厨房設備技能士とは、業務用の厨房設備工事の施工に必要となる技能・知識を備えた有資格者です。
「厨房設備」とは、各種調理機器を用い調理作業を行い、また食品の貯蔵設備及び配膳設備、食器洗浄・保管設備、残滓処理設備を用い、飲食物を衛生的かつ機能的に提供するための全体的設備のことです。
このページでは、厨房設備技能士の資格で建設業許可が取れない理由やどうやったら建設業許可が取れるのかをご紹介します。
厨房設備技能士では建設業許可は取れません!
まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。
- 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
- 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
- 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
- 財産的信用の基準を満たしている
- 欠格事由に該当していないこと
これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。
この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。
▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。
- 定められた国家資格を持っている
- 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
- 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
- 10年以上の実務経験がある
厨房設備技能士は国家資格ではあるものの「定められた国家資格」には該当しないので、この厨房設備技能士の資格だけでは専任技術者にはなれないのです。
したがって、厨房設備技能士であっても「4.10年間の実務経験」や「3.指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験」が必要になります。
この10年間の実務経験を積んでいたとしても、それを証明するのはかなりハードルが高いです。
実務経験の証明書類を揃えることができない場合の対処方法を解説します。
10年以上の実務経験はあるけど、証明書類がない時
10年以上の実務経験を証明するためには、経験を積んだ会社での専門工事に関する「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意する必要があります。
しかし、以前勤めていた会社で10年以上の実務経験があるものの、請負契約書、注文書・請書、請求書+入金記録といった証明書類のコピーを用意してもらうのは難しいかもしれません。
以前勤めていた会社が建設業許可業者であれば、それらを用意しなくても許可通知書で証明することができます。関係性によっては許可通知書のコピーをもらうことは難しいかもしれませんが、先ほどと同じように東京都や神奈川県の場合は、主たる営業所の住所・代表取締役を伝えるだけで、いつからいつまで許可を取得していたか教えてくれる場合があります。また大阪の場合は行政文書の開示請求をすることで同様に許可状況が記載された文書(黒台帳と呼ばれています)を手に入れることができます。
以前の会社で役員でもない限り「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書+入金記録」を用意するのはかなりハードルが高いです。しかし、建設業を専門にしている行政書士であれば、さまざまな経験から糸口を見つけられるかもしれませんので、諦めずにまずは相談をしながら進めていくべきでしょう。
施工管理技士補の活用
10年間以上の実務経験を積むのもそれを証明するのもかなり大変です。そのため、国家資格である施工管理技士の中の施工管理技士補を取得することにより、実務経験を5年もしくは3年に短縮できる制度を利用することも1つの方法です。
令和3年度より、施工管理技士補の制度が創設されました。それにより、施工管理技士試験の名称が変更になり、今までの学科試験が第1次検定・実技試験が第2次検定となり、第1次検定合格後に「施工管理技士補」の称号を取得可能となりました。
また、令和6年度より第1次検定受検における学歴や実務経験の制限がなくなり、いままで受検資格の無かった学生の方や建設業の実務経験が全くない方でも、第1次検定を受験することができるようになりました!
合格した場合は専任の技術者になるための要件である実務経験が10年→3年又は5年に短縮することができるので、専任技術者の要件をクリアできる可能性がぐんと上がります。
厨房設備技能士で建設業許可を取る方法:まとめ
今回は、国家資格である厨房設備技能士についてご紹介しました。厨房設備技能士も厨房設備工事について重要な資格ではありますが、建設業法で定められている国家資格ではないのです。
そのため、建設業許可を取得するために10年間の実務経験を証明する必要があるのですが、かなりハードルが高くなります。
また、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要がありますので、なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。
建設業許可を取って500万円以上に大きな工事を請け負って頑張りたいのに、許可を取得するための要件を満たしていない、もしくは、要件を満たしているのに過去の書類が残っていなく困っている建設業者さんはかなりいます。
どうしようもできずに「裏ワザ」はないのか?という質問をよくされます。建設業許可を専門にやっていた行政書士だから知っている、「裏ワザ」があります!
手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。