの一つに「宅地建物取引業経歴書」という書類があります。宅地建物取引業に関してどのような売上を出してきたのかを直近5期分記載する書類です。

新規申請であれば当然経歴が無いので「新規」の2文字以外は何も記載する事項はありませんでしたが、更新の場合はそうはいきません。免許を受けている間宅建業をどのように行ってきたのか、その件数と価額を記載する必要があります。

更新手続きを初めて行う場合は、最初の1年のスタートは免許年月日となります。なお、最後の1年の締めは事業年度の末日です。免許の有効期限ではないので注意しましょう。

決算を終えたらその都度作成しましょう!

宅建業免許を受けている間の経歴を記載するといっても、更新手続きの段階で5年分を一気に作成するというのはなかなか難しいと思います。5年前の実績を探すのは大変ですよね。

決算を終える度に、税理士や行政書士とも話し合ってその事業年度の宅建業で何をしたのか振り返り、作成を進めておくことをおススメします。もし建設業許可を取得している法人であれば、建設業の決算報告手続きと合わせて宅建業の経歴書作成しておくこともおすすめです。

更新前直近の内容には特に要注意!

宅地建物取引業経歴書に記載する経歴のうち、直近の1ヶ年分は同時に提出する決算書の内容と照らし合わせてチェックが入ります。

決算書を作成している税理士とも特によくご相談の上、決算書の内容と矛盾しないように作成するようにしましょう。

「経歴なし」の期間がある場合

仲介の実績も売買の実績もない期間があり、下記のように経歴書を一部空欄にせざるを得ない場合は、別途「理由書」の提出を求められます。

・更新の直近1ヶ年分の実績がない場合
・実績がない期間が連続して2ヶ年以上ある場合

何か悪いことをした結果として始末書を出している感覚になる方もいらっしゃいますが、あくまでも形式的な報告書のようなものと考えていただいて大丈夫です。

なお、実績がゼロまたは極端に少ない(5年間で1~2件)状態で更新を迎えることが複数回連続してしまうと、行政側から宅建業免許を出しておく意味がないと判断され、更新拒否や即時取消しとなる場合もあります。せっかく宅建業免許を受けたので、年に1件は実績をあげることを目指しましょう。

随時行う手続き

以下の項目につき変更が生じてから30日以内に変更届出が必要です。今回の変更事項については、法務局への登記を伴うものも多く、その登記が完了した謄本を添付書類とするものもあります。

この期限の始期は、「変更のあった日」であり「登記した日」ではありません。法務局への手続きにも1週間から2週間程度の期間を要しますので、変更届に関する準備期間はあまりないと考えた方がよさそうです。

たとえば、新しい代表取締役が4月1日に就任して、その登記を4月20日に行ったとすると、変更届の提出期限は4月30日であり5月20日ではありません。

もし変更から30日を過ぎてしまうと、変更届を提出する際に始末書を添付するなどイレギュラーな対応を求められることになります。

規模の大きな企業であるほど、役員や営業所移転の変更届を期限内に届け出ることが難しくなってしまいますが、連続して始末書を提出していると宅建業免許行政上は厳しい措置が取られることもあるようです。変更の予定が立ったら、早めに資料などは収集しておくことをおすすめします。

変更事項①:商号が変わったとき

会社の名称(商号)に変更があったときは、商号変更の登記を行った後、その変更が反映された履歴事項証明書などを添付して変更を届け出ます。

会社の商号が変わると、それまでの宅建業免許証の業者名も変わりますから、変更届を行う際には宅建業免許証の書き換え交付も同時に申請する必要があります。

変更事項②:主たる事務所の所在が変わったとき

こちらも、主たる事務所(本店)所在地の変更登記を行った後で、その情報が反映された履歴事項証明書が必要です。

また、宅建業免許証にも本店の所在地は記載されていますから、免許の書き換え交付申請を同時に行わなければならないことなども、商号の変更と同様です。

それに加えて、主たる事務所の所在が変わったときは、新しい本店(事務所)の写真を撮影して添付する必要があります。

変更事項③:代表者や役員が替わったとき

会社の代表取締役(合同会社の場合は代表社員)や取締役が入れ替わったり、退任したりしたときにも変更届を提出することになります。

新しい代表者や取締役の身分証明書や登記されていないことの証明書、略歴書などの他に、役員変更が完了したことが確認できる会社の履歴事項全部証明書などが必要です。

変更事項④:政令で定める使用人や専任の宅地建物取引士が替わったとき

政令使用人や専任の宅地建物取引士が替わったときにも、会社の役員変更と同様に、新たに就任する者の身分証明書や登記されていないことの証明、略歴書などが必要になります(専任の取引士は身分証明書と登記されていないことの証明は不要)。

また、就任・退任・交代したのが専任の宅地建物取引士の場合には、顔写真も添付する場合があります。

変更事項⑤:従たる事務所を設置したとき

新たに従たる事務所(宅建業を営む支店や営業所など)を設置したときも、変更届の提出が求められます。

このケースでは、新たな事務所に設置した政令使用人や専任の宅地建物取引士などが増えますので、その政令使用人についても身分証明書や登記されていないことの証明書、略歴書等、専任の宅地建物取引士については略歴書等を添付しなければなりません。

また同時に、支店の登記を行う場合には履歴事項全部証明書が必要です。新たな事務所の写真、供託金の積み増しや不動産協会への手続きも必要になります。

変更事項⑥:従たる事務所を廃し、移転、名称変更したとき

設置とは逆に、従たる事務所を廃ししたり、場所が変わったり、使用していた名称を変更するというときにも、変更届を行わなければなりません。

変更事項⑦:代表者、役員、政令使用人、専任の宅地建物取引士の姓名が変わったとき

婚姻などによって、代表取締役や役員、政令使用人、専任の宅地建物取引士の姓名が変わったら、変更届が必要となります。

通常、役員の場合は履歴事項全部証明書などで証明し、政令使用人や専任の宅地建物取引士の場合は戸籍謄本などで証明しますが、代表取締役の姓名が変わったときは、宅建業免許に記載されている代表者名も変えなければなりません。そのため、免許証自体の書き換え交付申請も同時に行うことになります。

したがって、実務上時間のかかりやすい登記事項になります。この完了を待って変更届けを提出する必要がありますので、注意が必要です。

まとめ

宅建業免許を取得したあとの手続きについて紹介しました。

法定の手続きを忘れてしまうと、許可が更新できずに失効してしまう可能性があるので、きちんと手続きを把握しておくようにしましょう。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました