【建設業許可】路面標示施工技能士で塗装工事業の許可を取ろう!

路面標示施工技能士とは、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定の路面標示施工に合格した人に与えられる国家資格です。

路面標示施工技能検定においては、路面標示工事の施工に必要な技能を測る試験が行われます。

このページでは、路面標示施工技能士になる方法や建設業許可の取得するための条件をご紹介していきます。

路面標示施工技能士とは

道路の路面に描かれている車道中央線、車道外側線、横断歩道、停止線などの各種の表示が路面標示です。区画線と道路標示に区別され、これらの標示の形や大きさなどは、道路関係法令により定められています。「路面標示施工職種」は、路面標示工事の施工の仕事を対象としています。

路面標示施工技能士は国家資格である技能検定制度の一種です。

溶融ペイントハンドマーカー工事作業と加熱ペイントマシンマーカー工事作業があり、いずれも単一等級(2級や3級がないということ)です。

路面標示施工技能検定の受験資格

路面標示施工技能検定の受験資格は、学歴等に応じて下記のとおりになっております。

学歴等必要な実務経験年数
実務経験のみ3年
専門高校卒業1年
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業1年
短期大学卒業0年
高等専門学校卒業0年
高校専攻科卒業0年
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業0年
大学卒業0年

試験日

技能検定は、年1回行われます。

試験区分試験日
実技試験例年6~9月頃
学科試験例年9月頃

路面標示施工技能検定(単一等級)の試験内容

学科試験科目範囲
1. 路面標示一般路面標示の種類及び設置基準
2. 路面標示作図法しん出しの方法
路面標示の作図の方法
3. 路面標示作図法一般路面標示作図法の種類及び特徴
塗膜の乾燥
塗料試験の種類及び方法
塗膜における欠陥の原因並びにその防止方法及び修正方法
路面標示の消去方法
4. 関係法規道路法関係法令、道路交通法関係法令、道路運送車両法関係法令、消防法関係法令及び高圧ガス保安法関係法令のうち、路面標示工事に関する部分
5. 安全衛生安全衛生に関する詳細な知識
6-1. 溶融ペイントハンドマーカー施工法溶融ペイントハンドマーカー工事に使用する器工具及び機械の種類、用途及び使用方法
溶融ペイントハンドマーカー工事の段取り
溶融ペイントハンドマーカー工法
路面標示工事の施工方法
溶融ペイントハンドマーカーによる塗膜の補修方法
溶融ペイントハンドマーカー工事に使用する材料の種類、規格、性質及び用途
6-2. 加熱ペイントマシンマーカー施工法加熱ペイントマシンマーカー工事に使用する器工具及び機械の種類、用途及び使用方法
加熱ペイントマシンマーカー工事の段取り
加熱ペイントマシンマーカー工法
路面標示工事の施工方法
加熱ペイントマシンマーカーによる塗膜の補修方法
加熱ペイントマシンマーカー工事に使用する材料の種類、規格、性質及び用途

※6-1または6-2のうちいずれか1科目を選択

実技試験科目範囲
1. 溶融ペイントハンドマーカー工事作業しん出し
作図
路面の処理
塗料の溶融
路面塗装
塗膜の形状、寸法、色及び膜厚の判定
積算
2. 加熱ペイントマシンマーカー工事作業しん出し
作図
路面の処理
塗料の溶融
路面塗装
塗膜の形状、寸法、色及び膜厚の判定
積算

※1または2のうちいずれか1科目を選択

これに合格することで、路面標示施工技能士の資格を得ることができます。

建設業許可を取得するための要件について

この資格を取得後、どうやったら建設業許可が取れるのでしょうか?

まず初めに建設業の許可を申請する際に、必ず下記の要件をクリアしておかなければ許可はおりません。

  1. 経営業務に関わる方の中に、経営業務管理責任者を置く必要がある
  2. 工事に関わる契約を結び、見積もりを行う営業所を設置する
  3. 許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある
  4. 財産的信用の基準を満たしている
  5. 欠格事由に該当していないこと

これらの要件は、内容も複雑で厳しい条件などが含まれます。

この中で、今回のテーマに関わりのある3.の専任技術者についてご説明します。

▼許可を受けたい業種の専任技術者を配置する必要がある

営業所(本店等)に常勤する専任技術者がいることです。専任技術者の要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なりますが、一般建設業の場合は常勤している従業員のうちつぎの4つのいづれかの要件を満たす必要があります。

  1. 定められた国家資格を持っている
  2. 定められた国家資格+資格取得後一定の実務経験がある
  3. 指定学科を卒業し、学歴に応じた実務経験がある
  4. 10年以上の実務経験がある

