
建設業許可を取得したいけど、独立したばかりで経営経験もないし資格もがないから許可をとれないと思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、社長に経営経験や資格がなくても、建設業許可を取得できる可能性があります!
このページでは、弊社代表が実際に建設業許可を取得した方法をご紹介させていただきます。
社長に経営経験がなくても建設業許可を!
まずは、社長に経営経験がなくても建設業許可を取得した時の相談内容等を紹介していきます!
<許可取得概要>
営業所所在地:東京都
業種:東京都知事一般建設業・内装仕上工事業
<経営業務の管理責任者:候補者>
なし
<専任技術者:候補者>
代表取締役(資格なし・10年以上の実務経験)
<相談内容>
Q:事務所の原状回復工事を行っているので、建設業許可の解体工事業許可を取得したい。
→工事内容をヒアリングするうちに、テナントの内装解体・現状回復・スケルトン工事を主に請け負っているため、建設業許可の解体工事業ではなく、内装仕上工事業であることを案内。
ちなみに、「解体工事業」とは建物一棟を解体して更地に戻すような工事を言っています。部分的に解体したり、一部を残したりする工事ではなく、丸々取り壊して更地にする工事なので、内装解体・現状回復・スケルトン工事は解体工事業ではなく内装仕上工事業に分類されるのです。
▼原状回復工事のイメージ

▼解体工事業のイメージ

Q:資格がなくても大丈夫なのか?
→会社設立前は、建設業許可(内装仕上工事業ほか多業種)を取得している会社で約20年ほどお勤めでしたので、資格がなくても許可取得ができると判断。
Q:今までは、会社員をやっており、5年以上の経営経験がないのですが、やっぱり許可取得は難しいのか?
→建設業許可を取得するためには、役員の中で建設業を営む会社(個人事業主)で5年以上の経営経験が必要になります。社長のみではなく、取締役のかたでもそのような経験があれば許可が取得できますし、現状取締役の中にいなければ、取締役に迎え入れるというのも1つの方法です。
ここで、建設業許可を取得するための大きな3つの要件を確認しましょう。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 許可を受けたい業種の専任技術者を持った方がいる
- 500万円以上の財産要件を満たしている
それぞれの要件をクリアした方法をご紹介していきます!
要件①:経営業務の管理責任者の要件をクリアする方法

経営業務の管理責任者の要件は常勤している取締役のうち、つぎのいづれかの要件をクリアする必要があります。
- 建設業に関して5年以上取締役として経験のある者
- 建設業に関して5年以上取締役に準ずる地位(建設部長等)にあり、経営業務のある者
- 建設業に関して、6年以上取締役に準ずる地位があるものとして、経営業務を補佐する業務に従事した経験がある者
- 建設業に関して2年以上役員等として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にあるもの。さらに5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理の従事した者を補佐としておくこと。
- 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験があるもので更に、5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役をおくこと。
建設業許可において経営業務の管理責任者でつまずくケースが一番多いです。5年以上の経営経験(役員経験)というのは、かなり高いハードルだからです。
今回の相談のケースでは「1.建設業に関して5年以上取締役として経験のある者」を探して、役員に迎え入れる方法でクリアしました!
社長が5年間経験を積むことで、経営業務の管理責任者要件を満たすことができたのですが、すぐに建設業許可を取得しなければ、大規模工事の受注を逃してしまうとのことで、なんとか条件のある方を探すことになりました。
親族がすでに引退していたのですが、過去一人親方をしていたので、協力してもらい許可取得を目指すことになりました。
建設業に関して5年以上一人親方として経験のある者の証明方法
当時から建設業許可がなく建設業を営んでいたため、個人事業主を行っていた証明+建設業を行っていた証明をしなければいけません。その証明方法は当時の確定申告書や建設業に関する請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録といった書類の提出です。
▼必要書類の一例
証明書類 | |
---|---|
個人事業主の経験 | ①5年分の確定申告書(税務署印のあるもの) + ②工事請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録 (証明期間分:3か月ごとに1件) |
まずは、5年分の確定申告書は税務署印のないものは保管されていたのですが、税務署印のあるものは紛失していました。
税務署印はこちらから希望しなければもらえないケースもあり、そもそも税務署印のある確定申告書はなかったのかもしれません。引退したばかりでしたので、行政文書の開示請求で建設業許可申請に使用できる確定申告書を入手することができました!
その次に、建設業を営んでいた経験の証明としては、工事請負契約書、注文書+請書、請求書+入金記録などを証明しますが、足場工事がメインだったということで、請求書+入金記録で証明するのはスムーズだと判断しました。
請求書はすべて一人親方の奥様がエクセルで作成していたためデータで残っており、建設業許可申請に使用できるものをこちらでピックアックしました。
現在は請求書+入金の記録は3か月ごとに1件で大丈夫なのですが、当時(令和3年前後)は1カ月ごとに1件という決まりでしたのでかなり大変でしたが、無事に用意することができました。
これで、まずは、経営業務の管理責任者の要件はクリアです。
要件②:専任技術者の要件をクリアする方法