そこで路面標示施工技能士は国家資格なので、1.の条件に該当します。

専任技術者になることができる建設業種

路面標示施工技能士は、建設業許可における下記の業種の専任技術者になることができます。

  • 塗装工事業

塗装工事業の建設業許可を取得して請け負える工事

塗装工事業は、工作物に塗料や塗材などの吹き付けや塗り付け、はり付けを行う工事を指します。
「塗装工事」「溶射工事」「ライニング工事」「布張り仕上工事」「鋼構造物塗装工事」「路面表示工事」が該当します。
例えば、道路を舗装する工事は舗装工事業にあたりますが、舗装した道路に車線を引く工事は塗装工事業として扱われます。
ここからは、6種類ある塗装工事業の具体的な内容について説明します。

1:塗装工事

塗装工事は、塗装物を補強する、防水加工を行い風雨に備える、火災から建造物等を守るために耐火性を上げる、などのさまざまな目的を伴った塗装工事業です。
使用する塗料の特性はさまざまなものがあり、あらかじめ顧客とよく相談した上で、ニーズと合致した最適な塗装が求められます。
塗装は劣化するものであるため、定期的にチェックを行い、塗り替えを行うことも塗装工事における大切な仕事の一つです。

2:溶射工事

溶射工事は、基礎の金属に別の金属を溶射することで、吹き付けた金属の特性を付加させる「表面加工」と呼ばれる作業を行う塗装工事業です。
鉄鋼構造物に防錆・防食を施し、基材保護をする、有機溶剤や各種ガスに接する環境下で基礎の金属を守る、耐蝕性・耐摩耗・耐熱遮熱・電気絶縁・耐酸化の性能を上昇させるなどが、溶射工事の目的です。
アーク溶射やプラズマ溶射など、さまざまな種類の溶射が存在し、目的や溶射する金属に応じて使い分けます。

3:ライニング工事

ライニング工事は、ビルやマンションなどの建物に張り巡らされている給排水管の内側から専用の塗料を流すことで、新管のようにする塗装工事業です。
給排水管が腐食、破損した際に、コストや工事の規模などの観点から、配管の取り替えを控えたいと感じているビル管理会社やマンションオーナーは一定数います。
そのような際に、ライニング工事は取り替えを行わずに配管を再生させられるのです。

4:布張り仕上工事

布張り仕上工事は、建造されている建物の壁に布地を貼り付け、そこに着色して布地が見えるように仕上げる塗装工事業です。
使用する布地としては、丈夫で仕上効果の高いものが推奨されます。
顧客のニーズに合わせて寒冷紗・レース地・ヘッシャンクロスなどの、建物のイメージと合致した布を使う必要性もあります。
布地の貼り方はそのまま貼り付ける突き付け張りと一部を重ねて貼り付ける重ね張りの2通りが存在し、その後に着色して仕上げます。

5:鋼構造物塗装工事

鋼構造物塗装工事は、防錆塗膜を鋼材の表面に作り、鋼構造物を錆や腐食から守る塗装工事業です。
橋梁・工事プラント・タンクなどの大型建造物を構成する鋼構造物が主な施工対象です。
これらの建造物は風雨などに晒されて錆や劣化が進行しやすく、なおかつ崩壊した際の被害が深刻なものであるため、鋼構造物塗装工事が必須と言えます。
防錆塗膜は下塗り・中塗り・上塗りの3層で構成されており、組み合わせて素地の保護と外部環境からの防御、そして強固な付着を実現します。

6:路面標示工事

路面表示工事は、道路にセンターラインや横断歩道のラインなどの区画線を引く塗装工事業です。
道路に関連する工事であるため、舗装工事業と誤解されるケースも多々ありますが、塗装工事業の中に含まれています。
工事用の車両で道路上を移動しながら加熱した塗料を扱う仕事であるため、素早く業務を行う機敏さと、安全面に注意しながら作業を進める繊細さが求められる工事であると言えます。

路面標示施工技能士のまとめ

今回は、専任技術者になれる路面標示施工技能士についてご紹介しました。

路面標示施工技能士の資格は、10年間の実務経験を証明することなく専任技術者になることができますので、建設業許可を取得・業種追加をしたい業者にはおすすめの資格です。

しかし、建設業許可は専任技術者以外でも様々な要件をクリアする必要があり、申請するためにも作成する書類は膨大です。

なるべく早く許可が必要な方は、自社で行うより、行政書士等の専門家に相談して進める方が結果的に早く許可を取得することができるでしょう。

なお、建設業許可は営業所を構えている都道府県に申請をすることになりますが、各都道府県によって審査基準が大きく変わります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で建設業許可の取り方を裏ワザも含めてまとめているので、ぜひご確認ください。

手続きに不安があり代行してほしい方は、行政書士など専門家への相談をおすすめします。適切なサポートを受けられ、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。

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