2つ目の要件である専任技術者は営業所(本店等)に常勤する技術者のうち、つぎのいづれかの要件をクリアする必要があります。
<一般建設業許可の専任技術者の要件>
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
経営業務の管理責任者に次いで専任技術者もハードルが高いです。
今回は国家資格や指定学科を卒業していなかったので、「4.10年以上の実務経験がある」をクリアする方法で申請を進めていきました。
10年以上の実務経験の証明方法
内装仕上工事業の建設業許可を取得している会社で10年以上営んできた場合、①建設業許可通知書、かつ、②その期間その会社に所属していたことを証明しなければいけません。
① 該当する工事を行っていた証明 | 建設業許可通知書 (内装仕上業) |
② その期間、会社に所属していた証明 | 健康保険証、厚生年金の被保険者記録回答票 |
<①該当する工事を行っていた証明>
内装仕上工事を行っていた証明としては、当時の建設業許可通知書で証明します。当時お勤めの会社は比較的規模も大きかったので、HP上で許可通知書を公開していましたので、用意することができました。
<②その期間、会社に所属していた証明>
すでに、親族の会社から退職して新会社で社会保険に加入していたため、当時の所属していた証明は「厚生年金の被保険者記録回答票」で証明します。
これは、いつからいつまでどの会社の厚生年金に加入していたがわかる書類です。そのため、この書類に平成15年1月~令和5年12月までA社の厚生年金に加入していれば、その期間A社に所属していたことを証明することができます!
今回のケースはかなり長いこと該当の会社で厚生年金に加入していたので、当時の所属していた証明もすることができ、10年間の実務経験は問題なくクリアできました。
これで、専任技術者の要件もクリアです!
最後に財産要件を確認していきましょう。
経営業務の管理責任者・専任技術者には常勤性も求められます
経営業務の管理責任者や専任技術者を選任する場合は必ず営業所に常勤させる必要があります。
そして、その常勤性は原則、事業所名称に申請会社が記載された「健康保険証」にで証明します。しかし、75歳以上(後期高齢者医療制度)の方、事業所名所が印字されていない健康健康保険証をお持ちの方、マイナ保険証に移行後に入社した方は健康保険証では証明することができませんので、下記書類が必要になります。
▼健康保険&厚生年金で常勤性を証明する方法
- 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書
- 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する資格取得確認及び標準報酬決定通知書
▼厚生年金関係で常勤性を証明する方法
- 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票
- 資格取得届(新規に認定する者に限る)
- 厚生年金保険70歳以上被用者該当届※70歳以上の新規に認定する者に限る
- 厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ
▼住民税関係で常勤性を証明する方法
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)
- 住民税特別徴収切替届出※新規に認定する者に限り
▼健康保険組合関係で常勤性を証明する方法
- 資格証明書
▼法人役員の常勤性を証明する方法
- 直近決算の法人税確定申告書(役員報酬手当及び人件費等の内訳書)(年130万以上の役員報酬が確認できること)
なお、採用した直後に常勤性を証明するのは、下記3パターンしかないかなと思います。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する資格取得確認及び標準報酬決定通知書
- 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票
- 住民税特別徴収切替届出
これらは手続きを行う中で、厳しくチェックされる項目なので注意しておきましょう。
最後に財産要件を確認していきましょう。
要件③:財産要件をクリアする方法

建設業許可を取る上であと1つ、申請者からの相談が多いのが財産要件です。
500万円の財産要件を証明する方法は次の2つの基準です。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の残高証明書を用意できるか
資本金を500万円以上しなければ財産要件を満たすことができないと思われている方が多いですが、資本金500万円=財産要件クリアではありません。
また、資本金を500万円以上にしても、財産要件を必ずしもクリアできるというわけではありません。
①自己資本が500万円以上あることを証明
自己資本とは、簡単にいうと財産から借金を差し引きした金額(返済義務のない資金)のことです。
今回のケースは会社設立時に資本金が500万円だったので、会社設立時の開始貸借対照表で自己資本が500万以上であることを証明できたので、特別追加書類なくクリアできました。
初回相談から様々な資料をご準備いただき、無事に建設業許可を取得することができました!
初回相談から建設業許可申請までは約2カ月くらいだと思います。申請してから標準処理期間は約1カ月とされているので、無事に3か月以内に建設業許可を取得することができました!
初回相談から約1カ月で経営業務の管理責任者を確定
↓
その後、1カ月間で取締役への登記手続き・社会保険加入手続きなどを経て、建設業許可申請!
建設業許可を勝ち取る方法:まとめ
建設業許可を取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。基本的な許認可であれば、有資格者がいれば取得できることも多いなか、建設業許可はかなりハードルの高い許可といえます。
なお、建設業許可は営業所を構えている都道府県に申請をすることになりますが、各都道府県によって審査基準が大きく変わります。東京都で建設業許可の取り方をまとめているので、ぜひご確認ください。
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。